1月27日(土)〜29日(月)

鬼火

1956年(S31)/東宝/白黒/46分 ◯国立映画アーカイブ所蔵作品

『鬼火』写真

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■原作:吉屋信子/脚本:菊島隆三/撮影:山田一夫/美術:中古智/音楽:伊福部昭
■出演:加東大介、津島恵子、宮口精二、中村伸郎、中田康子、清川玉枝、中北千枝子、堺左千夫

二本立て興行に対応するため、東宝が開始した中篇文芸映画“ダイヤモンド・シリーズ”の第一作。ガス会社の集金人が、寝たきりの夫を抱えて困窮する妻に肉体関係を迫る。集金人を演じた加東大介は、本作の好演により「大番」シリーズの主役に起用された。

1月27日(土)〜29日(月)

下町 ダウンタウン

1957年(S32)/東宝/白黒/58分 ◯国立映画アーカイブ所蔵作品

『下町 ダウンタウン』写真

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■原作:林芙美子/脚本:笠原良三、吉田精弥/撮影:西垣六郎/美術:中古智/音楽:伊福部昭
■出演:山田五十鈴、三船敏郎、田中春男、多々良純、淡路恵子、村田知英子

“ダイヤモンド・シリーズ”の一篇。復員するはずの夫を待つ子持ちの女と、シベリアから復員した男とのつかのまのふれあいを描く。三船敏郎は本作他で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。林芙美子が原作ということで成瀬巳喜男の演出と比較してみるのも一興かも。

1月27日(土)〜2月2日(金)

大番 完結篇

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1958年(S33)/東宝/白黒/104分

『大番 完結篇』写真

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■原作:獅子文六/脚本:笠原良三/撮影:西垣六郎/美術:中古智、清水喜代志/音楽:佐藤勝
■出演:加東大介、淡島千景、原節子、団令子、青山京子、仲代達矢、山村聰

シリーズ第四作。1949年、東京証券取引所が再開。故郷に戻っていた“ギューちゃん”は再び兜町へ。戦後の日本経済は朝鮮戦争の特需景気もあって好景気に沸く。“ギューちゃん”は一世一代の大勝負に出るが……。足かけ二年にわたる大ヒット・シリーズ堂々の完結篇。

1月30日(火)〜2月6日(火)

みれん

1963年(S38)/東京映画/白黒/99分

『みれん』写真

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■原作:瀬戸内晴美/脚本:松山善三/撮影:西垣六郎/美術:小島基司/音楽:黛敏郎
■出演:池内淳子、仲代達矢、仲谷昇、乙羽信子、西村晃、沢村貞子、岸田今日子、加東大介

瀬戸内晴美(寂聴)の短篇連作集『夏の終り』を映画化した文芸作品。映画に先立ち、同年、TBSでドラマ化されている。妻子ある小説家の小杉は愛人の知子と不倫関係を八年も続けている。ある日、知子の前に昔の恋人が現れ、小杉との関係は亀裂を生じはじめる……。

1月30日(火)〜2月6日(火)

ホノルル・東京・香港 HONOLULU-TOKYO-HONGKONG

1963年(S38)/東宝、キャセイ・オーガニゼーション/カラー/102分

『ホノルル・東京・香港 HONOLULU-TOKYO-HONGKONG』写真

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■脚本:松山善三/撮影:西垣六郎/美術:阿久根巌/音楽:松井八郎
■出演:宝田明、尤敏、加山雄三、星由里子、草笛光子、王引、林冲、上原謙、藤木悠、三木のり平、藤間紫、飯田蝶子

“香港三部作”の第三作。前二作がビター・スウィートなメロドラマだったのに対して、本作ではハワイや香港にロケをした、コメディ・タッチの華やかなドラマになった。場面ごとに衣装を変える尤敏のファッションや草笛光子のフラダンスがグッド。脚本は松山善三。

2月3日(土)〜10日(土)

裸の重役

1964年(S39)/東宝/カラー/103分

『裸の重役』写真

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■原作:源氏鶏太/脚本:井手俊郎/撮影:西垣六郎/美術:阿久根巌/音楽:團伊玖磨
■出演:森繁久彌、団令子、星由里子、草笛光子、児玉清、加東大介、有島一郎、藤木悠、船戸順

源氏鶏太の小説『東京一淋しい男』の映画化。仕事一筋で部下にも厳しい大手商社の営業部長が、一方で一人娘が会社で評価の低い男と交際していることを知って悩み、しみじみと人生を考える。“社長”シリーズの森繁久彌がシリアスに演じる人生観照の佳作。

2月3日(土)〜10日(土)

河内フーテン族

1968年(S43)/東宝、宝塚映画/カラー/85分

『河内フーテン族』写真

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■原作:今東光/脚本:椎名龍治、新井一/撮影:西垣六郎/美術:近藤司/音楽:伊福部昭
■出演:フランキー堺、ハナ肇、野川由美子、酒井和歌子、沢井桂子、藤木悠、曽我廼家明蝶

“河内モノ”で知られる今東光の小説を映画化した喜劇。やくざ者の風吉が二十年ぶりに大陸から河内に帰ってきた。風吉は東吾和尚に預けた妹トヨに会おうとするが、和尚はそれを許さない。仕方なく風吉は浅吉親分に身を寄せて周囲の人のためにひと肌脱ぐ。

2月7日(水)〜10日(土)

春らんまん

1968年(S43)/東宝/カラー/103分

『春らんまん』写真

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■原作:水木洋子/脚本:松木ひろし/潤色・脚本:井手俊郎/撮影:西垣六郎/美術:阿久根巌/音楽:小杉太一郎
■出演:新珠三千代、司葉子、星由里子、白川由美、宝田明、森雅之

水木洋子脚本×吉村公三郎監督の大映作品『婚期』のテレビドラマ版を、東宝の豪華女優陣で再リメイク。千葉としては『沈丁花』の流れを汲む結婚をめぐるホーム・コメディである。家業を継いだ兄とその嫁、小姑三姉妹の結婚や恋愛が陽気で賑やかに描かれる。

text by 木全公彦(映画評論家)

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