荷風と谷崎

谷崎潤一郎

12月16日(日) 〜18日(火)

痴人の愛('49)

1949年(S24)/大映京都/白黒/89分 ※16mm

『痴人の愛('49)』写真

(c)角川映画

■監督・脚本:木村恵吾/脚本:八田尚之/撮影:竹村康和/照明:加藤庄之助/美術:上里義三/音楽:飯田三郎
■出演:京マチ子、宇野重吉、森雅之、菅井一郎、清水将夫、三井弘次、奈良岡朋子

女遊びなどしたこともない中年男・譲治が、出張先でふと知りあったカフェーの女給・ナオミ。その魅力の虜となった譲治は、彼女を理想通りの女にしようとするのだが…。天衣無縫のエロチシズムで男をとろけさせる女・ナオミを京マチ子が好演、出世作となった。

谷崎潤一郎

12月16日(日) 〜22日(土)

乱菊物語

1956年(S31)/東宝/白黒/96分

『乱菊物語』写真

(c)東宝

■監督:谷口千吉/脚本:八住利雄/撮影:飯村正/照明:横井総一/美術:北猛夫、阿久根巌/音楽:團伊玖磨
■出演:池部良、八千草薫、小堀明男、上田吉二郎、杉山昌三九、藤原釜足、浪花千栄子、北川町子

室町時代の末期、瀬戸内海は室の津に君臨する絶世の美女・陽炎をめぐって繰りひろげられる波瀾万丈の活劇ロマン。谷崎潤一郎の同名小説を映画化したもので、ヒロイン・陽炎に扮した八千草薫の美しさには目をみはるばかり。

永井荷風

12月16日(日) 〜22日(土)

裸体

1962年(S37)/にんじんくらぶ/カラー/85分

■監督・脚本:成沢昌茂/撮影:川又昂/照明:三浦礼/美術:宇野耕司/音楽:武満徹、岩佐譲二
■出演:瑳峨三智子、川津祐介、進藤英太郎、山田五十鈴、千秋実、杉浦直樹、長門裕之、浪花千栄子

勤め先の所長に囲われる身となった左喜子は女としての自分の価値を知り、やがて男から男へと渡り歩くようになっていく…。原作は“女”という対象に打ち込んで、独自の境地を築きあげた永井荷風の短篇小説。ヒロインの天衣無縫な生き様を愛情をこめて描く。

谷崎潤一郎

12月19日(水) 〜25日(火)

春琴物語

1954年(S29)/大映東京/白黒/111分 ※16mm

『春琴物語』写真

(c)角川映画

■監督:伊藤大輔/脚本:八尋不二/撮影:山崎安一郎/照明:安藤真之助/美術監督:伊藤熹朔/美術:木村威夫/音楽:伊福部昭
■出演:京マチ子、花柳喜章、船越英二、伏見和子、進藤英太郎、楠よし子、青山杉作、杉村春子

香り高き谷崎文学の代表作『春琴抄』を映画化したもの。盲目ながら芸の道に精進する娘・春琴と、彼女を主とあがめ師と慕い、幼い頃から日夜かしずくことの喜びにふるえる下男の佐助──。二人の揺るぎない愛の物語を、情感たっぷりに描いた一篇。

谷崎潤一郎

12月19日(水) 〜25日(火)

鍵('59)

1959年(S34)/大映東京/カラー/107分

『鍵('59)』写真

(c)角川映画

■監督・脚本:市川崑/脚本:和田夏十、長谷部慶治/撮影:宮川一夫/照明:伊藤幸夫/美術:下河原友雄/音楽:芥川也寸志
■出演:京マチ子、中村鴈治郎、叶順子、仲代達矢、北林谷栄、菅井一郎、倉田マユミ、潮万太郎、山茶花究

初老の夫と妖艶な妻、その娘と婚約者の四人がおりなす異常な関係──。芸術かワイセツか?日本中に賛否の嵐を呼んだ谷崎潤一郎の問題作『鍵』を映画化したもの。当時としては大胆で刺激的なベッドシーンや風呂場のシーンが話題となった。

谷崎潤一郎

12月23日(日) 〜29日(土)

台所太平記

1963年(S38)/東京映画/カラー/110分

『台所太平記』写真

(c)東宝

■監督:豊田四郎/脚本:八住利雄/撮影:岡崎宏三/照明:榊原庸介/美術:伊藤熹朔/音楽:團伊玖磨
■出演:森繁久彌、淡島千景、乙羽信子、西村晃、山茶花究、淡路恵子、水谷良重、団令子、大空真弓、池内淳子、小沢昭一、三木のり平

原作は谷崎潤一郎の随筆的同名小説。戦前から六〇年代初頭にかけて、老小説家夫婦の家に雇われた家政婦さん達の生態をユーモアたっぷりに描いていく。芸達者な女優陣の競演がみどころで、特に淡路恵子扮する家政婦・小夜のキャラクターは強烈。

永井荷風

12月23日(日) 〜29日(土)

四畳半襖の裏張り

1973年(S48)/日活/カラー/71分

『四畳半襖の裏張り』写真

(c)日活

■監督・脚本:神代辰巳/撮影:姫田真佐久/照明:直井勝正/美術:菊川芳江
■出演:宮下順子、江角英明、山谷初男、丘奈保美、絵沢萠子、芹明香、東まみ、粟津號、吉野あい

『四畳半襖の下張』の映画化で、大正中期の騒乱を背景に、遊び人の中年男と芸者の情交など、花柳界をめぐる男女の悲喜こもごもを描く。むし暑い夏の夜に密室で展開する男女の色事──。薄暗い蚊帳の中から宮下順子の汗ばんだ肌が艶やかに浮かびあがる。

谷崎潤一郎

12月26日(水) 〜30日(日)、1月3日(木) 〜5日(土)

讃歌

1972年(S47)/近代映画協会、ATG/カラー/112分

『讃歌』写真

(c)ATG

■監督・脚本:新藤兼人/撮影:黒田清己/照明:岡本健一/美術:渡辺竹三郎/音楽:林光
■出演:渡辺督子、河原崎次郎、乙羽信子、原田大二郎、武智鉄二、初井言栄、殿山泰司、戸浦六宏

琴三弦の名手、盲目の美少女・お琴と、使用人・佐助との道なき愛の秘め事──。あまりにも有名な谷崎潤一郎の『春琴抄』を、新藤兼人が脚本・監督。愛の“掠奪”と“献身”の凄まじい葛藤が、やがて常識の域をふみこえた美的恍惚の世界へと広がっていく。