瀬川昌治の乾杯ごきげん映画術

10月8日(日) 〜10日(火)

乾杯!ごきげん野郎

1961年(S36)/ニュー東映/白黒/90分

■脚本:井手雅人/撮影:田中義信/美術:北川弘/音楽:松井八郎 ■出演:梅宮辰夫、今井俊二、南廣、世志凡太、三田佳子、榎本健一、東野英治郎、十朱久雄

九州から上京したコーラス四人組が、キテレツな売り込み作戦に奔走するさまを小気味良いタッチで描いた東映史上空前絶後のミュージカル・コメディ。エノケンの即興芸、分割画面を活用したダンス場面のモダンな振付など洒落た映像実験も楽しい。

『』写真

(c)東映

10月8日(日) 〜14日(土)

ぽんこつ

1960年(S35)/東映東京/白黒/84分 ※16mm

■脚本:舟橋和郎/撮影:藤井静/美術:森幹男/音楽:真鍋理一郎 ■出演:江原真二郎、佐久間良子、山東昭子、小林裕子、曽根晴美、沢村貞子、若水ヤエ子、山茶花究

交通事故をテーマに八ミリを使って卒論に取り組む女子大生と、下町のスクラップ工場で働く純情青年が出会い、恋におちる。サイレント風のギャグと軽妙なテンポの語り口、佐久間良子の初々しいコケットリー。すべてが型破りな記念すべき監督デビュー作。

『ぽんこつ』写真

(c)東映

10月8日(日) 〜14日(土)

喜劇 頑張らなくっちゃ!

1971年(S46)/松竹/カラー/90分

■原作・脚本:井手雅人/脚本:下飯坂菊馬/撮影:丸山恵司/音楽:いずみたく ■出演:フランキー堺、倍賞千恵子、財津一郎、ビーバー、賀原夏子、西村晃、田中邦衛

上野署に勤務する独身の平巡査が赤ん坊を抱えた少女と出会い、失踪した父親を探す。しかし、意外な事実が判明し…。ベトナム戦争反対のヒッピー、主人公を取り囲む過激派活動家などが点描され、非情な都会に生きる人々の姿が哀感と笑いで綴られる人情喜劇。

10月11日(水) 〜17日(火)

瀬戸はよいとこ 花嫁観光船

1976年(S51)/松竹/カラー/93分

■脚本:瀬川昌治、大川久男/撮影:丸山恵司/美術:佐藤之俊/音楽:いずみたく ■出演:フランキー堺、山城新伍、財津一郎、朝丘雪路、日色ともゑ、田坂都、ミヤコ蝶々、春川ますみ

本四連絡架橋の工事再開を控えた明石・鳴門を舞台に、リゾート開発をめぐる騒動を描いて、一部にカルト的ファンを擁する傑作喜劇。阿波踊りの賑わいを背景に、二組の夫婦と一組の男女の痴話喧嘩が延々ともつれあい、至福に満ちた感動的な出航シーンが訪れる。

10月11日(水) 〜17日(火)

次郎長社長と石松社員

1961年(S36)/ニュー東映/白黒/88分

■脚本:中里菊馬、瀬川昌治/撮影:田中義信/美術:森幹男/音楽:真鍋理一郎 ■出演:進藤英太郎、中村賀津雄、水木襄、佐久間良子、久保菜穂子、星美智子、西村晃、柳沢真一

東宝の“社長シリーズ”に対抗してつくられた、進藤英太郎・中村賀津雄コンビによる喜劇“進藤の社長シリーズ”第一作。お互いに顔も知らない紡績会社の社長と平社員がひょんなことから同居するハメになり、会社乗っとりを企む悪徳重役一派の陰謀を暴いていく。

『次郎長社長と石松社員』写真

(c)東映

10月15日(日) 〜21日(土)

馬喰一代

1963年(S38)/東映東京/白黒/104分

■脚本:田坂啓/原作:中山正男/撮影:藤井静/美術:近藤照男/音楽:斎藤一郎 ■出演:三國連太郎、新珠三千代、金子吉延、中尾純夫、多々良純、岩崎加根子、中村是好、西村晃

舞台は大正末期から昭和にかけての北海道北見。酒と喧嘩、博打にあけくれた馬喰が、男手ひとつで一人息子を育てあげる。壮絶な父性愛を描いた中山正男原作、三度目の映画化。三國連太郎入魂の演技、新珠三千代の陰影に富んだ美しさが印象的。

『馬喰一代』写真

(c)東映

10月15日(日) 〜21日(土)

アッと驚く為五郎

1970年(S45)/松竹/カラー/93分

■脚本:田坂啓、瀬川昌治、永井素夫/撮影:丸山恵司/美術:熊谷正雄/音楽:菊地俊輔 ■出演:ハナ肇、梓みちよ、谷啓、佐藤友美、ミヤコ蝶々、なべおさみ、尾崎奈々

TV『ゲバゲバ90分』の人気キャラクター・為五郎を主人公にしたシリーズ第一作。ハナ肇の怪演に加え、サイケ、ヒッピー風俗、ゲバルト、“緋牡丹博徒シリーズ”のパロディまでを貪欲に盛りこみ、昭和元禄と呼ばれた時代感情を鮮やかにすくいとった手腕がみごとである。