アジアの純真


©2009 PURE ASIAN PROJECT

2020年1月20日(月)〜1月31日(金)
連日20:30より1回のみ上映
ラピュタ阿佐ヶ谷

見て見ぬふりはもうヤメだ!

誰もが世界平和を願っている。だが世界では戦争が続き、憎しみは連鎖し、次の悲劇の火種を生む。日本やアジアも、そうした歴史を繰り返してきた。そんなアジアの片隅で、ある少年と少女が出あい、やがて彼らは“テロリスト”と呼ばれるようになる。なぜ彼らは、そこまで世界を憎んでしまったのか。その悲しみの行方とは……。

その過激なテーマからロッテルダムなど海外映画祭で物議を醸した一方、「白黒の奇跡」と絶賛を浴びた衝撃作、今ふたたび。

【トークイベント】

会期中、ゲストをお招きしてトークイベントを開催します。

1月20日(月)
黒田耕平さん(出演)
1月21日(火)
太田昌国さん(評論家)
1月22日(水)
小中和哉さん(映画監督)
1月23日(木)
馬奈木厳太郎さん(弁護士)
1月24日(金)
ハン・トンヒョンさん(日本映画大学准教授〈社会学〉)
1月25日(土)
小林三四郎さん(配給・宣伝)
1月26日(日)
末永賢さん(映画監督・本作助監督)、茶谷和行さん(本作助監督)
1月27日(月)
シミズヒトシさん(「現代用語の基礎知識」前編集長)
1月28日(火)
片嶋一貴監督、末永賢さん
1月29日(水)
山田勝仁さん(演劇評論家)
1月30日(木)
安井国穂さん(脚本家)
1月31日(金)
菱山南帆子さん(市民運動家)
  • ● 聞き手(全回):井上淳一さん(脚本家)
  • ● イベントは上映後に開催予定です。

■ストーリー

2002年秋、北朝鮮による拉致事件で反朝鮮感情が蔓延するなか、チマチョゴリを着た在日朝鮮人の女子高生が、チンピラに殺害される事件が発生した。その殺害現場に偶然居あわせ、恐怖から見て見ぬふりをしてしまった気弱な日本人高校生。彼は後日被害者の妹と知りあう。やがて、第二次世界大戦時の毒ガスの瓶を発見した二人は、それをリュックに詰めこむと自転車に乗り、ある目的を果たすための旅に出るのだった……。

■作品DATA

  • 2011年(H23)/ドッグシュガー、ロード・トゥ・シャングリラ/白黒/108分
  • 監督:片嶋一貴
  • 脚本:井上淳一
  • 撮影:鍋島淳裕
  • 美術:佐々木記貴
  • 音楽:ken sato
  • 出演:韓英恵、笠井しげ、黒田耕平、丸尾丸一郎、川田希、パク・ソヒ、白井良明、若松孝二

■ 料金

一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円
※水曜サービスデー…1,000円均一

■ メッセージ

「アジアの純真」がまた映画館で上映されるのは、嬉しいことです。なかなか多くの人の目に触れることが難しい作品なので……。撮影は2009年1月、劇場公開は2011年の10月でした。この映画は、韓英恵という女優がいなければ成立しえないものでした。18歳の韓英恵。この年齢でしか出し得ない異様な殺気と脆さが同居し、特有のオーラを醸し出している。偏狭な精神から自由になるためにもがき苦しむ純真な魂に、社会の正義など、いかに不確かなものなのか……。そこに、人間存在の不条理があると考えます。すでに韓英恵は29歳。時代は変わり、変わらないものは何も変わらない。今現在、この映画がどんなふうに受入れられるのか、とても楽しみです。

〈監督 片嶋一貴〉

戦後最悪と言われる日韓関係。ネットばかりか、ワイドショーでも反韓嫌韓ヘイトまがいの言葉が平然と語られる。ヘイトはそんなに視聴率がとれるのだろうか。叩いても文句を言われないものを叩く品性の卑しさ。「強制連行」が「徴用工」と呼び名を変えて久しい。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」が中止になったのも、KAWASAKIしんゆり映画祭の『主戦場』上映中止騒動も、最大の原因は慰安婦だ。誰も自分たちのことを、歴史を、振り返らない。この国が彼の国で何をしてきたか。足を踏まれた者にしか足を踏まれた者の痛みは分からないのだとしても、これは酷すぎるのではないだろうか。いつかどこかで見た風景。戦前? いや、もっと近く。例えば、2002年。拉致問題が騒がれていた頃の、国を挙げての北朝鮮大バッシング。あの頃の空気にソックリだ。その後も、やれミサイルだ、やれ核開発と騒いだはいいが、金正恩がトランプと握手した途端にトーンダウン。今度はお隣の国が敵になる。それを煽って何になるというのだろう。

『アジアの純真』は2003年にシナリオを書き、09年に撮影され、11年に公開された映画だが、この映画で描いたことと何も変わらない現実。双子の姉を殺された在日朝鮮人少女は旧日本軍が不法投棄した毒ガスを手に入れ、日本という国に復讐するために旅に出る。報復の連鎖。その先に何が待っているのか?

香港では若者たちのデモに警察の暴力がエスカレート、権力は弾圧を隠さなくなった。イランでもペルーでもデモが激化、パレスチナではイスラエル軍との激突が続き、カシミール地方を巡って印パは一触即発、米中関係も温暖化も悪化の一途、辺野古の埋め立ては続き、福島では原発汚染水が垂れ流され続け、我が国の首相はウソしかつかない。分断と対立。なぜ同時多発的に世界中でクソバカな指導者が誕生してしまったのか。

そんな今だからこそ、『アジアの純真』を再上映したいと思った。幸い、全国各地で手を挙げてくれる同志がいた。新潟、茨城、長野、大阪、広島、名古屋、埼玉と回り、ついに東京再上陸。この映画は公開時、「反日映画」と散々叩かれた。反日、上等。今、この国を愛せよという方が不可能だ。日本人が作った「反日映画」を題材して、この国がどうしたらもう少しマシになるか考えたい。主人公は言う。「どうやったら、世界は変わるの?」と。答えなんて出るワケがない。でも、問いかけるだけではダメだ。この映画が、考えるはじめの一歩になればと願っています。

〈脚本 井上淳一〉

作品画像

「アジアの純真」がまた映画館で上映されるのは、嬉しいことです。なかなか多くの人の目に触れることが難しい作品なので……。撮影は2009年1月、劇場公開は2011年の10月でした。この映画は、韓英恵という女優がいなければ成立しえないものでした。18歳の韓英恵。この年齢でしか出し得ない異様な殺気と脆さが同居し、特有のオーラを醸し出している。偏狭な精神から自由になるためにもがき苦しむ純真な魂に、社会の正義など、いかに不確かなものなのか……。そこに、人間存在の不条理があると考えます。すでに韓英恵は29歳。時代は変わり、変わらないものは何も変わらない。今現在、この映画がどんなふうに受入れられるのか、とても楽しみです。

〈監督 片嶋一貴〉

戦後最悪と言われる日韓関係。ネットばかりか、ワイドショーでも反韓嫌韓ヘイトまがいの言葉が平然と語られる。ヘイトはそんなに視聴率がとれるのだろうか。叩いても文句を言われないものを叩く品性の卑しさ。「強制連行」が「徴用工」と呼び名を変えて久しい。あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」が中止になったのも、KAWASAKIしんゆり映画祭の『主戦場』上映中止騒動も、最大の原因は慰安婦だ。誰も自分たちのことを、歴史を、振り返らない。この国が彼の国で何をしてきたか。足を踏まれた者にしか足を踏まれた者の痛みは分からないのだとしても、これは酷すぎるのではないだろうか。いつかどこかで見た風景。戦前? いや、もっと近く。例えば、2002年。拉致問題が騒がれていた頃の、国を挙げての北朝鮮大バッシング。あの頃の空気にソックリだ。その後も、やれミサイルだ、やれ核開発と騒いだはいいが、金正恩がトランプと握手した途端にトーンダウン。今度はお隣の国が敵になる。それを煽って何になるというのだろう。

『アジアの純真』は2003年にシナリオを書き、09年に撮影され、11年に公開された映画だが、この映画で描いたことと何も変わらない現実。双子の姉を殺された在日朝鮮人少女は旧日本軍が不法投棄した毒ガスを手に入れ、日本という国に復讐するために旅に出る。報復の連鎖。その先に何が待っているのか?

香港では若者たちのデモに警察の暴力がエスカレート、権力は弾圧を隠さなくなった。イランでもペルーでもデモが激化、パレスチナではイスラエル軍との激突が続き、カシミール地方を巡って印パは一触即発、米中関係も温暖化も悪化の一途、辺野古の埋め立ては続き、福島では原発汚染水が垂れ流され続け、我が国の首相はウソしかつかない。分断と対立。なぜ同時多発的に世界中でクソバカな指導者が誕生してしまったのか。

そんな今だからこそ、『アジアの純真』を再上映したいと思った。幸い、全国各地で手を挙げてくれる同志がいた。新潟、茨城、長野、大阪、広島、名古屋、埼玉と回り、ついに東京再上陸。この映画は公開時、「反日映画」と散々叩かれた。反日、上等。今、この国を愛せよという方が不可能だ。日本人が作った「反日映画」を題材して、この国がどうしたらもう少しマシになるか考えたい。主人公は言う。「どうやったら、世界は変わるの?」と。答えなんて出るワケがない。でも、問いかけるだけではダメだ。この映画が、考えるはじめの一歩になればと願っています。

〈脚本 井上淳一〉