成瀬巳喜男 その、まなざし 2/29-4/24


スケジュール
作品解説1
作品解説2
作品解説4

ラピュタ阿佐ヶ谷




作品解説3

女の座流れる夫婦夜ごとの夢乱れ雲女の中にいる他人鶴八鶴次郎秋立ちぬ
女の座
(c) 東宝
3.24[水]ー30[火]
女の座
1962年/東宝/白黒/111分
■製作:藤本真澄、菅英久脚本:井手俊郎、松山善三撮影:安本淳/美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:笠智衆、高峰秀子司葉子、星由里子、淡路恵子、草笛光子
小正月興行らしい豪華キャストの大家族劇
「娘・妻・母」「妻として女として」に続く、井手=松山コンビの脚本で、家族制度における妻の立場を問う三部作。この作品は、家庭内で唯一の他人ともいうべき長男の未亡人が、次々とおこる出来事を客観的にみるという形で展開されていく。

流れる
(c) 東宝
3.28[日]ー4.3[土]
流れる
1956年/東宝/白黒/117分
■製作:藤本真澄/脚本:田中澄江、井手俊郎/原作:幸田文/撮影:玉井正夫美術:中古智/音楽:斎藤一郎 ■出演:田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子
日本映画女優史をみるような出演者の顔ぶれ
東京の下町にある芸者小屋を舞台に、住込みの女中の目を通して花柳界に生きる女たちの姿を描いている。豪華絢爛たる女優の出演もみどころのひとつで、女優の芸と個性がぶつかりあった、まさしく女の世界である。

夫婦
(c) 東宝
3.28[日]ー4.3[土]
夫婦
1953年/東宝/白黒/87分
■製作:藤本真澄/脚本:井手俊郎、水木洋子/撮影:中井朝一/美術:松山崇音楽:斎藤一郎 ■出演:上原謙、杉葉子、三國連太郎、小林桂樹、藤原釜足、滝花久子、岡田茉莉子、豊島美智子
必要最小限の登場人物で人生の全てを描く
結婚六年目の夫婦が、ひとりの独身男と生活をともにするなかで、曲折の果てに夫婦の深い愛情を確認しあうに至るまでを描いた、成瀬お得意の小市民ホームドラマ。水木洋子、中井朝一といったベストスタッフが脇を固めている。

3.31[水]ー4.6[火]
夜ごとの夢
1933年/松竹蒲田/白黒/無声/64分
■脚本:池田忠雄/原作:成瀬巳喜男/撮影:猪飼助太郎/美術:浜田辰雄 ■出演:栗島すみ子、小島照子、斎藤達雄、新井淳、吉川満子、坂本武、飯田蝶子、沢蘭子
日本映画界最大のホープと目されるに至る
夫に逃げられた女が、酒場で身を売る生活を送っている。そこへ夫が帰ってきた喜びもつかの間、子どもが交通事故に…。親子水いらずの生活を心から願った女の悲しみが描かれる、成瀬巳喜男監督初期の代表作。

乱れ雲
(c) 東宝
3.31[水]ー4.6[火]
乱れ雲
1967年/東宝/カラー/108分
■製作:藤本真澄、金子正且/脚本:山田信夫/撮影:逢沢譲/美術:中古智/音楽:武満徹 ■出演:加山雄三、司葉子草笛光子、森光子、浜美枝加東大介、土屋嘉男、藤木悠、中村伸郎
コクのある上質なメロドラマ 成瀬巳喜男最後の作品
夫を交通事故で亡くした若い美貌の人妻と、その加害者である青年との純愛を描いたメロドラマの傑作。青年への憎しみが次第に激しい愛へと転じる過程が、実にスリリングな描写で表現され、まさに成瀬の独断場。

女の中にいる他人
(c) 東宝
4.4[日]ー10[土]
女の中にいる他人
1966年/東宝/白黒/102分
■製作:藤本真澄、金子正且/脚本:井手俊郎/原作:エドワード・アタイヤ/撮影:福沢康道/美術:中古智音楽:林光 ■出演:小林桂樹、新珠三千代、草笛光子、三橋達也若林映子
成瀬だからこそのサスペンス 心理描写に手腕を発揮
E・アタイヤの『細い線』を翻案した心理サスペンス。殺人を犯して自首しようとした夫を、妻は事故死にみせかけて…。加害者へと変わっていく女の姿を緻密に描き、心理描写に当代きっての腕を持つ成瀬ならではの緊張感あふれる異色作。

鶴八鶴次郎
(c) 東宝
4.4[日]ー10[土]
鶴八鶴次郎
1938年/東宝/白黒/89分
■製作:森田信義/脚本:成瀬巳喜男/原作:川口松太郎/撮影:伊藤武夫美術:久保一雄/音楽:飯田信夫 ■出演:長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫
端正な演出で芸道に精進する男女の葛藤を描く
明治から大正初期にかけて人気の絶頂にあった新内の名コンビ・鶴八鶴次郎の愛情と芸道との葛藤を描く。女が犠牲を強いられることもなく、男がくよくよと思い悩むでもなく、結果としてのはかなさをそれとなく表現、娯楽作としても楽しめる。

秋立ちぬ
(c) 東宝
4.7[水]ー13[火]
秋立ちぬ
1960年/東宝/白黒/79分
■製作:成瀬巳喜男/脚本:笠原良三/撮影:安本淳美術:北辰雄/音楽:斎藤一郎 ■出演:乙羽信子、夏木陽介、原知佐子、加東大介、河津清三郎、藤原釜足、菅井きん、藤間紫
成瀬映画には珍しく子どもが主人公に
父親を亡くし母の実家へ親子で上京した少年と、母が女中として住み込む旅館の娘との淡い交流を描く。複雑な大人の世界に身をおく子供の視点は、大人の心理描写を得意とする成瀬としては前年の「コタンの口笛」に続き二作目となる。