はじめの第一歩 −映画監督50人の劇場デビュー作集

■ 作品解説 / / / /

4月3日(日)〜5日(火)

銀嶺の果て

1947年(S22)/東宝/白黒/88分

『銀嶺の果て』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:谷口千吉/脚本:黒澤明/撮影:瀬川順一/美術:川島泰三/音楽:伊福部昭
■出演:三船敏郎、志村喬、若山セツ子、河野秋武、小杉義男、高堂国典、深見泰三、坂内永三郎、大町文夫、望月伸光

強盗三人組が捜査網を逃れて北アルプスへ。やがて彼らは、老人と孫娘、登山家の三人が暖をとる山小屋に辿りつく──。谷口千吉が自身の登山家体験をいかし、日本映画には珍しい山岳アクションとして好評を得た。三船敏郎も本作でデビュー。

4月3日(日)〜9日(土)

愛妻物語

1951年(S26)/大映京都/白黒/97分

『愛妻物語』写真

©KADOKAWA 1951

■監督・脚本:新藤兼人/撮影:竹村康和/美術:水谷浩/音楽:木下忠司
■出演:乙羽信子、宇野重吉、大河内傳次郎、菅井一郎、滝沢修、香川良介、英百合子、清水将夫、殿山泰司、原聖四郎、大美輝子

新藤兼人自身のシナリオ修行時代を題材とした半自伝的物語。彼を励まし、支えた夫人との交流を描き、爽やかな感動を呼ぶ。滝沢修扮する大監督は、師と仰いだ溝口健二がモデル。また本作で終生のコンビとなる女優・乙羽信子をみいだす。

4月3日(日)〜9日(土)

丹下左膳 こけ猿の壷

1954年(S29)/大映京都/白黒/86分 ※16mm

『丹下左膳 こけ猿の壷』写真

©KADOKAWA 1954

■監督:三隅研次/原作:林不忘/脚本:衣笠貞之助/撮影:牧田行正/美術:上里義三/音楽:西梧郎
■出演:大河内傳次郎、高峰三枝子、坂東好太郎、柳永二郎、杉山昌三九、高堂国典、上田寛、蔵方しげる

百万両のありかを秘めた「こけ猿の壷」をめぐる争奪戦に、隻眼隻手のアナーキーな剣客・丹下左膳が活躍する──。大映時代劇の名匠・三隅研次の監督デビュー作は、戦前の山中貞雄作品のリメイク。大河内傳次郎としてはこれが最後の左膳役に。

4月6日(水)〜12日(火)

狂った果実

1956年(S31)/日活/白黒/86分

『狂った果実』写真

©日活

■監督:中平康/原作・脚本:石原慎太郎/撮影:峰重義/美術:松山崇/音楽:佐藤勝、武満徹
■出演:石原裕次郎、北原三枝、津川雅彦、東谷暎子、岡田真澄、藤代鮎子、深見泰三、木浦昭芳

湘南太陽族の兄弟が、美貌の人妻をめぐって争う──。56年、助監督籍のまま『狙われた男』を演出した中平康だが、本作が先に公開されセンセーショナルな監督デビューを飾る。そのスタイリッシュな映像感覚は若きトリュフォーを熱狂させたほど。

4月6日(水)〜16日(土)

泉へのみち

NEW

1955年(S30)/東宝/白黒/92分

『泉へのみち』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:筧正典/原作:広津和郎/脚本:池田一朗/撮影:中井朝一/美術:村木忍/音楽:伊福部昭
■出演:有馬稲子、根上淳、高峰三枝子、藤木悠、河内桃子、宮口精二、若山セツ子、北沢彪

新人女性記者「クルリさん」が、取材を通して社会の厳しい現実に向きあいながら、少しずつ成長していく──。広津和郎の同名原作をもとに、筧正典が溌剌とした演出をみせデビューを飾る。ヒロインにはこの小説の映画化を熱望していたという有馬稲子。

4月10日(日)〜12日(火)

東京のえくぼ

1952年(S27)/新東宝/白黒/87分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品

『東京のえくぼ』写真

©国際放映

■監督:松林宗恵/脚本:小国英雄/撮影:小原譲治/美術:進藤誠吾/音楽:服部良一
■出演:上原謙、丹阿弥谷津子、高峰秀子、小林桂樹、柳家金語楼、古川緑波、江川宇礼雄、田中春男、清川虹子

スリと間違え警察に突きだした男は、就職先の社長だった──!松林宗恵の監督デビュー作は、キュートで洒脱、ぴりりと諷刺のきいた都会派コメディ。下町育ちの女秘書が、ロボット青年社長の乾いた心に爽やかな風を誘いこむ。

4月10日(日)〜16日(土)

くちづけ

1957年(S32)/大映東京/白黒/74分

『くちづけ』写真

©KADOKAWA 1957

■監督:増村保造/原作:川口松太郎/脚本:舟橋和郎/撮影:小原譲治/美術:下河原友雄/音楽:塚原晢夫
■出演:川口浩、野添ひとみ、三益愛子、小沢栄太郎、見明凡太朗、村瀬幸子、若松和子、清水谷薫、入江洋佑

拘置所の面会室で知りあった男女が、くちづけによって結ばれるまでの二日間。伊・国立映画実験センター留学を経て増村保造が第一回作品として監督。「従来の日本映画にない新鮮な感覚」と評され、日活の中平康とともに新世代作家のトップへと躍りでた。

4月13日(水)〜19日(火)

俺は待ってるぜ

1957年(S32)/日活/白黒/90分

『俺は待ってるぜ』写真

©日活

■監督:蔵原惟繕/脚本:石原慎太郎/撮影:高村倉太郎/美術:松山崇/音楽:佐藤勝
■出演:石原裕次郎、北原三枝、小杉勇、二谷英明、植村謙二郎、草薙幸二郎、波多野憲、藤代鮎子

ブラジルに渡った兄からの便りを待ち続ける元ボクサー。『銀座の恋の物語』『憎いあンちくしょう』(62)など石原裕次郎主演作を多く手がけた蔵原惟繕の第一回作品。裕次郎にとっても次作『嵐を呼ぶ男』(57)でブレイクする前の大きなステップに。

4月13日(水)〜19日(火)

結婚のすべて

1958年(S33)/東宝/白黒/84分

『結婚のすべて』写真

©TOHO CO.,LTD.

■監督:岡本喜八/脚本:白坂依志夫/撮 影:中井朝一/美術:阿久根巖/音楽:馬渡誠一
■出演:雪村いづみ、新珠三千代、上原謙、三橋達也、仲代達矢、団令子、山田真二、藤木悠、ミッキー・カーチス

情熱のない見合い結婚はまっぴらゴメン、断然、恋愛結婚だ──。当時アイドルスタアとして絶頂期を迎えていた雪村いづみをヒロインに据え「新しい結婚と性のモラル」を描いた風俗喜劇。喜八印のテンポとリズム、カットの妙は処女作から発揮されている。

4月17日(日)〜19日(火)

心と肉体の旅

1958年(S33)/日活/白黒/90分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品

『心と肉体の旅』写真

©日活

■監督・脚本:舛田利雄/原作:井上友一郎/撮影:姫田真佐久/美術:松山崇/音楽:真鍋理一郎
■出演:南田洋子、中原早苗、葉山良二、安井昌二、南寿美子、楠田薫、金子信雄、二谷英明

日活アクションを代表する監督の一人、舛田利雄のデビュー作は井上友一郎原作のメロドラマ。スタアを夢みて上京した二人の乙女──社長令嬢・南田洋子と孤児・中原早苗が、ニューフェース試験を境に明暗さまざまな青春航路をたどる。

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