この監督、この一本。スケジュールラピュタ阿佐ヶ谷

作品解説【1】 【2】 【3】 【4】


島津保次郎『浅草の灯』 5.23[日]−25[火]
1937年/松竹大船/白黒/76分 ※16mm
■脚本:池田忠雄/原作:浜本浩/撮影:生方敏夫/音楽:早乙女光  ■出演:上原謙、高峰三枝子夏川大二郎、西村青児、杉村春子、藤原かね子、坪内美子、武田秀郎


十二階、ジンタ、オペレッタ…
島津保次郎の甘い回想


大正期を舞台に浅草オペラの世界を描く風俗映画。浅草という街と人間模様を、仄かな感傷とロマンチシズムのなかに生々しくとらえ、息もつかせず「オペラ華やかなりし頃の浅草」にひきずりこんでくれる。杉村春子がオペラ一座のプリマドンナ役で歌い踊る。



今村昌平『にあんちゃん』 5.23[日]−29[土]
1959年/日活/白黒/101分
■脚本:池田一朗、今村昌平原作:安本末子/撮影:姫田真佐久/音楽:黛敏郎/美術:中村公彦  ■出演:長門裕之、松尾嘉代沖村武、前田暁子、北林谷栄吉行和子、二谷英明


十歳の少女の日記を映画化
今平としては異色の一本


不景気に覆われた炭鉱町が舞台。両親のいない貧しい兄妹が健気に生きる姿を、センチメンタルな描写を避け、現地ロケをいかして見事にとらえた。今村はこの作品が文部大臣賞を受けたことを“不名誉”とし、次作『豚と軍艦』を製作した。



川島雄三『わが町』 5.23[日]−29[土]
1956年/日活/白黒/98分
■脚本:八住利雄/原作:織田作之助/撮影:高村倉太郎/音楽:真鍋理一郎/美術:中村公彦  ■出演:辰巳柳太郎、南田洋子、大坂志郎、殿山泰司、高友子、北林谷栄、小沢昭一


織田作と川島、短命の天才ふたりが
描きとどめた“わが町・大阪”


フィリピンの困難な道路建設に尽力した男が、人力車をひいて娘と孫娘を育てあげる…。頑固一徹、純情な男の生涯を明治・大正・昭和にわたって描いた一代記。織田作と早くから親交を結び、強い影響をうけていた川島が満々たる意欲で挑んだ大阪庶民伝。



伊藤大輔『素浪人罷通る』 5.26[水]−6.1[火]
1947年/大映京都/白黒/80分 ※16mm
■脚本:八尋不二/撮影:川崎新太郎/音楽:西梧郎/美術:角井平吉  ■出演:阪東妻三郎、大友柳太郎、喜多川千鶴、守田勘弥、片山明彦


屋根の上の大立回り
“イドウダイスキ”の面目躍如


伊藤大輔が十数年にわたる大スランプから脱した戦後第一作で、講談ネタでおなじみ「徳川天一坊」が題材。当時は米軍による規制が厳しくチャンバラは禁止、それを逆手にとった演出でドラマを盛り上げた。ご存知バンツマが刀を使わず魅せる悲愴美に酔う。



岡本喜八『どぶ鼠作戦』 5.26[水]−6.1[火]
1962年/東宝/白黒/102分
■脚本:岡本喜八/撮影:逢沢譲/音楽:佐藤勝/美術:育野重一  ■出演:加山雄三、佐藤允、夏木陽介、中谷一郎、田中邦衛、砂塚秀夫、中丸忠雄


『独立愚連隊』三部作第三弾!
敵はどいつだ!


岡本喜八の戦争アクション。第二次世界大戦末期の中国大陸、捕虜となった大尉を救出するため、はみだし兵たちが敵陣を強行突破する。「空手三段な炊事軍曹・三好」役の中谷一郎は、四月一日逝去。享年七十三歳。合掌。



斎藤寅次郎『東京キッド』 5.30[日]−6.5[土]
1950年/松竹大船/白黒/81分
■脚本:伏見晁/原作:長瀬喜伴/撮影:長岡博之/音楽:万城目正/美術:浜田辰雄  ■出演:美空ひばり、川田晴久、堺駿二、高杉妙子、西條鮎子、花菱アチャコ、榎本健一


喜劇の神様・寅次郎が贈る
唄と笑い、そして涙の豪華版


アメリカ帰りの美空ひばりと川田晴久主演のコメディ。ふたりにとっては育ての親ともいえる斎藤寅次郎が、一流の喜劇人を加えて描く父娘すれ違い物語。アパートの住人として特別出演するエノケンが得意の珍演で笑いを誘う。