トークイベント

  • 2月28日(土)21:00『恋狂い』上映前 ゲスト:白川和子さん
  • 4月11日(土)21:00『秘本 袖と袖』上映後 ゲスト:上垣保朗監督

※他ゲスト、調整中。決まり次第HPにてお知らせいたします。

2月28日(土)〜3月9日(月)

恋狂いニュープリント

1971年(S46)/日活/カラー/74分

『恋狂い』写真

©日活

■脚本:小早川純/撮影:松原芳男/美術:三船国彦/音楽:奥沢散策
■出演:白川和子、大泉隆二、葵三津子、左京未知子、溝口拳、久遠利三、滝左太郎

航海士の矢島は四十日間の船旅を終えて、新妻火奈子(白川和子)と会えるのを心待ちにしていたが、火奈子の姿は部屋から消え失せていた。一体何があったのか。映画は愛しい夫を待ちわびすぎて、精神が混乱をきたしていく女の性の彷徨と、失踪した妻を探す男の狂おしいフーガを描く。加藤彰の鮮烈なロマンポルノ第一作で、脚本の小早川純も加藤の変名。「殺しのブルース」に導かれて、互いの幻影を探す男女は、思いがけない破滅的な宿命を辿っていく。傑作!

3月10日(火)〜16日(月)

学生妻 しのび泣き

1972年(S47)/日活/カラー/71分

『学生妻 しのび泣き』写真

©日活

■脚本:今田正紀/撮影:畠中照夫/美術:三船国彦/音楽:真田勉
■出演:片桐夕子、加島功、白川和子、牧恵子、曽野節子、山口明美、三川裕之

今は鳴かず飛ばずの、元人気GSバンドのボーカルのジミー(加島功)と、彼の追っかけだった夕子(片桐夕子)。二人は四畳半で同棲し、夕子はけなげに彼につくしている。タイトルバックでうっすらと笑いを浮かべて、学生服のまま二人の部屋に戻る片桐夕子の儚さ。ジミーは他の女と寝たり、夕子を売って麻雀の借金をチャラにするようなひどい男だが、夕子の盲目的な愛で二人は離れることができない。寂しい木枯しが吹く中で思いつめていく少女が悲しい。

3月17日(火)〜23日(月)

艶説 お富与三郎

1972年(S47)/日活/カラー/73分

『艶説 お富与三郎』写真

©日活

■脚本:木俣堯喬/撮影:畠中照夫/美術:菊川芳江/音楽:坂田晃一
■出演:続圭子、五條博、山科ゆり、木夏衛、中原功二、中平哲仟、浜口竜哉

歌舞伎の演目『与話情浮名横櫛』をロマンポルノとして大胆にアレンジ。加藤彰初の時代劇作品。江戸天保期、源左衛門の女だったお富は、伊豆屋の与三郎と恋仲になり、それを源左衛門に知られたため二人は海に投げ込まれた。お富も与三郎も命を取り留めるが、それぞれが宿命に操られて因果を辿っていく。加藤彰の描く女が、強烈な意志をもって断罪的な人殺しを行う、その最初の作品。日活撮影所にあった時代劇セットによって、豊潤な演劇的世界が展開する。

3月24日(火)〜4月1日(水)

OL日記 牝猫の情事ニュープリント

1972年(S47)/日活/カラー/75分

『OL日記 牝猫の情事』写真

©日活

■脚本:加藤彰/撮影:姫田真佐久/美術:渡辺平八郎/音楽:月見里太一
■出演:中川梨絵、宮下順子、山田克朗、絵沢萠子、葵三津子、五條博、織田俊彦

中川梨絵という美貌でエキセントリックな女優の魅力が、狂気という形で最大限発揮された作品。しのぶ(中川梨絵)は上司織部の勧めでお見合いをした翌日から、会社を休み続ける。織部は様子を見にしのぶのマンションを訪れるが、突然しのぶは扉に南京錠をかけ、鍵を窓から捨ててしまう。強制的な同棲生活。しかし男もどこか人生に退屈していて、しのぶの異常な言動に戸惑いながらも、映画は彼女を終始美しい狂乱として愛おしむ。宮下順子との対比も見事。

4月2日(木)〜8日(水)

愛に濡れたわたし

1973年(S48)/日活/カラー/75分

『愛に濡れたわたし』写真

©日活

■脚本:吉原幸夫/撮影:萩原憲治/美術:菊川芳江/音楽:奥沢散策
■出演:宮下順子、青木リナ、中川梨絵、石津康彦、高橋明、長弘、花村みどり、あべ聖

もっとも不可思議で、複雑な女性心理を複雑なままに、まやかしのように描いた奇妙なテイスト。失踪した妻を探す京平は港町を訪れ、美和(宮下順子)と成り行きで関係を持つ。京平は妻を探しながらも美和との交際が始まる。美和は謎めいた行動をとり、妹と名乗る女も現れ、たびたび「あなたの奥さんの居場所がわかった」と言いながら、京平を露骨に欺き続ける。飄々と面食らうような挙動をとりつつも、それが一途な愛ゆえな、宮下順子のいじらしさに落涙。

4月9日(木)〜15日(水)

秘本 袖と袖

1974年(S49)/日活/カラー/78分

『秘本 袖と袖』写真

©日活

■脚本:田中陽造/撮影:高村倉太郎/美術:柳生一夫/音楽:月見里太一
■出演:宮下順子、風間杜夫、中島葵、梢ひとみ、井上博一、花柳幻舟、吉野あい、高橋明

鶴田(風間杜夫)は小説をかじりつつ、友人村木の妹である常子(梢ひとみ)に英語を教えていた。ある夜、鶴田はとある家へ招き入れられた。家人の君子(宮下順子)は、夫が日露戦争に出征中の軍人で、寂しさのあまり知人の男を相手にしていたのだが、今夜は見間違いが起こったのだ。鶴田は好機と思ったが、しかし彼女の股間には貞操帯がはめられていた。田中陽造脚本による、明治期の近づく軍靴の音がし、肺を病み、酔えない酒と愛欲が蔓延する頽廃の物語。

4月16日(木)〜22日(水)

愛獣 赤い唇

1981年(S56)/にっかつ/カラー/68分

『愛獣 赤い唇』写真

©日活

■脚本:西脇英夫、古都元/撮影:米田実/美術:中沢克己/音楽:甲斐八郎
■出演:泉じゅん、高原リカ、大高範子、井上博一、大江徹、松風敏勝、関川慎二

五年の刑期を務めて出所した、コールガールの礼(泉じゅん)。昔の仲間ユキは悪いヒモの新二にたかられ、奈美は足を洗って夫の仁と喫茶店を開いていた。礼も情夫のヤクザ高村と再会。だが、礼が仲間のためにかぶった組長の息子殺しの事実が明らかになっていき、奈美夫婦や高村と礼の関係は壊れていく。罪をあがなおうとする女の、激しい末路に度肝を抜かれ、愛する男も義侠心を失えば許さない女の意地に痺れる。背中で泣いてる泉の後ろ姿のカッコ良さ。

4月23日(木)〜29日(水)

新妻地獄

1975年(S50/日活/カラー/76分

『新妻地獄』写真

©日活

■原作:団鬼六/脚本:久保田圭司/撮影:仁村秀信/美術:川船夏夫/音楽:奥沢散策
■出演:谷ナオミ、東てる美、井上博一、五條博、粟津號、絵沢萠子、吉井亜樹子、三川裕之

嫁ぎ先から、不意に戻ってきた雪路(谷ナオミ)。弟の重夫は驚くが、雪路は夫影井との仲に問題はないという。彼女は責め絵のモデルとなったり、たまたまSM趣味のある相沢と知り合い、互いに惹かれるようになる。相沢に嬲られることを望み、到底満たされない嗜虐欲は雪路を追い詰めていく。彼女がマゾヒズムに目覚めたのには、暗い過去があったのだ。十代の少女を演じる谷ナオミに頬が緩んでしまうが、陰惨な思い出は侘しく冷たい風が胸を吹き抜けるよう。

4月30日(木)〜5月8日(金)

奴隷妻ニュープリント

1976年(S51)/日活/カラー/73分

『奴隷妻』写真

©日活

■原作:団鬼六/脚本:桃井章/撮影:前田米造/美術:渡辺平八郎/音楽:真鍋理一郎
■出演:谷ナオミ、水城ゆう、高橋明、花上晃、小泉郁之助、小林亘、横田マリ子

たゆたう女性心理を描くのを得手とした加藤彰の、珍しく男性目線によるハードな一作。没落した一族の玲子(谷ナオミ)は、元は使用人の運転手で、今は高利貸しとして成り上がった山本(高橋明)に借金を申し出る。だが玲子を愛していた山本は彼女を拉致。連日いたぶり続け、いつしか玲子も正気を失い山本に仕えるようになり……。本作は高橋明唯一の主演作であり、男の冷ややかなロマンと愛が行き着く最果てを描いた、異形の傑作。この女体盛りは戦慄モノ!

5月9日(土)〜15日(金)

女教師 童貞狩り

1976年(S51)/日活/カラー/74分

『女教師 童貞狩り』写真

©日活

■脚本:鹿水晶子/撮影:姫田真佐久/美術:徳田博/音楽:荒野忠
■出演:渡辺外久子、秋津令子、田島はるか、南郷俊介、清水国雄、三上剛、中台祥浩

男子高校で美術を教える若い女教師ひかる(渡辺外久子)。男子生徒たちは彼女とセックスする妄想をし、毎日を悶々と過ごしている。ひかるには中年男性の恋人がいたが、彼の年頃の娘に邪魔され、さらに同僚に迫られたり男子生徒の悪ふざけで悩みが絶えない。そして冬季合宿のスキー場で、生徒たちの欲望は爆発する……。真冬のリフトシーンでは俳優たちの苦労を思いやってしまう。男たちに自分を分け与えた後の、ひかるの歩むことも止める女の空虚さが痛む。

5月16日(土)〜22日(金)

女子大生の告白 赤い誘惑者

1980年(S55)/にっかつ/カラー/69分

『女子大生の告白 赤い誘惑者』写真

©日活

■脚本:紀ノ山涼子/撮影:萩原憲治/美術:柳生一夫/音楽:高田信
■出演:紀ノ山涼子、山口美也子、岡尚美、朝霧友香、吉川遊土、佐竹一男、高橋明、藤井智憲、大河内稔

和歌山大学の現役女子大生だった紀ノ山涼子が脚本を書き、主演も務めたことから話題となった作品。教育学部の春子(紀ノ山涼子)は高級クラブのホステスとして働き、担当教授の愛人もしている。ある日、教授に作家の大谷を紹介され、大谷の強引さに根負けして惹かれるようになる春子。同時に彼女は欲望の赴くまま、ホステスを辞めて緊縛ショーのストリッパーに転身する。大谷の書きとめた謎のプロットが、加藤彰らしい血腥さを招く不思議なバランスに注目。

5月23日(土)〜29日(金)

OL日記 濡れた札束

1974年(S49)/日活/カラー/76分

『OL日記 濡れた札束』写真

©日活

■脚本:宮下教雄/撮影:萩原憲治/美術:川原資三/音楽:樋口康雄
■出演:中島葵、絵沢萠子、堂下かずき、浜口竜哉、賀川修嗣、高橋明、堺美紀子、叶今日子

前年秋に起こったばかりの滋賀銀行巨額横領事件がモデル。近年のロマンポルノ特集上映に伴い、再評価の高まった加藤彰の代表作。オールドミスになりかけの銀行員の女が、偶然知り合った若い男を愛し、彼のために横領を働いてしまう。逃亡中の彼女が人のいい中年男と同棲する姿や、孤独でやるせなかった時期が静謐に、現在と過去を往来しながら描かれる。主演の中島葵の謙虚な立ち居振る舞いが胸に染む、特集の最後を飾るにふさわしい厳かな冬の陽光に満ちた作品。

■料金

一般/1,200円 シニア・学生/1,000円 会員/800円 水曜サービスデー/1,000円均一

■インフォメーション

  • 各回定員入れ替え制
  • 午前10時15分より当日の全回分の整理番号付き入場券を発売します。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
  • 上映開始後10分を過ぎてのご入場はお断りさせていただきます。
  • 作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。