5月16日(日) 〜18日(火)

ズームイン 暴行団地

1980年(S55)/にっかつ/カラー/67分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品

『ズームイン 暴行団地』写真

©日活

■監督:黒沢直輔/脚本:桂千穂/撮影:森勝/美術:川船夏夫/音楽:高田信
■出演:宮井えりな、梓ようこ、大崎裕子、志賀圭二郎、松風敏勝、影山英俊、錆堂連、高樹レイ、山地美貴、片桐夕子

暴行三部作の最終作。暴行と団地妻を合わせたら当たるだろうと題名をつけたら企画が通り中身は好き放題。悪夢、暴行魔、燃え上がる妊婦。ダリオ・アルジェント以上のジャーロに。ラストは監督が勝手にやったと言うがきっちり脚本に書いてある。

5月16日(日) 〜22日(土)

愛欲の標的(ターゲット)

1979年(S54)/にっかつ/カラー/71分

『愛欲の標的(ターゲット)』写真

©日活

■監督:田中登/原作:勝目梓/脚本:桂千穂/撮影:水野尾信正/美術:林隆/音楽:本多信介
■出演:宮井えりな、水島美奈子、日野繭子、河西健司、中丸信、長島隆一、石山雄大、絵沢萠子

桂の洋画ベストワンの『情婦マノン』をやろうと脚本を執筆。女の死体を逆さに担ぎ、『悪魔のような女』からは浴槽の中の死体とアンリ・ジョルジュ・クルーゾーからの影響が濃厚なサスペンス。全員悪人の殺し合いは『アウトレイジ』よりも桂千穂が先。

5月19日(水) 〜25日(火)

薔薇と鞭

1975年(S50)/日活/カラー/71分

『薔薇と鞭』写真

©日活

■監督:遠藤三郎/脚本:桂千穂/撮影:萩原憲治/照明:熊谷秀夫/美術:柳生一夫/音楽:世田ノボル
■出演:二條朱実、山科ゆり、井上博一、丘奈保美、影山英俊

夫を捨て家出した妻が少女を拾い連れ帰る。やがて女が女を飼育して性の奴隷と化す。団鬼六以外のSMという事からフランスの小説『イマージュ』をイタダキ。この作品で伊藤亮爾プロデューサーと出会い転機となった作品。

5月19日(水) 〜25日(火)

俗物図鑑

1982年(S57)/STUDIO200/カラー/86分 ※16mm

『俗物図鑑』写真

©KMプロ

■監督・脚本:内藤誠/原作:筒井康隆/脚本:桂千穂/撮影:阪本善尚/音楽:ヒカシュー
■出演:平岡正明、巻上公一、竹中労、南伸坊、入江若葉、山城新伍、安岡力也、山本晋也、大林宣彦

筒井康隆の大ファンの桂・内藤がATGに持ち込むが断られたので自主製作を決行。俳優への私怨からカルト文化人ばかり出演させ中には大林宣彦も。アドリブに見える演出は全て脚本通り。筒井は自分の小説の映像化で初めて満足したと語った。

5月19日(水) 〜25日(火)

()る!

1978年(S53)/にっかつ/カラー/69分

『暴(や)る!』写真

©日活

■監督・脚本:長谷部安春/脚本:桂千穂/撮影:前田米造/美術:林隆/音楽:ジャノ・モラレス
■出演:八城夏子、青山涼子、今井健二、花上晃、岡尚美、椎谷健治、加藤寿、八代康二、島村謙次

閉鎖的な街に女が迷い込むアメリカ映画的田舎ホラー。だが一つ違うのは出てくる男は全員暴行魔だった。それだけでも狂っているのに桂版不思議の国のアリスはさらに斜め上に狂っていく。この映画を観ろと脚本家志望者に言い続けたその真意は何か。

5月23日(日) 〜29日(土)

ふたり

1991年(H3)/Galuk、PSC、NHKエンタープライズ/カラー/150分

『ふたり』写真

©PSC

■監督:大林宣彦/原作:赤川次郎/脚本:桂千穂/撮影:長野重一/美術:薩谷和夫/音楽:久石讓
■出演:石田ひかり、中嶋朋子、尾美としのり、島崎和歌子、増田恵子、岸部一徳、富司純子

少女が姉の幽霊との対話の中で成長し、姉の影と決別する。青春の心の揺れを繊細に描く裏にやはり濃厚な死の影。生きているような幽霊のイメージは『生きている小平次』。大林映画ならこれ、と本人お墨付きの一本。ラストは色々な意味で驚愕必至。

5月26日(水) 〜29日(土)

宇能鴻一郎の人妻いじめ

1982年(S57)/にっかつ/カラー/65分

『宇能鴻一郎の人妻いじめ』写真

©日活

■監督:白鳥信一/原作:宇能鴻一郎/脚本:桂千穂、内藤誠/撮影:水野尾信正/美術:川船夏夫/音楽:甲斐八郎
■出演:寺島まゆみ、吉沢由起、丹古母鬼馬二、小松明義、沼田爆、山田実、大谷康之

中学教師と結婚した若い人妻。マイホームを手に入れローン返済のため下宿人を置くが、来たのは熟れきった熟女。その婚約者と姉夫婦が入り乱れ、夫婦生活は翻弄される。明るくいかにも宇能鴻一郎の世界の脚本を桂と内藤は一週間位でパッと書いた。

5月26日(水) 〜29日(土)

縄と乳房

1983年(S58)/にっかつ/カラー/69分

『縄と乳房』写真

©日活

■監督:小沼勝/原案:小寺朝/脚本:宇治英三(桂千穂)/撮影:野田悌男/美術:木村威夫
■出演:松川ナミ、志麻いづみ、仙波和之、田山涼成、高橋明、佐川泉、庄司三郎、高林陽一

SMもので川口松太郎をやると誰が想像するだろうか。「映画はイタダキで作る」と公言した桂が示す見事なお手本。やがて男女の腐れ縁は師匠白坂の父八住利雄の世界へ。『鶴八鶴次郎』『夫婦善哉』を読んでから観ればこれほど実践的な脚本の授業はない。

解説:日本シナリオ作家協会

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