「戦争と一人の女」公開記念特集上映 戦争と六人の女

2013年5月11日(土)〜6月28日(金) レイトショー 連日21時開映 ラピュタ阿佐ケ谷 ラピュタ阿佐ケ谷公式サイトへのリンク

戦争がわたしを濡らす——。

坂口安吾原作の反戦官能ロマン『戦争と一人の女』(企画:寺脇研、脚本:荒井晴彦・中野太、監督:井上淳一)の公開を記念して、戦争に翻弄される女たち男たちを描いた官能映画を特集上映。明治から昭和へと至る激動の時代を背景に、銃後に咲いた愛とかなしみとエロスの物語をおたのしみください。

5月11日(土)〜17日(金)

女地獄 森は濡れた

1973年(S48)/日活/カラー/65分

■監督・脚本:神代辰巳/撮影:前田米造/美術:柳生一夫/録音:神保小四郎
■出演:伊佐山ひろ子、中川梨絵、山谷初男、山科ゆり、叶今日子、堀弘一、高橋明、絵沢萠子

無実の殺人容疑で追われる幸子(伊佐山)は森の中の奥深くにあるホテルに連れていかれる。そこは主人の竜之介(山谷)と妻の洋子(中川)が夜ごと性と殺人の饗宴を繰り広げる魔窟だった!巨匠神代辰巳がサドの「ジュスティーヌ」を翻案したロマン・ポルノの異色作。血飛沫を浴びて快楽にわななく中川梨絵と「秋田音頭」を口ずさみながら殺す山谷初男が強烈な大正デカダンの背徳絵巻。

5月18日(土)〜28日(火)

秘本 袖と袖ニュープリント

1974年(S49)/日活/カラー/78分

■監督:加藤彰/脚本:田中陽造/撮影:高村倉太郎/美術:柳生一夫/音楽:月見里太一
■出演:風間杜夫、宮下順子、梢ひとみ、井上博一、粟津號、中島葵、花柳幻舟

日露戦争たけなわの明治37年夏。要之助(風間)は不倫小説を書くかたわら、親友・村木(井上)の妹でハイカラ好みの常子(梢)と関係を持っていた。要之助は雨の夜、貞操帯をはめられた出征軍人の妻・君子(宮下)から鍵を渡される。一方、村木は酌婦お照(中島)との行為の最中に吐血する。明治の作家・小栗風葉の作と伝えられる同名艶本をモチーフに、明治の高等遊民たちの性と愛の日々を描く。

5月29日(水)〜6月7日(金)

赤線本牧 チャブヤの女ニュープリント

1975年(S50)/日活/カラー/69分

■監督:白鳥信一/脚本:佐治乾/撮影:畠中照夫/音楽:穂口雄右
■出演:ひろみ麻耶、片桐夕子、あべ聖、芹明香、山科ゆり、二條朱美、坂本長利、小泉郁之助、絵沢萠子

昭和11年。横浜の特飲街にある太陽ホテルに売られてきたアキ(ひろみ)は性の手ほどきを受けて床上手になり、しだいに売れっ子となる。チャブヤと呼ばれる本牧の娼館を舞台に描く群像劇。『㊙女郎残酷色地獄』('73)『赤線最後の日』('74)につづいて白鳥信一監督が貧しさと不幸を背負った女たちに愛惜の目を注いだ1作。2・26事件も後景に置いた佐治乾の脚本と女優たちの佇まいが秀逸。

6月8日(土)〜14日(金)

残酷・黒薔薇私刑(リンチ)

1975年(S50)/日活/カラー/73分

■監督:藤井克彦/脚本:久保田圭司、大村順一/撮影:畠中照夫/音楽:山野狩人
■出演:谷ナオミ、東てる美、江角英明、高橋明、五條博、小泉郁之助、南ゆき

秋沢家の女中・千世(谷)は令嬢弓子(東)とともに、思想問題で追われる弓子の兄の身代わりに特高警察に連行される。千世には激しい拷問の責め苦が加えられ、弓子は暴行される。やがて戦争が始まり、接収された秋沢邸は軍人たちの秘密クラブとして酒池肉林の宴が繰り広げられる。谷ナオミ、東てる美の師弟コンビ主演のSM篇。特高主任の高橋明、将校の江角英明が憎々しげな熱演。

6月15日(土)〜21日(金)

四畳半色の濡衣(ぬれぎぬ)

1983年(S58)/東映セントラルフィルム/カラー/83分

■監督:向井寛/脚本:阿部桂一、片岡修一/撮影:鈴木史郎/美術:宗竜二/音楽:芥川たかし
■出演:美保純、村嶋修、ひし美ゆり子、谷川みゆき、水月円、伊藤公子、藤ひろ子、砂塚秀夫、山谷初男、根上淳

昭和7年。遊郭・旭楼にやってきた朝子(美保)は夜な夜な男たちと枕を交わす苦界の日々。彼女の父はアカの容疑で拷問死、母はそのときから精神を病んでいた。やがて病院の跡取り息子・昭彦と恋におちた朝子だったが……。永井荷風の戯作「四畳半襖の裏張り」に想を得た野坂昭如の小説を、ピンク映画の巨匠向井寛が当時人気絶頂の美保純の主演で映画化。女郎たちの点描が光る。

6月22日(土)〜28日(金)

悪徳の栄え

1988年(S63)/にっかつ/カラー/96分

■監督:実相寺昭雄/原作:マルキ・ド・サド/脚本:岸田理生/撮影:中堀正夫/美術:池谷仙克/音楽:松下功
■出演:清水紘治、李星蘭、牧野公昭、橘玖海子、木築沙絵子、前原祐子、日野利彦、中島葵、石橋蓮司、原保美

2・26事件前夜。夜ごと美食と犯罪自慢の宴が繰り広げられる不知火公爵(清水)の邸宅で、俳優全員を犯罪者で固めた趣向の芝居、マルキ・ド・サド原作「悪徳の栄え」の稽古が行われていた。公爵は出演者の男に命じて妻と情交させようと仕組むが……。軍国主義に向かう暗い時代を背景に、欲望と快楽を追求する上流階級の頽廃的な人間模様。全篇、実相寺昭雄監督の美学と趣味性に貫かれた異色作。

Text by 磯田勉

【トークイベント】

  • 6月1日(土)
    『赤線本牧 チャブヤの女』上映後
    ゲスト:白鳥あかねさん
  • 6月14日(金)
    『残酷・黒薔薇私刑』上映後
    ゲスト:寺脇研さん、荒井晴彦さん

料金(当日)

一般…1,200円
シニア・学生…1,000円
会員…800円
水曜サービスデー…1,000円均一

インフォメーション

  • ●午前10時15分より当日全回分の整理番号付き入場券を発売いたします。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
  • ●上映開始後10分を過ぎてのご入場はお断りさせていただきます。
  • ●作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。