『牝猫たちの夜』写真

(c)日活

3月25日(日) 〜 27日(火)

牝猫たちの夜

1972年/日活/カラー/68分

■脚本:中野顕彰/撮影:萩原憲治/美術:横尾嘉良/音楽:坂田晃一
■出演:桂知子、原英美、牧恵子、吉沢健、影山英俊、山口明美、高橋明

新宿を浮遊する根無し草のような若者たちの心象を先鋭的な映像でとらえ、田中登の才能を一躍世に知らしめた幻の傑作。ソープ嬢・桂知子と奇妙な愛欲関係にある吉沢健が魅力的で、早朝、胎児のように横たわる彼を尻目に、西口駅前ビル街のシャッターが一斉にあがっていく幻想的なラストは忘れ難い。

『実録 阿部定』写真

(c)日活

3月25日(日) 〜 31日(土)

ニュープリント

実録 阿部定

1975年/日活/カラー/76分

■製作:結城良熙/脚本:いどあきお/撮影:森勝/美術:川崎軍二/音楽:坂田晃一
■出演:宮下順子、江角英明、坂本長利、橘田良江、千早蘭、水木京一、花柳幻舟

昭和史を彩る最大の猟奇事件を素材に、性愛に殉じた女・阿部定の愉悦と哀しみを表出させた日活ロマンポルノ史上屈指の傑作。「外の光が邪魔なのよ」と呟き、ニ・ニ六事件で騒然とするキナくさい世相に背を向けて、密室でひたすら性戯に耽溺するヒロインを演じた宮下順子は聖性すら感じさせる。

『女教師』写真

(c)日活

3月25日(日) 〜 31日(土)

女教師

1977年/日活/カラー/100分

■製作:岡田裕/脚本:中島丈博/原作:清水一行/撮影:前田米造
■出演:永島暎子、砂塚秀夫、山田吾一、宮井えりな、古尾谷康雅、絵沢萠子

東京郊外の中学で起こった不良生徒による若い教師の強姦事件を発端に、利害や責任回避に奔走する現代の教育現場の荒廃を浮き彫りにする社会派エロス大作。田中登のストーリー・テラーとしての手腕が遺憾なく発揮され、何より本作でデビューした古尾谷康雅(のちに雅人と改名)の不敵な面貌が強烈な印象を残す。

『夜汽車の女』写真

(c)日活

3月28日(水) 〜 4月3日(火)

夜汽車の女

1972年/日活/カラー/71分

■脚本:宮下教雄/撮影:山崎善弘/美術:川崎軍二/音楽:坂田晃一
■出演:田中真理、続圭子、桂知子、丹古母鬼馬二、雪丘恵介、織田俊彦

一見、平穏で裕福な考古学者のブルジョワ家庭がゆるやかに崩壊するさまを耽美的なタッチで描いた秀作。秘密を抱えた美人姉妹が近親姦めいた官能遊戯に興じる場面は、ロジェ・ヴァディムの『血とバラ』を想起させるほど妖しい魅力を放つ。全篇に極彩色が乱舞し、田中登の華麗な映像実験が全開している。

『女教師 私生活』写真

(c)日活

4月1日(日) 〜 7日(土)

女教師 私生活

1973年/日活/カラー/73分

■脚本:阿部真理/撮影:森勝/美術:川崎軍二/音楽:秋山ミチヲ
■出演:市川亜矢子、梢ひとみ、風間杜夫、鶴岡修、島村謙次、高山千草

教え子と同棲している女教師の飽くなき性への執着を、大胆な性描写を通じて鮮烈に浮かびあがらせた問題作。公園での花弁が舞うなかでの奔放なセックス、風船、模型飛行機などのオブジェが印象的。高校生に扮した風間杜夫の繊細な演技は、当時、一部の女性ファンを熱狂させた。

『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』写真

(c)東映

4月1日(日) 〜 7日(土)

安藤昇のわが逃亡とSEXの記録

1976年/東映東京/カラー/85分

■脚本:高田純/撮影:花沢鎮男/美術:北川弘/音楽:泉谷しげる
■出演:安藤昇、石橋蓮司、小松方正、中島葵、ひろみ麻耶、小池朝雄、絵沢萠子

安藤昇が映画俳優に転じるきっかけともなった東洋郵船社長・横井英樹襲撃事件で全国に指名手配され、潜伏した日々を自ら再現した実録ドラマ。当時のニューズフィルムが大胆に引用され、安藤自身の戦後史が重ねあわされる。数多、登場する愛人の中で中島葵の憂いと翳りを帯びた表情が印象的だ。

『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』写真

(c)日活

4月4日(水) 〜 10日(火)

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者

1976年/日活/カラー/76分

■脚本:いどあきお/原作:江戸川乱歩/撮影:森勝/美術:菊川芳江
■出演:宮下順子、石橋蓮司、渡辺とく子、夢村四郎、中島葵、織田俊彦

天井の節穴から男女の秘事を覗く性癖を持つ主人公(石橋蓮司が怪演!)を狂言回しに、大正末期の浅草のデカダンな気分を横溢させた佳品。パラソルを持つ好色な貴婦人、ピエロ、小人、花屋敷と江戸川乱歩好みの畸形趣味が、ノスタルジック・モードのなかで展開され、カラフルな白日夢のようだ。

『天使のはらわた 名美』写真

(c)日活

4月4日(水) 〜 10日(火)

天使のはらわた 名美

1979年/にっかつ/カラー/98分

■製作:結城良熙/原作・脚本:石井隆/撮影:森勝/美術:菊川芳江
■出演:鹿沼えり、地井武男、水島美奈子、山口美也子、青山恭子

女性週刊誌の記者・名美は、強姦被害者たちの後遺症を取材するなか、次第に自らも奇怪な強姦妄想に囚われてゆくーー。原作である石井隆の劇画のコマ割りを意識した大胆な画面構成が試みられ、名美の心の揺れを掬いとるように、当時の大ヒット曲、八神純子の「みずいろの雨」が効果的に使われている。

『(秘)女郎責め地獄』写真

(c)日活

4月8日(日) 〜 14日(土)

(秘)女郎責め地獄

1973年/日活/カラー/77分

■脚本:田中陽造/撮影:高村倉太郎/美術:川崎軍二/音楽:月見里太一
■出演:中川梨絵、山科ゆり、あべ聖、絵沢萠子、堂下繁、織田俊彦、高橋明

百文女郎、死神おせんの苦界に居直って生きる姿を活写し、日本映画監督協会新人奨励賞を受賞した名作。田中陽造の絶妙な脚本、高村倉太郎(キャメラ)、熊谷秀夫(照明)、川崎軍二(美術)の名人芸が奇跡のように融合し、黒子を使っておせんが人形振りで踊る名場面の様式美は語り草になっている。

(text by 高崎俊夫)