レイトショー
「アウトサイダーのまなざし
 〜国映/新東宝ピンク映画60周年記念特別上映会〜 Vol.2」

2022年10月4日[火]〜12月21日[水]連日21:00より
※10月25日[火]は休館いたします。
ラピュタ阿佐ヶ谷

ピンク映画は性を商品として扱う性質からのみでなく、成り立ちもまたどこか「アウトサイダー」的でした。それは戦後しばらくのあいだ娯楽の王者として経済界の第一線にいた映画産業がテレビの普及にともなって急速に凋落したとき、まるでそれに乗ずるような形で、あたかもある不可視の意図によって設置されでもしたように、高度経済成長の背後でうごめく欲望を回収する装置として稼働を始めたのでした。
しかしそういったピンク映画の作り手たちの多くは、他の独立系の製作者と同様あるいはそれ以上に、たとえパワフルであってもアウトロー(反社会的存在)ではありませんし、コリン・ウィルソンが述べたほどに深く預言者的・神秘主義的なアウトサイダーでなかったとしても、社会の周縁に寄り添いながらもその外部に存在し、常識や社会通念を越えて、配給会社や劇場への多少の忖度は容れつつも強力なスポンサーや様々な権力に従う理由も必要もない立場で、たとえささやかであってもこの世界に何らかの光をもたらそうと努め続けたのです。
今回上映する作品の多くが主人公たちが事件や犯罪、あるいは日常の様々な出来事を通じて社会通念や一般常識から逸脱し、葛藤し、あるいはそれらと闘う姿を描いているのは決して偶然ではありません。そんな登場人物たちを見つめる監督=アウトサイダーたちのまなざしは、意識的・無意識的を問わず、あらゆる真摯な創作に共通のあの基底的なメッセージを体現しているかのようです。「共同体(=社会一般通念)の外に出よ、孤独を恐れるなかれ、そして一人の人間たれ」──と。

【重要なお知らせとお詫び】
12月7日(水)より予定しております『過激!!変態夫婦』はフィルム上映が困難なため素材を変更させていただきます。
 ●上映素材変更
  12月7日(水)〜11日(日)
  『過激!!変態夫婦』(1988年/細山智明監督)※35mm → DVD
お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

【チラシ情報訂正のお知らせ】
11月22日(火)より上映の『日本残虐女拷問』(1977年/山本晋也監督)
チラシ記載の情報に誤りがございました。
 プリントタイトル
 [誤]残虐女拷問 → [正]日本女拷問
ここに訂正してお詫び申し上げます。

【上映作品】
『新妻本番 ぐしょ濡れ生下着』『猥褻ストーカー 暗闇で抱いて!』『あぶない情事 獣のしたたり』『悶熟!! 未亡人サロン』『濃密愛撫 とろける舌ざわり』『痴漢ONANIE覗き』『痴漢バス バックもオーライ』『未亡人旅館2 女将は寝上手』『いくつになってもやりたい不倫』『アブノーマル体験 第六の性感』『日本残虐女拷問』『痴漢タクシー エクスタシードライバー』『馬と女と犬』『過激!!変態夫婦』『ブルーフィルムの女』『痴漢電車 ちんちん発車』

【上映日程】
10.4[火]-8[土]
新妻本番 ぐしょ濡れ生下着
1992年(H4)/新東宝映画/カラー/60分 (プリントタイトル『ぐしょ濡れ イヴの生下着』)
■監督・脚本:木俣瑠美(珠瑠美)/撮影:伊東英男/助監督:近藤英総
■出演:神代弓子(イヴ)、一の樹愛、佐伯麗子、羽田勝博、牧村耕次、中満誠治
イヴを主演に迎え複雑に絡み合う男女の愛欲を描いた。女優から監督に転身した珠瑠美と夫でプロダクション鷹を主催した木俣堯喬が二人三脚で作り続けた作品群はどこかサド作品の主人公を彷彿とさせる狂暴な快楽の追求者を描いて性のアウトサイダーともいうべき異彩を放つ。

10.9[日]-13[木]
猥褻ストーカー 暗闇で抱いて!
2002年(H14)/新東宝映画/カラー/62分 (プリントタイトル『ワイセツ事件母の絶頂 息子の目前で』)
■監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/撮影:清水正二/助監督:佐藤吏
■出演:葉月螢、真咲紀子、美麗、石川雄也、入江浩治、樹かず、色華昇子
「ミスターピンク」こと池島ゆたか監督が凶悪なストーカーと戦う盲目の女性の姿を描く。多様なジャンルに挑んだ同監督が名コンビ五代暁子の巧みな脚本を得てサスペンス演出に冴えを見せる。清水正二(志賀葉一)の巧みなカメラワークに支えられて葉月螢が難役を熱演。

10.14[金]-16[日]
あぶない情事 獣のしたたり
1998年(H10)/国映/カラー/65分 ○国立映画アーカイブ所蔵作品
■監督:鎌田義孝/脚本:臼野朗(瀬々敬久)/撮影:小西泰正/助監督:坂本礼
■出演:鹿島春美、佐々木麻由子、伊藤猛、澤山雄次、岡島博徳
「ピンク七福神」のひとり鎌田義孝が臼野朗(瀬々敬久)の脚本を得て挑んだクライムサスペンス。荒涼とした海辺を舞台に謎めいた二人の女に翻弄される男の姿を硬質なタッチで描く。男優陣の好演に加えピンク映画デビュー間もない頃の佐々木麻由子がヴァンプ役で妖しい魅力を発揮。

10.17[月]-21[金]
悶熟!! 未亡人サロン
1995年(H7)/新東宝映画/カラー/55分
■監督:新田栄/脚本:岡輝男/撮影:千葉幸男/助監督:国沢実
■出演:田口あゆみ、冴木直、杉下なおみ、伊藤清美、久須美欽一、竹内久和、坂入正三
北村淳の芸名でピンク映画黎明期から俳優として活躍し80年代から監督に転身して濃厚なエロス描写で観客の支持を得た新田栄が未亡人ばかりのピンクサロンで働く女たちの人間模様を描き、人情エロスとしてどこか昭和の映画っぽい懐かしさを感じる一篇。人気女優の競演も見どころ。

10.22[土]-24[月]、26[水]-27[木]
濃密愛撫 とろける舌ざわり
1995年(H7)/新東宝映画/カラー/58分 (プリントタイトル『女同士の痴戯 むせび泣き』)
■監督:渡邊元嗣/脚本:五代暁子/撮影:清水正二/助監督:羅門ナカ
■出演:林由美香、しのざきさとみ、貴奈子、吉行由実、橋本杏子、山ノ手ぐり子
絵本作家志望のまりえとダンサーの透子。ともに同性愛者であるふたりは運命的な出会いを果たし三ヶ月後の再会を約束するが……。ナンセンスコメディやメルヘンタッチのファンタジーを得意とする渡邊元嗣監督が女性のみの登場人物で同性愛の世界をしっとりと描いた。

10.28[金]-11.1[火]
痴漢ONANIE覗き
1992年(H4)/国映/カラー/60分
■監督・脚本:佐野和宏/撮影:斎藤幸一/助監督:山村淳史
■出演:中川みず穂、岸加奈子、佐野和宏、小林節彦、梶野考、今泉浩一
平凡な日常を送る夫婦のもとに元高校教師である妻の姉が転がり込む。やがて死んだはずの姉の恋人が現れ……。ピンク四天王のひとり佐野和宏がテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』をモチーフに平穏な日常に生じた亀裂によって微妙に壊れていく男女の愛を切なく綴った。

11.2[水]-6[日]
痴漢バス バックもオーライ
1987年(S62)/新東宝映画/カラー/60分 (プリントタイトル『痴漢バス バックが大好き』)
■監督:石川欣/脚本:アーサー・シモン(石川欣)/撮影:富田伸二/助監督:岩永敏明
■出演:長谷川かおり、浅川れい子、菊次朗、石部金吉(清水大敬)
中村幻児門下で当時廣木隆一らとともに活躍した石川欣が昭和末期の歌舞伎町を舞台に風俗の世界に生きる男女や刑事そして殺人鬼など本音むき出しの人間群像をコミカルに時にシリアスに描く。字幕スーパーを用いた心情表現やスタイリッシュな映像など洒落たセンスが冴える一篇。

11.7[月]-11[金]
未亡人旅館2 女将は寝上手
2001年(H13)/新東宝映画/カラー/58分 (プリントタイトル『女将のくびれ腰 濡れてまさぐる』)
■監督:深町章/脚本:福俵満/撮影:清水正二/助監督:佐藤吏
■出演:しのざきさとみ、里見瑤子、水原かなえ、かわさきひろゆき、岡田智宏、神戸顕一
ベテラン深町章監督が温泉旅館の未亡人女将をめぐる事件と人間模様をほのぼのと描いたシリーズ第二作。しのざき&かわさきの再共演に加え里見瑤子、水原かなえ、岡田智宏ら深町組の常連俳優が顔をそろえ、前作と似た設定ながらよりドラマチックで心温まる一篇となった。

11.12[土]-16[水]
いくつになってもやりたい不倫
2009年(H21)/国映、新東宝映画/カラー/64分
■監督:坂本礼/脚本:中野太/撮影:橋本彩子/助監督:大西裕
■出演:吉岡睦雄、春矢つばさ、三木藤乃、飯島大介、佐々木ユメカ、北川輝、石川裕一
中年不倫カップルの重雄と八重子は自動車事故を起こし、重雄は他界する。八重子の息子大助は、ひょんなことから重雄の娘千尋と知り合い……。「七福神」の最若手坂本礼が父母の不倫という現実を知った若者たちが自らも禁断の関係に溺れていく姿をリアリスティックに描いた。

11.17[木]-21[月]
アブノーマル体験 第六の性感
2001年(H13)/新東宝映画/カラー/60分
■監督:橋口卓明/脚本:五代暁子/撮影:中尾正人/助監督:高田宝重
■出演:ゆき、葉月螢、桜沢菜々子、竹本泰志、田嶋謙一、千葉誠樹、川屋せっちん
霊視能力=シックス・センスを持つホテトル嬢の夢見子はホームレスになって死んだ男の霊から救いを求められ、彼の別れた妻への償いを手助けすることになるが……。エロスとホラーファンタジーを融合させた橋口卓明の端正な演出が光る異色のピンク・エンタテインメント作。

11.22[火]-26[土]
日本残虐女拷問
1977年(S52)/新東宝映画/カラー/61分 (プリントタイトル『日本女拷問』)
■監督:山本晋也/脚本:中村幻児/撮影:柳田友春/助監督:原一男
■出演:橘雪子、南ゆき、峰瀬里加、長谷恵子、今泉洋、堺勝朗、国分二郎、港雄一
新東宝の人気ジャンルであった拷問・緊縛映画の大作で山本晋也監督、中村幻児脚本という異色の顔合わせによる作品だが、明治〜大正〜昭和と三つの時代を背景に歴史の裏側に秘められた凄惨な拷問をドキュメンタリータッチで描きながら独特のロマンティシズムを醸し出している。

11.27[日]-12.1[木]
痴漢タクシー エクスタシードライバー
1999年(H11)/新東宝映画/カラー/62分 (プリントタイトル『性欲タクシー走る車内で』)
■監督:新里猛作/脚本:大河原ちさと/撮影:中尾正人/助監督:石川二郎
■出演:田中要次、奈賀毬子、佐倉萌、風間今日子、けーすけ、隆西凌
リストラされ恋人からも見捨てられタクシードライバーに転身した男がひょんなことからヤクザの抗争に巻き込まれ……。“BoBA”の愛称で知られる田中要次がふとしたきっかけで狂気を噴出させる主人公を好演。デビュー間もない新里猛作が娯楽性のある人間ドラマに仕上げた。

12.2[金]-6[火]
馬と女と犬
1990年(H2)/新東宝映画/カラー/60分 (プリントタイトル『馬と犬と貴婦人』)
■監督:佐藤寿保/脚本:夢野史郎/撮影:稲吉雅志/助監督:広瀬寛巳
■出演:岸加奈子、佐野和宏、佐々木ゆり、上原絵美、高橋達也、小林節彦
妹を殺した過去を持つ女、屍姦趣味の男、記憶喪失の女。人里離れた海辺を舞台に日常から疎外された者たちの愛憎が交錯する。「獣姦」という題材で記録的大ヒットとなった本作だが、佐藤寿保=夢野史郎コンビの詩情豊かでありながらも過激な世界観はいささかも揺らぐことはない。

12.7[水]-11[日]
過激!!変態夫婦
1988年(S63)/新東宝映画/カラー/59分 ※DVD (プリントタイトル『変態夫婦の過激愛』)
■監督・脚本:細山智明/撮影:志賀葉一/助監督:鬼頭理三
■出演:清水大敬、三沢亜也、池島ゆたか、橋本杏子、海音寺まりな、山本竜二、森田豊
利男と影田は友人同士。ある日影田は風俗で働く利男の妻を抱く。一方、影田の妻は利男の妹と同性愛の関係で……。奇才細山智明が複雑に絡み合う二組の夫婦の性愛を独創的な映像世界のなかに描き出した。監督としても活躍する清水や池島の名演も見どころのひとつ。

12.12[月]-16[金]
ブルーフィルムの女
1969年(S44)/国映/カラー/78分 ※英語字幕付
■監督:向井寛/脚本:宗豊/撮影:浜野誠之/助監督:瓜生忍
■出演:橋本実紀、藤井貢、河東啓介、水森レオ、小柳リカ、川口音、三重街竜、小野保
若松孝二や渡辺護とともにピンク映画を黎明期から支えた向井寛初期の傑作。借金苦で自ら命を絶った株師とその娘の復讐譚。戦前に松竹のスターであった藤井貢が父役で出演している。新東宝配給となる以前の国映作品で、朝倉大介プロデュースの初期の代表作の一本。

12.17[土]-21[水]
痴漢電車 ちんちん発車
1984年(S59)/新東宝映画/カラー/67分
■監督:滝田洋二郎/脚本:高木功/撮影:志賀葉一/助監督:片岡修二
■出演:螢雪次朗、竹村祐佳、松原玲、堺勝朗、久保新二、長友達也、池島ゆたか
全五作製作された滝田洋二郎監督&高木功脚本によるミステリー・コメディ「黒田探偵シリーズ」の最終作。莫大な遺産を巡って起こる連続殺人事件の謎に黒田が挑む。久保新二、堺勝朗らピンク界の名優も共演。シリーズのフィナーレに相応しい感動の結末が待ち受ける!

【料金】
一般…1,300円 / シニア・学生…1,100円 / 会員…900円
※水曜サービスデー…1,100円均一