表現との格闘 Aプログラム 計6作品/80分

『鬼』写真

『花折り』

1968年/カラー/14分/16mm

『犬儒戯画』

1970年/カラー/8分/35mm

『鬼』

1972年/カラー/8分/35mm

『道成寺』写真

『旅』

1973年/カラー/12分/35mm

『詩人の生涯』

1974年/カラー/19分/35mm

『道成寺』

1976年/カラー/19分/35mm

チェコのトルンカスタジオから帰国した川本喜八郎は精力的に作品を発表。ユーモアあふれる『花折り』、皮肉の効いた『犬儒戯画』、シュールな世界観の『旅』、叙情豊かな『詩人の生涯』——。様々な表現を模索しながら、川本美学の原点ともいえる『鬼』、そして女の執心を描いた傑作、『道成寺』が誕生する。狂おしいほどの情念を抱えた女の鬼気迫る表情に息をのむ。

人形芸術は国を越えて Bプログラム 計4作品+1作品

『火宅』写真

『火宅』

1979年/カラー/19分/35mm

『セルフポートレート』

1988年/カラー/1分/35mm

『不射之射』写真

『いばら姫またはねむり姫』

1990年/カラー/22分/35mm

『注文の多い料理店』

1991年/カラー/19分/16mm

二人の男の愛に苦しむ女を描いた『火宅』により川本喜八郎の様式美はひとつの到達点へ。一方で、岸田今日子原作『いばら姫またはねむり姫』をチェコで共同制作、トルンカへのオマージュを捧げる。その後、急逝したアニメーション監督・岡本忠成から制作を引き継ぎ、『注文の多い料理店』を完成。多岐にわたる交流から円熟を増す作品群。

11.7[日]—9[火] 『ちびくろさんぼのとらたいじ』
11.10[水]—13[土] 『ふしぎな太鼓』
11.14[日]—16[火] 『こぶとり』

11.17[水]—20[土]
『不射之射』1988年/カラー/25分/35mm

射る仕種のみで獲物を射止める「不射之射」。川本喜八郎は弓に核兵器を暗喩させ、平和を願う気持ちを込めたという。中国との合作。

執心から解脱へ 死者の書

2006年/カラー/70分/35mm

■監督・脚本:川本喜八郎/原作:折口信夫/美術:工藤瑞樹/音楽:廣瀬量平/プロデューサー:福間順子
■声の出演:宮沢りえ、観世 之丞、黒柳徹子、江守徹、榎木孝明、三谷昇、新道乃里子、岸田今日子

これまで「執心」を主題にしていた川本喜八郎が、本作では「執心の先にある解脱」を主題に取り組む。8世紀半ばの奈良を舞台に、万物に霊が宿るという当時の世界観をふまえて、日本人の心に受け継がれる魂の物語を紡いでいく——。発案以来30年もの構想を経て完成された、川本喜八郎の集大成ともいえる作品。

川本喜八郎 (かわもと きはちろう)

1925年東京生まれ。小学校時代から人形をつくりはじめ、太平洋戦争後、東宝の美術助手になり映画の現場へ。劇作家・飯沢匡に人形づくりの才能を認められ、人形芸術プロダクション結成。やがてCMのプランから人形づくり、演出までをこなすようになる。1963年、38歳のとき、単身チェコに渡りイジィ・トルンカのもとで学ぶ。日本の伝統的な美を取り入れた作品は国内外で高く評価され、各国の映画祭で上映、受賞を重ねる。2010年8月23日死去。享年85歳。

特別上映 持永只仁監督作品/人形製作:川本喜八郎

『ちびくろさんぼのとらたいじ』

1956年/白黒/18分/16mm

『ふしぎな太鼓』

1957年/白黒/19分/16mm

『こぶとり』

1958年/白黒/21分/16mm

27歳の時、トルンカの作品に衝撃を受けた川本喜八郎は、日本における人形アニメーションの祖・持永只仁のもとでアニメーションの基礎を学んだ。人形製作で川本喜八郎が参加した持永只仁監督の貴重な作品を特別に上映いたします。

※Bプログラムにて追加上映

人形の写真

蓮如とその母

1981年/カラー/92分/16mm

『蓮如とその母』写真

■監督・人形・アニメーション:川本喜八郎/脚本:新藤兼人/原作:平井清隆/プロデューサー:安東民兒/音楽:武満徹
■声の出演:大門正明、渡辺美佐子、池上季実子、三國連太郎、小沢昭一、泉ピン子、高松英郎、小池朝雄

室町時代。念仏で民衆の心を支えた蓮如上人の物語。川本作品では珍しい台詞劇の作品に豪華実力派役者陣が集う。数多くの人形がひしめく戦闘シーンに圧倒される壮大な一大絵巻。

※チラシの掲載情報に誤りがありました。
 (誤)35mm→(正)16mm
訂正してお詫び申し上げます。

衛星劇場『日本映画監督列伝 川本喜八郎』(全4回)

2007年/カラー/120分

聞き手:植草信和(元キネマ旬報編集長)

衛星劇場で放映された番組を今回特別に上映。川本喜八郎が貴重な資料映像とともに東宝撮影所時代からチェコ留学、各作品に対する思いを語る。

第1回 昭和21年、東宝美術部からの出発
労働争議と映画論議 劇作家・飯沢匡、持永只仁監督との出会い
第2回 巨匠イジィ・トルンカのもとへ
チェコ留学の日々 初の自主作品「花折り」不条理第1作「鬼」
第3回 川本美学の完成
「道成寺」「火宅」「不射之射」「いばら姫またはねむり姫」
第4回 集大成「死者の書」
折口信夫への挑戦/テレビでの仕事「三国志」「平家物語」他

※途中5分間の休憩をはさみます

連句アニメーション 冬の日

2003年/カラー/105分/35mm

『連句アニメーション 冬の日』写真

■企画・監修:川本喜八郎/参加作家:ユーリー・ノルシュテイン、大井文雄、野村辰寿、鈴木伸一、福島治、石田卓也、ラウル・セルヴェ、守田法子、島村達雄、奥山玲子、小田部羊一、アレクサンドル・ぺトロフ、久里洋二、米正万也、うるまでるび、林静一、一色あづる、ブジェチスラフ・ポヤル、保田克史、片山雅博、マーク・ベイカーほか

松尾芭蕉の発句を受けて詠みつがれる「連句」をアニメーション化するという川本喜八郎の大胆な試みに、国内外から35人もの錚々たる作家が集結。各作家の個性に、アニメーション表現の豊かさをあらためて感じる一篇。発句をつとめたユーリー・ノルシュテインは来日するたびに川本喜八郎と交流を重ねた。

■ 上映スケジュール

11
7(日) 〜9(火) 1:00
Aプログラム
(80分)
3:00
Bプログラム
ちびくろさんぼ

(79分)
5:00
死者の書
(70分)
7:00
蓮如とその母
(92分)
10(水) 〜13(土) 1:00
Bプログラム
ふしぎな太鼓

(80分)
3:00
Aプログラム
(80分)
4:50
冬の日
(105分)
7:00
死者の書
(70分)
14(日) 〜16(火) 1:00
蓮如とその母
(92分)
3:00
日本映画監督列伝
途中休憩5分※

(120分)
5:30
Bプログラム
こぶとり

(82分)
7:10
Aプログラム
(80分)
17(水) 〜20(土) 1:00
死者の書
(70分)
2:50
冬の日
(105分)
5:00
Aプログラム
(80分)
7:00
Bプログラム
不射之射

(86分)

■ 料金・インフォメーション

【料金(当日)】

一般:1,200円 / シニア・学生:1,000円 / 会員:800円 / 水曜サービスデー:1,000円均一
※『日本映画監督列伝 川本喜八郎』のみ500円

【インフォメーション】

  • ●各回定員入れ替え制
  • ●午前10時15分より当日の全回分の整理番号付き入場券を発売します。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
  • ●上映開始後10分を過ぎてのご入場はお断りさせていただきます。
  • ●作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。