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エレキの若大将
1965年/東宝/94分/カラー/東宝スコープ
●製作:藤本真澄●監督:岩内克巳●脚本:田波靖男●撮影:西垣六郎●美術:竹中和雄●録音:吉沢昭一●出演:加山雄三 有島一郎 中真千子 飯田蝶子

◆ベンチャーズの来日で火がついたエレキ・ブームに便乗して公開されたシリーズ第6作。ブームの立役者、寺内タケシとブルー・ジーンズや内田祐也らも出演。

かぶりつき人生
1968年/日活/94分/白黒/ワイド
●企画:大塚和●監督脚本:神代辰巳 原作:田中小実昌●撮影:姫田真佐久●録音:太田六敏 ●出演:殿岡ハツエ 丹羽志津 玉村駿太郎 中台祥浩

◆関西ヌードの特出しストリッパーをやっている母親とその娘の各々の生きざまを描く。突き放した演出、作品を支配するフラットな昏さが印象に残る神代の処女作。

東京オリンピック
1965年/東京オリンピック映画協会/170分/イーストマンカラー/テクニスコープ
●プロデューサー:田口助太郎●総監督 脚本:市川崑●脚本: 和田夏十 白坂依志夫 谷川俊太郎 ●撮影:宮川一夫 ほか●音楽監督:黛敏郎●ナレーター:三國一朗

◆オリンピックを100台を越えるキャメラで撮影し、競技の勝敗より人間としての選手を捉えるという市川演出は、かつてないスポーツ記録映画をつくり出した。

進め!ジャガーズ・敵前上陸
1968年/松竹大船/83分/カラー/ワイド
●製作:島田昭彦●監督脚本:前田陽一●脚本:中原弓彦●撮影:竹村博●音楽:いずみたく●出演:岡本信 中村晃子 宮ユキオ 沖津ひさゆ

◆作家小林信彦(ペンネームは中原弓彦)が前田陽一とともに共同脚本。ビートルズ映画に影響された和製ポップス映画である。GSとしては地味な存在だったジャガーズもこの主演作品は後々の語り草となった。

クレージーだよ 奇想天外
1966年/東宝=渡辺プロ/103分 /カラー/東宝スコープ
●製作:渡辺晋●監督:坪島孝●脚本:田波靖男●撮影:宇野晋作●美術:村木忍●録音:伴俊也●出演:谷啓 藤田まこと 植木等 吉田次昭 野川由美子

◆日本を代表するコメディー・グループが大活躍する、東宝のスラップスティック喜劇シリーズ第6作。メインに据えられた谷啓が小市民的な宇宙人を怪演している。

狙撃
1968年/東宝/85分/カラー/シネマスコープ
●製作:貝山知弘●監督:堀川弘通●脚本:永原秀一●撮影:長谷川清 ●美術:村木忍●出演:加山雄三 浅丘ルリ子 森雅之 船戸順

◆外国映画を思わせるスタイリッシュなハードボイルド映画の佳作。青春の情熱を屈折させざるを得ない状況で生きる若者の孤独と虚無感が横たわっている作品。

運が良けりゃ
1966年/松竹大船/92分/カラー/ワイド
●製作:脇田茂●監督脚本:山田洋次●脚本:山内久●撮影:高羽哲夫●音楽:山本直純●美術:佐藤公信●出演:ハナ肇 犬塚弘 武智豊子 倍賞千恵子

◆古典落語に造詣が深い山田洋次が「ラクダの馬さん」「寝床」「黄金餅」「つけ馬」などを材料につくりあげた長屋喜劇。後の「男はつらいよ」の原形となる。

緋牡丹博徒・花札勝負
1969年/東映京都/85分/フジカラー/シネマスコープ
●企画:俊藤浩滋 日下部五郎●監督:加藤泰●脚本:鈴木則文 鳥居元宏●撮影:古谷伸●出演:藤純子 若山富三郎 待田京介 清川虹子

◆女任侠スター藤純子の代表的な任侠シリーズの第3作。加藤泰監督による本作は、シリーズ中でも群を抜いた出来ばえである。藤純子演じるお竜のやくざであり女であることの無残なドラマを、激情をおさえた映画美の中に描いている。

てなもんや東海道
1966年/東宝=宝塚映画=渡辺プロ/91分/カラー/東宝スコープ
●製作:渡辺晋●監督:松林宗恵●脚本:長瀬喜伴ほか●撮影: 鈴木斌●音楽:萩原哲昌●美術:松山崇 ●出演:藤田まこと 白木みのる ハナ肇 藤木悠

◆テレビ番組「てなもんや三度笠」の映画化でシリーズ第3作目。あんかけの時次郎という小坊主・珍念が多彩なゲストを迎えて大騒動を巻き起こす。

心中天網島
1969年/表現社=ATG/103分/白黒
●製作:中島正幸 ●製作監督脚本:篠田正浩●脚本:富岡多恵子 武満徹●撮影:成島東一郎●出演:岩下志麻 中村吉右衛門 小松方正 滝田裕介

◆学生時代からの歌舞伎研究の成果を凝集して近松に取り組んだ篠田の傑作。詩人・富岡多恵子の脚本、成島東一郎の撮影、武満徹の音楽の効果を活かし、生と死のはざまにおかれた狂おしいまでの男女の情念を豊かなエロティシズムをもって描いた。

けんかえれじい
1966年/日活/86分/白黒/ワイド
●企画:大塚和●監督:鈴木清順●脚本:新藤兼人●撮影:萩原憲治●美術:木村威夫●照明:熊谷秀夫●出演:高橋英樹 浅野順子 川津祐介 玉川伊佐男

◆岡山と会津若松を舞台に喧嘩に明け暮れる中学生たちを描く青春ドラマの傑作。アクション、ユーモア、青春期特有のリリシズムがみごとに融合した稀有な作品。

少年
1968年/創造社=ATG/97分/カラー/シネマスコープ
●製作:中島正幸 山口卓治●監督:大島渚●脚本:田村猛●撮影:吉岡康弘 仙元誠三 ●出演:渡辺文雄 小山明子 阿部哲夫 木下剛

◆実際の事件に取材した大島渚の名作。大島監督の『戦後民主主義』に対する愛着と惜別の念を鮮やかに象徴させたこの作品は、リアリスティックでありながら同時に、詩の高みまで達している。

にせ刑事
1967年/大映東京/96分/白黒/ワイド
●企画:伊藤武郎ほか●監督:山本薩夫●脚本:高岩肇●撮影:小林節雄●美術:間野重雄●出演:勝新太郎 加藤大介 吉村実子 姿三千子

◆高岩肇のオリジナル脚本を社会派・山本薩夫が監督したコメディー・タッチの刑事もの。営利誘拐と汚職のからみ合った事件をアウトロー的勝新太郎が解決する痛快娯楽作品である。

白昼の襲撃
1970年/東京映画/88分カラーシネマスコープ
●製作:金子正且●監督脚本:西村潔●脚本:白坂依志夫●撮影:黒田徳三●音楽:日野皓正 ●出演:黒沢年男 高橋紀子 岸田森 殿山泰司

◆社会からはみ出した若者が暗黒社会で非情にのし上がってゆくさまを、奇妙な三角関係をからませながら描くハードボイルド・アクション。黒沢年男のカッコ良さ!

博徒外人部隊
1971年/東映東京/93分/カラー/ワイド
●企画:俊藤浩滋 松平乗道●監督:深作欣二●脚本:神波史男 松田寛夫●撮影:仲沢半次郎●出演:鶴田浩二 安藤昇 若山富三郎 工藤明子

◆全盛期の東映任侠路線においてつくられた鶴田浩二主演もの『博徒』シリーズの第9作。沖縄の本土復帰を目前に、沖縄と本土の関係が寓意されているところが、ふつうのやくざ映画以上に主演の強味になっており、深作欣二の演出も強烈であった。

アッと驚く為五郎
1970年/松竹大船/93分/カラーワイド
●製作:樋口清●監督脚本:瀬川昌治●脚本:田坂啓 永井素夫●撮影:丸山恵司●音楽:菊地俊輔●出演:ハナ肇 梓みちよ 尾崎奈々 佐藤友美

◆関東大震災の日にアッと驚いた母親から生まれ、過去にあまりにも驚きすぎて、今や決して驚かない男となった『為五郎』を主人公にした喜劇シリーズの一作。

人間蒸発
1967年/今村プロ=ATG=日本映画新社/130分/白黒
●企画監督:今村昌平●協力:浦山桐郎●撮影:石黒健治●音楽:黛敏郎●出演:露口茂 早川佳江

◆リアリズムを徹底的に追求する今村昌平の姿勢は劇映画の大作が作りにくくなった映画界の状況と相まって、記録映画に向う。盗み撮りを効果的に使って人間の心を極力裸にしてみせた空前のドキュメンタリーである。

非行少年・若者の砦
1970年/日活/90分/カラー/ワイド
●企画:大塚和 仲川哲朗 ●監督脚本:藤田敏八●脚本:来栖三郎●撮影:萩原憲治●出演:松原千恵子 地井武男 石橋正次 江原真二郎

◆かつて非行少年だった家庭教師と、非行しかかっている高校生を描いた立原正秋原作による異色青春映画。硬質な青春を感じさせる好篇で、70〜71年のいわゆる日活ニューアクションの先駆的位置を占めた。

人斬り
1969年/フジテレビ=勝プロ/140分/カラー/ワイド
●製作:村上七郎ほか●監督:五社英雄●脚本:橋本忍 ●撮影:森田富士郎●音楽佐藤勝●出演:勝新太郎 仲代達矢 石原裕次郎 三島由紀夫

◆五社英雄監督が粘りづよく、エネルギッシュに活写したテロルの美学。勝新太郎が岡田以蔵をエネルギッシュに演じており、スケールのおおきな娯楽時代劇となっている。田中新兵衛役の三島由紀夫の堂々とした剣客ぶりも印象に残る作品である。

赤頭巾ちゃん気を付けて
1970年/東宝/89分/カラー/シネマスコープ
●製作:金子正且 貝山知弘●監督脚本:森谷司郎●脚本:井出俊郎●撮影:中井朝一●出演:岡田裕介 森和代 富岡徹夫 中尾彬

◆日比谷高校から東大へ行くはずの薫クンは、東大入試が中止になった為に、思いもしない高三の冬を過す。同名芥川賞作品の映画化。東宝青春映画で幸せな作品が多い、森谷司郎作品。現、東映重役の岡田祐介のデビュー作。

田園に死す
1974年/人力飛行機舎=ATG/102分/カラー
●製作:監督:原作:脚本:寺山修司●出演:菅貫太郎 八千草薫 三上寛 原田芳雄

◆寺山が自作の歌集を映画化した虚実半ばするフェリーニ的自伝フィルム。青森、下北半島の荒涼とした風景を舞台に展開する「母」を巡る「私」の旅。

高校生ブルース
1970年/大映東京/83分/カラー/ワイド
●企画:藤井浩明 仲野和正●監督:帯盛廸彦●脚本:伊東昌洋●撮影:喜多崎晃●出演:関根恵子 内田喜郎 篠田三郎 八並映子

◆非行高校生の暴力とセックスを扱った『高校生』シリーズの一作で、関根恵子がセンセーショナルなデビューを飾った作品。

サード
1978年/幻燈社=ATG/103分/カラー
●監督:東陽一●脚本:寺山修司●出演:永島敏行 吉田次昭 森下愛子 島倉千代子

◆寺山のシナリオは原作を自由に翻案。「もう頬づえはつかない」など女性映画の名手、東陽一が描く屈折して刹那的な青春像の傑作。

喜劇・女は男のふるさとヨ
1971年/松竹大船/90分/カラー/ワイド
●製作:小角常雄●監督脚本:森崎東●脚本:山田洋次●撮影:吉川憲一●音楽:山本直純 ●出演:森繁久弥 中村メイコ 倍賞美津子 緑魔子

◆ストリッパー斡旋所『新宿芸能社』を舞台に、そこに働く貧しいながらもバイタリティーあふれるストリッパーたちの日常を描いた人情喜劇。藤原審繭の「わが国おんな三割安」を原作にした『女』シリーズの第一作。

初恋・地獄篇
1968年/羽仁プロ=ATG/109分/白黒
●監督:脚本:羽仁進●脚本:寺山修司●出演:高橋章夫 石井くに子 満井幸治

◆「毎日数行、その日に撮影する分の台本が届けられた」という即興的な演出と台 本。素人の役者。ドキュメンタリー出身の奥村祐治のカメラが見事に捉えた感覚美。

奥様は18歳・新婚教室
1971年/国際プロデュースセンターほか/83分カラー/シネマスコープ
●監督脚本:山本邦彦●脚本:石川孝人 潤色:佐々木守 ●撮影:鷲尾馨 ●美術:斎藤嘉男●出演:岡崎友紀 石立鉄男 宍戸錠 藤村有弘

◆原作は『週刊マーガレット』に連載された本科三四子の同名漫画。テレビの連続ドラマが人気を得たために映画化された。岡崎はこの作品でアイドルとなる。

上海異人娼館
1980年/アルゴスフィルム/100分
●監督:脚本:寺山修司●出演:クラウス・キンスキー イザベル・イリエ ピーター

◆P・レアージュの「O娘の物語」の続編「城への帰還」の映画化にしてグロテスクな怪作。ドーマンは「愛のコリーダ」も手がけたフランスの伝説的プロデューサー。

黒の奔流
1972年/松竹大船/90分/カラー/ワイド
●製作:猪股堯●監督脚本:渡辺祐介●脚本:国弘威雄 ●撮影:小杉正雄●出演:山崎努 松坂慶子 佐藤慶 松村達雄

◆原作は松本清張「種族同盟」。殺人容疑で法延に立った旅館の女中と敏腕弁護士。やがて二人の間には情交がめばえるが、男は女中を捨て、女の復讐が始まる。

皆殺しの歌より拳銃よさらば
1960年/東宝/87分/白黒
●監督:須川栄三●脚本:寺山修司●出演:水原弘 島崎雪子 丹波哲郎 仲代達矢

◆「野獣死すべし」でシャープな演出力を見せた須川栄三が再び大薮ハードボイルドに挑む。寺山は、この年「乾いた湖」と共に長篇劇映画の脚本家としてデビュー。

新兵隊やくざ・火線
1972年/勝プロ/92分/カラー/シネマスコープ
●製作:勝新太郎 西岡弘善●監督脚本:増村保造●脚本:東條正年●撮影:小林節雄●出演:勝新太郎 田村高廣 安田道代 宍戸錠

◆勝新太郎の大映時代のヒット映画シリーズ「兵隊やくざ」の第9作目。中国戦線を舞台に大暴れする荒くれ勝とインテリ田村の冒険もこの作品で終末を迎える。

ボクサー
1977年/東映/94分/カラー
●監督脚本:寺山修司●出演:菅原文太 清水健太郎 具志堅用高 小沢昭一

◆自身熱狂的なファンであるボクシングの世界も、寺山が手掛けるとかくして摩訶不思議な映像世界となってしまう。プロボクサーたちの特別出演も見所。

旅の重さ
1972年/松竹大船/90分/カラー/ワイド
●製作:上村務●監督:斎藤耕一●脚本:石森史郎●撮影:坂本典隆●音楽:よしだたくろう●出演:高橋洋子 高橋悦史 横山リエ 砂塚秀夫

◆十六歳の少女が自由を求めてあてのない旅に出る。体も心も大人へ移りつつある少女の不均衡な精神と、女としての本性。この二つの要素のバランスを見事に映像化した。

夕陽に赤い俺の顔
1961年/松竹/82分/カラー
●監督:篠田正浩●脚本:寺山修司●出演:川津祐介 岩下志麻 炎加世子 渡辺文雄

◆「乾いた湖」から4本連作した篠田+寺山コンビのコメディ。殺し屋軍団に狙われる岩下志麻が可憐でよし!まだ監督とは結婚前。

音楽
1972年/行動社=ATG/104分/カラー
●企画:葛井欣士郎 藤井浩明●監督脚本:増村保造●撮影小林節雄 ●美術:間野重雄●出演:黒沢のり子 細川俊之 高橋長英 森次浩司

◆増村が大映時代のスタッフと設立した「行動社」の第一回作品。近親相姦とフロイト的精神分析を扱った三島由紀夫の原作は増村が以前から映画化を希望していた。

さらば箱舟
1984年/劇団ひまわり=人力飛行機舎=ATG/127分/カラー
●監督:脚本:寺山修司●脚本:岸田理生●出演:山崎努 小川真由美 原田芳雄 新高けい子

◆死を覚悟して病の中、現場に臨んだ寺山修司の遺作。あの世とこの世をつなぐ大きな穴を巡る「百年村」の村人たちの物語。名前を忘れる奇病の男、山崎努の名演。

股旅
1973年/崑プロ=ATG/ 96分/フジカラー
●製作:葛井欣士郎ほか●監督脚本:市川崑●脚本:谷川俊太郎 ●撮影:小林節雄 ●出演:萩原健一 小倉一郎 尾藤イサオ 井上れい

◆どん底にいながら成り上がろうとあえぐチンピラ渡世人3人の青春を描いたもの。竹下景子のデビュー作としても記録される作品である。

乾いた湖
1960年/松竹/87分/カラー
●監督:篠田正浩●脚本:寺山修司●出演:三上真一郎 炎加世子 山下洵一郎 高千穂ひづる

◆最新作「スパイ・ゾルゲ」で引退宣言した篠田正浩監督第二作にして寺山との初コンビ作。現代劇から破天荒な時代劇まで、名コンビの作品世界は広がってゆく。

祭りの準備
1975年/綜映社=映画同人社=ATG/117分/カラー/ビスタ ●製作:大塚和ほか 企画:多賀祥介●監督:黒木和雄 原作脚本:中島丈博●撮影:鈴木達夫●出演:江藤潤 馬渕晴子 竹下景子 原田芳雄
◆脚本家中島丈博の自伝的小説の映画化。青春のみずみずしさが染みわたる佳編で、観念的な傾向のある黒木の映画づくりの裏にひそむロマンティックな面が出ていて興味深い。

書を捨てよ町へ出よう
1971年/人力飛行機舎=ATG/137分/カラー
●製作:監督脚本原作:寺山修司●出演:佐々木英明 平泉征 斎藤正治 丸山明宏

◆「映画館の片隅で腰掛けてたって、何もはじまらないよ」と、世の中の若者たちに永遠に問いかけ続けるテラヤマワールド全開の実験映画。今、あえて観てご覧。