レイトショー
「必殺大上映 仕掛けて仕損じNIGHTS」
2023年6月17日(土)〜8月19日(土)
ラピュタ阿佐ヶ谷 21:00START ※8月13日(日)〜19日(土)のみ20:30
ザムザ阿佐谷(ラピュタビルB1)19:10 START
ラピュタ阿佐ヶ谷
はらせぬ恨みをはらし、許せぬ人でなしを消す──1972年の『必殺仕掛人』から今なお続く必殺シリーズは、殺し屋を主人公にした掟破りのテレビ時代劇であり、奇抜な殺し技、光と影の映像美、マカロニウエスタン調の音楽などが融合して、たちまち人気番組に。朝日放送と松竹のコンビによる必殺シリーズ、この度テレビを飛び出して史上最大の特集上映を行います。池波正太郎原作の『必殺仕掛人』、オリジナルの第2弾『必殺仕置人』、そして『新必殺仕置人』を中心に初期シリーズと劇場版から24本を厳選。深作欣二、三隅研次、工藤栄一ほか監督陣の個性に野上龍雄をはじめ脚本家の腕が冴えわたる。2023年は池波正太郎生誕100年の年であり、藤田まこと演じる中村主水──必殺シリーズを代表するキャラクターが登場して50年という節目です。夏の夜の貴重なスクリーンでの上映、どうぞこの機会にご覧あれ!
text by 高鳥都(ライター)
【トークイベント】
6月17日(土)21:00『必殺仕掛人 第1話 仕掛けて仕損じなし』上映後
ゲスト:山田誠二さん(作家)、高鳥都さん(ライター)
【上映作品】
《ラピュタ阿佐ヶ谷》
『必殺仕掛人 第1話 仕掛けて仕損じなし』『必殺仕掛人 第2話 暗闘仕掛人殺し』『必殺仕掛人 第19話 理想に仕掛けろ』『必殺仕掛人 第21話 地獄花』『必殺仕置人 第1話 いのちを売ってさらし首』『必殺仕置人 第4話 人間のクズやお払い』『必殺仕置人 第5話 仏の首にナワかけろ』『必殺仕置人 第15話 夜がキバむく一つ宿』『新必殺仕置人 第1話 問答無用』『新必殺仕置人 第8話 裏切無用』『新必殺仕置人 第17話 代役無用』『新必殺仕置人 第31話 牢獄無用』『新必殺仕置人 第41話 解散無用』『必殺!III 裏か表か』
《ザムザ阿佐谷(ラピュタビルB1)》
『必殺仕置人 第3話 はみだし者に情なし』『暗闇仕留人 第5話 追われて候 』『必殺仕置屋稼業 第15話 一筆啓上欺瞞が見えた 』『新必殺仕置人 第11話 助人無用 』『助け人走る 第2話 仇討大殺陣』『必殺必中仕事屋稼業 第11話 表を裏で勝負』『必殺仕置屋稼業 第19話 一筆啓上業苦が見えた』『必殺仕業人 第3話 あんたあの娘をどう思う』『必殺からくり人 第2話 津軽じょんがらに涙をどうぞ』『必殺からくり人 血風編 第1話 魔窟に潜む紅い風』
【上映日程】
《ラピュタ阿佐ヶ谷》連日21:00START
6.17[土]〜19[月]
必殺仕掛人 第1話 仕掛けて仕損じなし
1972年(S47)9月2日/朝日放送、松竹/カラー/48分 ※16mm ◯国立映画アーカイブ所蔵作品
■監督:深作欣二/原作:池波正太郎/脚本:池上金男/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:林与一、緒形拳、津坂匡章、中村玉緒、山村聡
必殺シリーズは、ここから始まった。金をもらって恨みをはらす仕掛人……浪人の西村左内(林与一)、鍼医者の藤枝梅安(緒形拳)、元締の音羽屋半右衛門(山村聰)らの裏稼業を描く。異色の設定と深作欣二のエネルギッシュな演出が時代劇の歴史を変えた記念碑的作品。
6.20[火]〜22[木]
必殺仕掛人 第2話 暗闘仕掛人殺し
1972年(S47)9月9日/朝日放送、松竹/カラー/48分 ※16mm ◯国立映画アーカイブ所蔵作品
■監督:深作欣二/原作:池波正太郎/脚本:国弘威雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:緒形拳、林与一、白木万理、野川由美子、山村聡
殺し屋同士の死闘と梅安の過去を扱って、深作アクションますます絶好調。オリジナル展開の第1話に次いでは、池波正太郎の原作「殺しの四人」を『幕末残酷物語』の国弘威雄が大胆にアレンジする。暴虐非道な鷹匠に遠藤太津朗が扮し、みごと悪の華を咲かせて針の餌食に。
6.23[金]〜27[火]
必殺仕掛人 第19話 理想に仕掛けろ
1973年(S48)1月6日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※Blu-ray
■監督:松本明/原作:池波正太郎/脚本:山田隆之/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:林与一、緒形拳、片山明彦、村上冬樹、珠めぐみ、佐藤慶
「あさま山荘事件」をモチーフにした籠城劇。必殺シリーズの現代性を象徴する1本であり、世直しの倒幕を目指す革命集団・陽天塾の変貌、そして左内と梅安の対立を活写。塾長の清沢正堂に佐藤慶を配し、朝日放送の鬼才・松本明が荒野のマカロニ時代劇を叩きつけた。
6.28[水]〜30[金]
必殺仕掛人 第21話 地獄花
1973年(S48)1月20日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※16mm ◯国立映画アーカイブ所蔵作品
■監督:三隅研次/原作:池波正太郎/脚本:安倍徹郎/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:緒形拳、津坂匡章、金井由美、田村高廣、山村聡
仕官を夢見る浪人夫婦の悲劇を描いた『仕掛人』の代表作。O・ヘンリーの短編を元ネタにした脚本は安倍徹郎、大映の名匠・三隅研次が田村高廣をゲストに無情なる世界を貫く。雪夜の殺しで梅安が目にしたものは……。1話・2話とともに貴重な16 mmフィルムでの上映。
7.1[土]〜5[水]
必殺仕置人 第1話 いのちを売ってさらし首
1973年(S48)4月21日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※Blu-ray
■監督:貞永方久/脚本:野上龍雄/撮影:石原興/美術:倉橋利韶/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、沖雅也、野川由美子、白木万理、津坂匡章、菅井きん、藤田まこと
念仏の鉄(山﨑努)、棺桶の錠(沖雅也)、鉄砲玉のおきん(野川由美子)、おひろめの半次(津坂匡章/現・秋野太作)、中村主水(藤田まこと)が仕置人を結成。法で裁けぬ悪に挑む。シリーズ第2弾にして、その後の礎となった大傑作であり、今出川西紀、大滝秀治、菅貫太郎とゲストも充実。
7.6[木]〜8[土]
必殺仕置人 第4話 人間のクズやお払い
1973年(S48)5月12日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※16mm ◯国立映画アーカイブ所蔵作品
■監督:三隅研次/脚本:野上龍雄/撮影:石原興/美術:倉橋利韶/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、沖雅也、伊藤栄子、高松英郎、林隆三、黒沢年男、藤田まこと
やくざの抗争で犠牲者続出、聖天の政五郎(黒沢年雄)率いる極悪集団を討つべく仕置人が立ち上がる。鉄による骨はずしのレントゲン映像もここぞとばかりに炸裂。脚本は第1話に続いて野上龍雄、東映任俠映画の名手が『仕置人』のバイタリティあふれる世界観を決定づけた。
7.9[日]〜13[木]
必殺仕置人 第5話 仏の首にナワかけろ
1973年(S48)5月19日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※Blu-ray
■監督:大熊邦也/脚本:山田隆之/撮影:中村富哉/美術:倉橋利韶/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、沖雅也、遠藤辰雄、正司照枝、藤田弓子、山田吾一、藤田まこと
島帰りの安蔵(山田吾一)は、鉄の命の恩人だった。お人好しの安蔵は茶店の軒先での芋屋商売を広げていくが……。朝日放送の監督・大熊邦也の実体験をもとに脚本が執筆され、ナワを使った仕置も仰天の落とし前。町奉行所同心の主水には自らの手を汚さぬ見せ場あり。
7.14[金]〜18[火]
必殺仕置人 第15話 夜がキバむく一つ宿
1973年(S48)7月28日/朝日放送、松竹/カラー/47分 ※Blu-ray
■監督:蔵原惟繕/脚本:浅間虹児/撮影:石原興/美術:倉橋利韶/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、沖雅也、堺左千夫、大森義夫、左時枝、伊佐山ひろ子、殿山泰司
11人いた!旅先での仕置を終えての帰路、鉄と錠が足止めを食らった廃屋で連続殺人が発生。豪雨のなか居合わせた面々の疑心暗鬼が交錯する。日活で野心的な現代劇を手がけてきた蔵原惟繕のシリーズ初作品にして、撮影・照明との連携や朽ちたセットも抜群の密室スリラー。
7.19[水]〜23[日]
新必殺仕置人 第1話 問答無用
1977年(S52)1月21日/朝日放送、松竹/カラー/46分 ※Blu-ray
■監督:工藤栄一/脚本:野上龍雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、火野正平、中尾ミエ、岸田森、山崎努
中村主水と念仏の鉄が再会、ふたたび裏稼業に手を染める。新たな仲間は巳代松(中村嘉葎雄)、正八(火野正平)、おてい(中尾ミエ)の三人だ。東映集団抗争時代劇の旗手であり、必殺シリーズのメイン監督として存在感を示した工藤栄一が10作目の幕開けを託された。
7.24[月]〜28[金]
新必殺仕置人 第8話 裏切無用
1977年(S52)3月11日/朝日放送、松竹/カラー/46分 ※Blu-ray
■監督:高坂光幸/脚本:野上龍雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、名和宏、伊達三郎、亀石征一郎、山崎努
標的をめぐって仕置人一味が仲間割れ、鉄が主水を制裁!助監督としてシリーズを支えてきた高坂光幸が野上龍雄の変化球シナリオを託されて堂々の登板。殺し屋組織「寅の会」の元締・虎に扮したのは初代ミスタータイガースの藤村富美男、その殺し技も大いなる見どころだ。
7.29[土]〜8.2[水]
新必殺仕置人 第17話 代役無用
1977年(S52)5月20日/朝日放送、松竹/カラー/46分 ※Blu-ray
■監督:高坂光幸/脚本:保利吉紀/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、桜木健一、志摩みずえ、高木均、山崎努
火野正平演じる正八のメイン回。幼馴染の友吉(桜木健一)と再会した正八だが、新婚である友吉の様子がおかしい……。逆光シルエット、執拗な長回し、荒々しい手持ちカメラと情感たっぷりの高坂演出が市井の悲劇を捉える。火野による挿入歌「想い出は風の中」まで作られた絶品。
8.3[木]〜7[月]
新必殺仕置人 第31話 牢獄無用
1977年(S52)8月26日/朝日放送、松竹/カラー/46分 ※Blu-ray
■監督:松野宏軌/脚本:松原佳成/撮影:藤原三郎/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、今井健二、清水綋治、穂高稔、山崎努
伝馬町の牢屋敷で籠城事件が勃発!町奉行を人質に囚人たちが蜂起するなか牢内に潜入していた巳代松にも危機が及ぶ。松竹京都たたき上げの松野宏軌が「牢ジャック」という松原佳成の奇想を丹念に映像化。サスペンスフルな展開に差し込まれる『新仕置人』らしいアドリブも楽しい。
8.8[火]〜12[土]
新必殺仕置人 第41話 解散無用
1977年(S52)11月4日/朝日放送、松竹/カラー/46分 ※Blu-ray
■監督:原田雄一/脚本:村尾昭/撮影:藤原三郎/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、佐藤慶、清水綋治、藤村富美男、山崎努
念仏の鉄が散る、いまや伝説の最終回。「そう、あんたの思ったとおりだよ、諸岡さん」──三人目の仕置人こと中村主水による殺し文句、そして怒りのめった斬りを見よ。巳代松の捕縛から始まるシナリオは崩壊劇の名手・村尾昭、佐藤慶に清水綋治とワルも強烈な存在感を放つ。
8.13[日]〜19[土]※20:30START
必殺!Ⅲ 裏か表か
1986年(S61)/松竹、朝日放送、京都映画/カラー/126分
■監督:工藤栄一/脚本:野上龍雄、保利吉紀、中村勝行/撮影:石原興/美術:太田誠一/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、鮎川いずみ、三田村邦彦、松坂慶子
80年代の必殺仕事人ブームによって製作された劇場版の第3弾は、それまでの娯楽路線から一転、原点回帰のハードな作品に。闇の金融組織に翻弄され、仕事人があえなく次々と命を落とす。必殺ワールドを舞台に工藤栄一の集団抗争時代劇ふたたび、中村主水の怒号が響く!
●料金
一般…1,300円 / シニア・学生…1,100円 / 会員…900円
※水曜サービスデー…1,100円均一
《ザムザ阿佐谷(ラピュタビルB1)》19:10START
2本立て/すべてBlu-rayでの上映です。
6.30[金]〜7.2[日]◉主水セレクション
必殺仕置人 第3話 はみだし者に情なし
1973年(S48)5月5日/朝日放送、松竹/カラー/47分
■監督:松本明/脚本:安倍徹郎/撮影:石原興/美術:倉橋利韶/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、沖雅也、常田富士男、茶川一郎、入川保則、藤田まこと
「いいか!奉行所はな、北町と南町だけじゃねえぞ。ここにもあるんだ……ここに地獄の奉行所がな!」。中村主水の怒りが炸裂するハード回。目ん玉潰され光を失った乞食の無念をはらすべく、生身の人間の恨みをこめて仕置人たちが色欲まみれの大物連中に立ち向かう。
暗闇仕留人 第5話 追われて候
1974年(S49)7月27日/朝日放送、松竹/カラー/47分
■監督:田中徳三/脚本:猪又憲吾/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:石坂浩二、近藤洋介、福田公子、志摩みずえ、山本麟一、藤田まこと
大福講……いわゆるマルチ商法の元締に仕立て上げられ、逃げ惑う母と娘。カネを失った大衆の憎悪は止まらない。白昼堂々、眼前でふたりの死を止められなかった無力さを経て、シャープな縦構図のなか主水がシリーズ屈指の暗殺術を披露する。これぞ表と裏の顔による醍醐味!
7.7[金]〜9[日]◉大物ゲストセレクション
必殺仕置屋稼業 第15話 一筆啓上欺瞞が見えた
1975年(S50)10月10日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:蔵原惟繕/脚本:国弘威雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:沖雅也、新克利、渡辺篤史、綿引洪、山田五十鈴、藤田まこと
山田五十鈴がゲスト出演し、三味線の師匠役に。その後のレギュラー入りのきっかけとなった作品。不肖の愛弟子を演じた綿引勝彦(当時・綿引洪)を相手に7分以上のワンカット長回しで女の業とゆらぎを見せつける。撮影の石原興も記憶に残る回として振り返った圧巻の芸道もの。
新必殺仕置人 第11話 助人無用
1977年(S52)4月8日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:大熊邦也/脚本:中村勝行/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:藤田まこと、中村嘉葎雄、白川和子、田口計、嵐寛寿郎、山崎努
鞍馬天狗を当たり役とした往年の時代劇スター・嵐寛寿郎が「天狗の鞍三」なる老仕置人に。若き恋女房のために殺しを請け負い、鉄や巳代松が陰ながらサポートに回る。アラカンの存在感が全編を覆うユーモラス回であり、木場の狭い路地における主水の四人殺しにも瞠目。
7.21[金]〜23[日]◉松野宏軌セレクション
助け人走る 第2話 仇討大殺陣
1973年(S48)10月27日/朝日放送、松竹/カラー/47分
■監督:松野宏軌/脚本:国弘威雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演: 田村高廣、中谷一郎、野川由美子、渥美国泰、志村喬、山村聡
シリーズ最多演出を誇った職人監督・松野宏軌の活劇回。まさに助け人が走りまくり、縦横無尽のカメラが15人相手の決闘を追う。主人公の中山文十郎を演じるのは田村高廣、父・阪東妻三郎が主演した映画『血煙高田の馬場』のフィルムを使ってのオマージュも愉快なり。
必殺必中仕事屋稼業 第11話 表を裏で勝負
1975年(S50)3月15日/朝日放送、松竹/カラー/47分
■監督:松野宏軌/脚本:石川孝人/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:緒形拳、林隆三、中尾ミエ、浜田寅彦、草薙幸二郎、草笛光子
ギャンブルブームを反映したシリーズ第5弾は緒形拳と林隆三によるバディもの。飛脚が次々と襲われ、その裏にある陰謀を仕事屋が暴く。これまた「走り」をモチーフにした活劇回、凝りに凝った松野演出が堪能できる。元締の嶋屋おせいを演じた草笛光子の殺しもあざやか。
7.28[金]〜30[日]◉工藤栄一セレクション
必殺仕置屋稼業 第19話 一筆啓上業苦が見えた
1975年(S50)11月7日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:工藤栄一/脚本:安倍徹郎/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:沖雅也、新克利、石橋雅史、汐路章、佐藤慶、藤田まこと
人を斬るとは、どういうことか……必殺シリーズ最大の問題作。中村主水のかつての兄弟子、師匠を殺して逐電した木原兵三郎が修行僧の全覚として仕置の的に。安倍徹郎と工藤栄一のコンビが成し遂げた異形の番外編であり、佐藤慶演じる全覚と主水の対峙は鳥肌ものだ。
必殺仕業人 第3話 あんたあの娘をどう思う
1976年(S51)1月30日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:工藤栄一/脚本:野上龍雄/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:中村敦夫、大出俊、中尾ミエ、テレサ野田、宍戸錠、藤田まこと
みなカネにうるさい仲間と組み、牢屋敷に左遷された主水は貧しい日々のなか殺しに精を出す。愛犬を殺された少女の恨みをはらすドラマに「光と影の魔術師」と呼ばれた工藤栄一が本領発揮。ゲストは『八月の濡れた砂』のテレサ野田と日活アクションのエース・宍戸錠!
8.4[金]〜6[日]◉蔵原惟繕セレクション
必殺からくり人 第2話 津軽じょんがらに涙をどうぞ
1976年(S51)8月6日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:蔵原惟繕/脚本:早坂暁/撮影:石原興/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:緒形拳、森田健作、ジュディ・オング、中川三穂子、岡田英次、山田五十鈴
早坂暁をメインライターに迎えて現代と江戸時代を交錯させた実験作『からくり人』、山田五十鈴の三味線をフィーチャーした第2話はギャラクシー賞を受賞するなど蔵原惟繕のシリーズ代表作に。『津軽じょんがら節』の中川三穂子をゲストに目が見えぬ瞽女の地獄旅を涙で綴る。
必殺からくり人 血風編 第1話 魔窟に潜む紅い風
1976年(S51)10月29日/朝日放送、松竹/カラー/46分
■監督:蔵原惟繕/脚本:村尾昭/撮影:中村富哉/美術:川村鬼世志/音楽:平尾昌晃
■出演:山崎努、浜畑賢吉、ピーター、吉田日出子、宮本信子、草笛光子
幕末を舞台にした異色シリーズの第1話。エキストラを大量に使って、大がかりなクレーン撮影まで敢行。動乱の品川宿をパワフルに描き抜いて、蔵原惟繕ここにあり。山﨑努演じる主人公「土左ヱ門」の殺しは漆黒のシルエットに白い雪と緑の水面を組み合わせて存分の仕上がり。
●料金
一般…1,600円 / シニア・学生…1,400円 / 会員…1,200円
【書籍案内】
必殺シリーズ秘史 50年目の告白録
高鳥都/著
立東舎 定価2,750円(税込)
必殺シリーズを象徴する光と影の映像美や撮影・音響のテクニック、奇想天外な殺し技を実現させてきた京都映画(現・松竹撮影所)のスタッフを中心とした総勢30名に徹底取材を敢行。当時まだ32歳の若手だったキャメラマンの石原興をはじめ照明、録音、編集、効果、殺陣、記録、演出部、製作部ほか各パートの職人たちが必殺シリーズを振り返る。初めて明かされる各作品の舞台裏に緒形拳や藤田まことら出演者の思い出、深作欣二や工藤栄一ら名匠の演出術などなど。ラストを飾るスペシャルインタビューには俳優の山﨑努が登場、シリーズ屈指の殺し屋「念仏の鉄」を語り尽くす。
必殺シリーズ異聞 27人の回想録
高鳥都/著
立東舎 定価2,750円(税込)
『必殺シリーズ秘史』に続く第2弾。前回未収録のプロデューサーから始まり、再録ふくめた9人の脚本家を中心に題字、音楽、タイミング(色彩補正)など撮影所以外の関係者にまで取材範囲を拡大。さらには現場を支えた京都映画のスタッフ座談会や初期作監督の独占インタビューも掲載。キャストは中尾ミエ、中村敦夫、火野正平と歴代シリーズを彩った3人が登場し、インタビューの名手・高鳥都がそれぞれの必殺人生を掘り起こす。藤田まこと演じる中村主水初登場の『必殺仕置人』50周年にふさわしい充実の内容がここに結実!

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