レイトショー
「松方弘樹 ギラギラNIGHTS」

2021年12月5日(日)〜2022年2月26日(土)連日20:50より
※12月26日(日)〜1月4日(火)は休映いたします。
ラピュタ阿佐ヶ谷

2017年1月に惜しくもこの世を去った“最後の映画スタア”松方弘樹。
「仁義なき戦い」シリーズにめぐりあい演技開眼、
その魅力が凝縮された70年代東映バイオレンスムービーを中心に、
選りすぐりの10作品を連続上映いたします。

圧倒的存在感。色気、華、凄み──。
男が惚れる、女も惚れる。
我らが松方弘樹が、スクリーン狭しと暴れまわります。

【トークイベント】※開催日のみ20:30START
1.22[土]20:30『お祭り野郎 魚河岸の兄弟分』上映前
ゲスト:小倉一郎さん

2.26[土]20:30『北陸代理戦争』上映前
ゲスト:高橋洋子さん

【上映作品】
『893愚連隊』『脱獄・広島殺人囚』『新仁義なき戦い』『暴動・島根刑務所』『暴力金脈』『お祭り野郎 魚河岸の兄弟分』『強盗放火殺人囚』『実録外伝 大阪電撃作戦』『沖繩やくざ戦争』『北陸代理戦争』

【上映日程】
12.5[日]-11[土]
893愚連隊
1966年(S41)/東映京都/白黒/88分
■監督・脚本:中島貞夫/原案:菅沼照夫/撮影:赤塚滋/美術:矢田精治/音楽:広瀬健次郎
■出演:荒木一郎、天知茂、広瀬義宣、ケン・サンダース、近藤正臣、高松英郎、稲野和子、宮園純子、待田京介、遠藤辰雄
『恐喝こそわが人生』と並ぶ松方弘樹の1960年代の代表作。役柄は京都で荒木一郎や広瀬義宣とともに白タクや盗みを生業とするチンピラ。ラストで松方がつぶやく「当分粋がったらあかん。ネチョネチョ生きるこっちゃ」というセリフは、閉塞した時代の気分を表すものとして、当時、映画ファンの間で評判になった。中島貞夫はとにかく芝居をしたがる松方を押さえ、松方がそれまで東映京都撮影所で身につけた時代劇の形を捨てさせ、のちに実録やくざ映画にいたる新境地を拓かせた。

12.12[日]-18[土]
脱獄・広島殺人囚
1974年(S49)/東映京都/カラー/97分
■監督:中島貞夫/原案:美能幸三/脚本:野上龍雄/撮影:赤塚滋/美術:吉村晟/音楽:広瀬健次郎
■出演:若山富三郎、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、大谷直子、西村晃、小松方正、金子信雄、神山繁、名和宏
大河ドラマ『勝海舟』で好評を博すが、官僚的なNHKと大喧嘩。同時に共演者(仁科明子)との不倫と愛の逃避行でマスコミに袋叩きに遭った松方を東映は三顧の礼で迎え入れ、「不良性感度俳優」として売り出す。「ここが勝負じゃないですか」と松方は涼しく笑って実在の脱獄囚を快演。一本道の線路を大根を齧りながら歩いてくるラストシーンは、二百本を超える松方出演作の中でも屈指の名ラスト。「役者が立ち去るのではなく、手前に向かって来て終わる映画は強いんです」と松方は言った。

12.19[日]-25[土]
新仁義なき戦い
1974年(S49)/東映京都/カラー/98分
■監督:深作欣二/原作:飯干晃一/脚本:神波史男、荒井美三雄/撮影:吉田貞次/美術:雨森義允/音楽:津島利章
■出演:菅原文太、渡瀬恒彦、池玲子、宍戸錠、山城新伍、中谷一郎、田中邦衛、金子信雄、安藤昇、若山富三郎
「新仁義なき戦い」シリーズ第一作は時代が戻って1950年。「仁義なき戦い」第一作で描かれた山守組の内紛がふたたび描かれる。主演は松方弘樹。満身創痍になりながら敵(若山富三郎)を狙う展開や、「仁義」五部作より女性(本作では池玲子)の役割が大きいところが、「新仁義」番外篇の『北陸代理戦争』に似通う。これ以降、「新仁義」は菅原文太に委ね、松方は『実録外伝 大阪電撃作戦』『沖繩やくざ戦争』などの実録ものに主演し、目標だった文太に追いつき、追い越そうとした。

1.5[水]-11[火]
暴動・島根刑務所
1975年(S50)/東映京都/カラー/95分
■監督:中島貞夫/脚本:野上龍雄/撮影:増田敏雄/美術:佐野義和/音楽:広瀬健次郎
■出演:北大路欣也、田中邦衛、伊吹吾郎、川地民夫、金子信雄、佐藤慶、室田日出男、戸浦六宏、賀川雪絵
「松方弘樹 東映刑務所(ムショ)」シリーズ第二弾。当時の宣材に「世界最強の脱獄アクター」とある。『脱獄・広島殺人囚』がヒットし、松方弘樹の新シリーズが始まると思いきや、東映首脳部は第二弾を北大路欣也との二人主役にする。松方は悔しかった。しかし、屈辱をバネにヘラヘラ笑って新たな芝居を考える──それが松方弘樹の生き方だ。何度も脱獄を企てる松方と看守と折り合いを付け円満出所を待ち望む北大路。そこには二人の俳優の性格と境遇が如実に反映されている。

1.12[水]-18[火]
暴力金脈
1975年(S50)/東映京都/カラー/95分
■監督:中島貞夫/脚本:野上龍雄、笠原和夫/撮影:増田敏雄/美術:富田治郎/音楽:津島利章
■出演:梅宮辰夫、池玲子、若山富三郎、丹波哲郎、山城新伍、伊吹吾郎、田中邦衛、小沢栄太郎、大滝秀治
『総会屋錦城 勝負師とその娘』以来の総会屋映画。目覚めるや「軍艦マーチ」をかけ、通天閣をバックに「ファイト、ファイト」と走る松方弘樹が絶好調。誉め殺しなどペテンを利かせて大企業に立ち向かう駆け出しの総会屋の役は、松方にとって武闘派やくざから冷徹な経済やくざ役への転機となった。このあと松方は『日本の首領 野望篇』(78年)で東大出の企業舎弟を能面のように表情を殺して演じ、のちに「文ちゃんに出来ない役をやっと見つけました」と語る。

1.19[水]-29[土]
お祭り野郎 魚河岸の兄弟分
1976年(S51)/東映東京/カラー/94分 ※NEW
■監督・脚本:鈴木則文/脚本:掛札昌裕/撮影:飯村雅彦/美術:桑名忠之/音楽:菊池俊輔
■出演:坂上二郎、江守徹、志穂美悦子、夏純子、東てる美、岩城滉一、小倉一郎、今福将雄、室田日出男
第二の「トラック野郎」を目指し、東映が『テキヤの石松』に続いて作った松方喜劇路線第二弾。ジェット機の中でハッピ姿になりキリリと鉢巻を締める松方は祭マニア。築地魚河岸で働き、祭と聞けばどこでも駆けつけ神輿を担ぐことが無上の喜び。タコに欲情する三原葉子など鈴木則文の演出は手堅いバカバカしさと快調さでラストは三社祭と大乱闘。今回ニュープリントが焼かれ、松方の命日(1月21日)に合わせて上映される。「お祭り野郎」とは松方の人生そのものだ。

1.30[日]-2.5[土]
強盗放火殺人囚
1975年(S50)/東映京都/カラー/96分
■監督:山下耕作/脚本:高田宏治/撮影:赤塚滋/美術:井川徳道/音楽:青山八郎
■出演:若山富三郎、ジャネット八田、前田吟、石橋蓮司、小松方正、殿山泰司、沼田曜一、菅貫太郎、遠藤太津朗
「刑務所」シリーズ第三作にして最終作。中島貞夫から山下耕作に監督が代わり、ハードな脱獄ものから人情劇に転調。70年代日本映画のミューズ、ジャネット八田が美しい。永らく上映プリントがなかったが「脱獄三部作を観ると明日への活力になる」とラピュタ阿佐ヶ谷女性スタッフ陣がニュープリントを企画し、蘇った。そのことを松方に告げると「あらま、妙齢のお嬢さん方があんな映画を好きだとはね」とチラシを片手に笑った。「あらま」というのは松方独特のはにかみ。亡くなる一年前のことだ。

2.6[日]-12[土]
実録外伝 大阪電撃作戦
1976年(S51)/東映京都/カラー/96分
■監督:中島貞夫/脚本:高田宏治/撮影:増田敏雄/美術:佐野義和/音楽:津島利章
■出演:小林旭、丹波哲郎、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、目黒祐樹、伊吹吾郎、成田三樹夫、片桐夕子、中原早苗、三上寛
『北陸代理戦争』と並ぶ松方弘樹の実録やくざ路線の代表作。『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』が山口組側から描いた「明友会事件」(60年)を明友会側から描く。松方は大組織に立ち向かう弱小組織の幹部。見どころは死を覚悟した松方らの大宴会。それに松方の幅の広いストライプの背広とユーハイムの包装紙のようなネクタイ。「弁慶の立ち往生」さながらの、ラストのエレベーターでの死にざまも必見。大組織にひと泡吹かせる中島貞夫のチンピラ映画の帰結にして最高傑作。

2.13[日]-19[土]
沖繩やくざ戦争
1976年(S51)/東映京都/カラー/95分
■監督:中島貞夫/脚本:高田宏治、神波史男/撮影:赤塚滋/美術:井川徳道/音楽:広瀬健次郎
■出演:千葉真一、渡瀬恒彦、梅宮辰夫、新藤恵美、矢吹二朗、尾藤イサオ、室田日出男、成田三樹夫、地井武男
沖縄返還直前、本土のやくざの侵攻に対抗する沖縄やくざの結束と内紛を描く実録やくざ映画後期の力作。進行中の抗争を扱ったため、沖縄でロケできず、現地では公開されなかった。松方は「戦争大好き」と嘯く千葉の腹心を演じ、彼の狂気を際立たせる。「主役はもたれ役」と松方は言っているが、一本調子の千葉の芝居をうまく受け、千葉に京都市民映画祭主演男優賞をもたらした。新藤恵美が妖艶。松方がスプーンを使わずかき氷を丸齧りする場面も見どころ。

2.20[日]-26[土]
北陸代理戦争
1977年(S52)/東映京都/カラー/98分
■監督:深作欣二/脚本:高田宏治/撮影:中島徹/美術:井川徳道/音楽:津島利章
■出演:千葉真一、野川由美子、高橋洋子、地井武男、小林稔侍、矢吹二朗、成田三樹夫、中谷一郎、西村晃、ハナ肇
「新仁義なき戦い」の一篇として企画されながら、菅原文太が降板したためシリーズとは関係のない松方主演作となった。当時抗争中だった福井の川内組と神戸の菅谷組の闘争史を高田宏治が脚本にあからさまに描き込み、抗争を煽り、川内組長が映画で描かれた通りに射殺され、福井県ではいまだに未公開の作品。松方はモデルの川内に会い、越前ガニをご馳走になりながら、川内の左利きと体を揺する癖を盗み、芝居に取り入れた。劇中でたびたび流れる『星影のワルツ』は川内弘の愛唱歌。

作品紹介:伊藤彰彦

【料金】
一般…1,300円 シニア・学生…1,100円 会員…900円 
※水曜サービスデー…1,100円均一