図説 危険な話JapaneseEnglish

さわらぬカクにたたりなし 高畑勲(演出家) 

 たしかに、私たちは文明の進歩の恩恵に浴し、
それを享受して来ました。
その延長上に原発はあるのだそうです。
その文明をまもるために核兵器はあるのだそうです。
 ある葬儀社の広告にこうありました。
「御家族にあってはならない、社会になくてはならない」
しかし、
核兵器がなくても大丈夫、人類はやってゆけます。
原子力発電所がなくても人類はやってゆけます。
だからぼくはこだわりなく、
核兵器の廃絶に賛成します。
原子力発電所の建設に反対します。
 チェルノブイリやスリーマイル島をもち出すまでもありません。
危険な廃棄物の処理さえ目途がつかず、
過疎地や外国に押しつけることひとつとっても、
原子力発電が完結した技術体系になっていないことは明らかです。
たとえ再処理の技術が将来確立されたとしても、
自然の与えてくれる恵みとはちがい、
核や人工放射能という、タタリの強い危険なシロモノを
人類は未来永劫に管理処理し続ける責任を負わなければなりません。
 導火線に火をつけてしまったダイナマイトを、
次々と次代に受け渡していく無責任な図は、
ドタバタ喜劇のヒトコマに似ていますが、
こちらは決して笑えない。
ゾッとするイメージです。
 次代に受け渡すべきは、
まず太陽の下、
汚れのない大気と水、
そして豊かな大地であらねばならないのに。
('89年 ふゅーじょんぷろだくと 図説 危険な話)
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