ラピュタ・アニメーション フェスティバル vol.2 2001
Laputa Animation Festival Bulletin

No.4 Aug 15,2001
 
ワークショップも後半戦に突入!シンポジウムも同時レポート!!
 

 ボランティアスタッフによるレポートです。今日はワークショップとシンポジウムの2本立て!

 今日の講義は朝10時からでしたが、受講生の中には9時頃から教室に来られている熱心な方々もいました。
 それが伝わったのか、ノルシュテイン講師はさらに熱心に講義をして、皆さんからの質問にもたくさん答えてくださいました。
 今日は始まったときから技術的な事についての質問が多く、ノルシュテイン講師は実際に撮影に使ったセルを取り出し、その様々な手法を披露してくださいました。
 しかしノルシュテイン講師は、「実際に新しい作品に取りかかるときは、全く何をどうやったらいいのかわからない新人と一緒だ」と言い、可能性の限界は考えないと言っています。なるほど、だからこそ様々な新しい手法を生み出せたのだと思いました。
 ノルシュテイン講師と通訳の児島さんの話す声は、子守歌のような優しい声なのです。あまりにも心地良いので、オーディオ操作のスタッフがすやすやと眠りについてしまい、「トールー、トールー」とノルシュテイン講師に起こされるというほのぼのとした場面もありました。
 ノルシュテイン講師のお話の中には、世界中の作家や画家、音楽家の名前が挙げられます。そして、アニメーションを作るということは芸術家になるということで、そのためには自分から世界の文化を学んでいかなくてはいけないと、熱く熱く語ってくださいました。全く身にしみる思いです。

 そしていよいよ、メインイベントの一つであるユーリ・ノルシュテイン監督、川本喜八郎監督、高畑勲監督によるアニメーションシンポジウムが、ザムザ阿佐ケ谷で午後3時より開催されました。
 会場を埋め尽くす観客の中で、三人の監督は真剣に語り合われました。
 その話題の中心は、日本のアニメーション教育においての問題点でした。 「日本には本来の意味でのアニメーションの学校がありません。ロシアで想像力の発展という方向の教育をなさってきたノルシュテイン監督の作品こそが、これからの日本のアニメーションにとって必要なものである」と高畑監督はおっしゃっていました。

川本監督
「アニメーションは天職です。自分以外にはできないことをやりましょう」
ノルシュテイン監督
「芸術家は赤ん坊が泣くように、語らなければならない」
高畑監督
「アニメーションは芸術の流れの中に組み込まれはじめている」

 また、川本監督も日本のアニメーションの現状を心配されており、日本人としてのアイデンティティを持った作品の無さに教育の必要性を強く感じていらっしゃいました。
 やはり三人とも、芸術を学ぶことが何を作るにおいても大切であると考え、たくさんの知識を身につけることが必要であるとのことでした。
 私たち自身が様々なことを吸収して、自分のものにしていくことが大切なのだということを改めて感じました。

(ボランティアスタッフ/濱野・秋房・長澤・松山)