レイトショー
「新東宝ピンク映画 ラスト・フィルム・ショー inラピュタ阿佐ヶ谷
 〜21世紀ピンク映画デビューの監督たちを中心に〜」

2017年8月6日(日)〜10月19日(木)連日21:00より
※9月4日(月)はメンテナンスのため休館いたします。
ラピュタ阿佐ヶ谷

フィルムによる映画製作・配給がほぼ終焉を迎えつつある今、長年低予算による製作をおこなって数々の才能を輩出した成人映画(ピンク映画)の世界も例外にもれず、フィルムでの配給も倉庫における保管もカウントダウンがはじまっています。今回、ラピュタ阿佐ヶ谷では「Last Film Show」と銘打ってピンク映画の老舗新東宝映画の特集をおこないます。今回は長年ピンク映画を支えたベテラン監督の作品ではなく、21世紀にはいってピンク映画デビューした「新人監督」の作品にスポットをあてました。

デビュー以来ピンク映画のみならず一般映画、Vシネなどで快進撃を続ける城定秀夫、最近はドキュメンタリーの分野でも注目を集めアテネフランセでも特集上映がおこなわれた堀禎一、にっかつロマンポルノでデビューしたベテラン監督ながら40代でピンク映画に殴りこみをかけた後藤大輔など、個性ゆたかな監督たちによる情念あふれるドラマからホラー、コメディ、青春ものまでバラエティに富んだ力作ぞろいです。

ピンク映画とは単なるエロ映画ではなく、むしろジャンル映画の一種であって、西部劇やアクション映画に随所でガンファイトが挿入されるように映画の随所でセックス・シーンを描くものです。見方によってはそれは裸の人間をまるごと捉えることのできる唯一の映画ジャンルであるわけですが、基本的には熟練を要する職人芸の世界でもあり、「商品化された性」と「話芸」こそ全国にいまなお四十館ちかく存在するピンク映画専門の映画館(そこにはシネコン全盛の現在も個人経営の映画館主さんが多数残っています)の興業的土壌が求めるものに他なりません。それでもこの世界にはときとして映画=フィルムがないないづくしの泥沼のような低予算の現場で奇跡のように鮮やかな花を咲かせる瞬間が存在していました。その花はちっぽけでささやかなものかもしれませんが、これこそが絶滅を危惧されて久しいピンク映画の生命がいまなお絶えることのない理由のひとつであると我々は信じます。今回のラピュタ阿佐ヶ谷での上映で少しでもそういった「瞬間」に遭遇していただけましたらこれに勝る喜びはありません。そしてその喜びを低予算・長時間労働のハードな現場で闘ってきた不屈のピンク映画関係者全員に捧げたいと思います。

【上映作品】
『夫婦交換前夜 私の妻とあなたの奥さん』『吉沢明歩 誘惑 あたしを食べて』『紅薔薇夫人』『色情団地妻 ダブル失神』『裸の三姉妹 淫交』『未亡人教授 白い肌の淫らな夜』『うずく人妻たち 連続不倫』『連続ONANIE 乱れっぱなし』『妖女伝説 セイレーンX 〜魔性の誘惑〜』『おんなたち 淫画』『連続不倫II 姉妹相姦図』『人妻ブティック 不倫生下着』『したがるかあさん 若い肌の火照り』『妻たちの絶頂 いきまくり』『裸の女王 天使のハメ心地』

【上映日程】
8.6[日]-10[木]
夫婦交換前夜 私の妻とあなたの奥さん
(プリントタイトル『団地妻セックスバトル 不倫とスワップ』)
2004年(H16)/新東宝映画/カラー/60分
■監督・脚本:後藤大輔/プロデューサー:池島ゆたか/撮影:飯岡聖英/編集:酒井正次/録音:シネ・キャビン
■出演:夏目今日子、境賢一、林田ちなみ、本田菊次朗
うわべは平穏だが実は危機的な状況にある夫婦がスワッピングという大胆な行為に踏み出すさまを描いた愛と笑いの官能世界。皮膚感覚的なリアリズムで綴られる日常が狂気の匂いすら漂うスワッピング世界へ突入する。職人および作家としてのバランス感覚が絶妙な後藤大輔監督の秀作。

8.11[金]-15[火]
吉沢明歩 誘惑 あたしを食べて
(プリントタイトル『吉沢明歩 したくてしたくて』)
2007年(H19)/新東宝映画/カラー/61分
■監督・脚本:佐藤吏/プロデューサー:深町章/撮影:長谷川卓也/音楽:大場一魅/助監督:金沢勇大
■出演:吉沢明歩、西岡秀記、大沢佑香、千葉尚之、日高ゆりあ
フリーターのアキは川野の経営するイタリアンレストランで働いている。彼氏のマサルの裏切りを知って彼女は自身の川野への思いに気づくが…。佐藤吏監督がTVやAVで活躍の女優吉沢明歩の自然な魅力を存分に引き出した。湘南を舞台に恋に揺れる女心を描いた青春エロス編。

8.16[水]-20[日]
紅薔薇夫人
2006年(H18)/団鬼六、アートポート、日活、新東宝映画/カラー/70分
■監督・脚本:藤原健一/原作:団鬼六/撮影:中尾正人/照明:小川満/編集:金子尚樹
■出演:坂上香織、大沢樹生、津田寛治、永瀬光、黒田瑚蘭、勝矢秀人
原作者団鬼六が生前もっとも愛着があったとされる原作小説をピンク映画の枠をはるかに超えた豪華キャストによって映画化。怨恨と劣情が妖奇な花を咲かせる嗜虐の美の世界。SM好きならずとも必見の問題作。藤原健一監督は2002年にピンク映画デビュー、一般映画・Vシネで活躍中。

8.21[月]-25[金]
色情団地妻 ダブル失神
2006年(H18)/国映、新東宝映画/カラー/64分
■監督:堀禎一/脚本:尾上史高・堀禎一/撮影:橋本彩子/照明:山本浩資/音楽:網元順也
■出演:葉月螢、牛嶋みさを、冴島奈緒、チョコボール向井、加藤靖久、安奈とも
元プロボクサーで取り立て屋をやっている夫とその妻、そして夫がプロレスラーの夫婦…。生活苦と不倫のためにひび割れてゆく夫婦関係を2003年デビューの堀禎一監督が丁寧に描出。もろくもしたたかな絆で結ばれた夫婦の姿を通して時代の混沌とした不気味さが浮き彫りになる。

8.26[土]-30[水]
裸の三姉妹 淫交
(プリントタイトル『隣の三姉妹 やりくらべ』)
2006年(H18)/新東宝映画/カラー/61分
■監督:田中康文/脚本:内藤忠治・福原彰ほか/撮影:小山田勝治/音楽:大場一魅/助監督:小川隆史
■出演:麻田真夕、薫桜子、淡島小鞠、武田勝義、竹本泰志、吉行由実
無軌道な性生活に浸る長女、妻子ある男との不倫にはまる次女、引きこもりの生活を送る三女…。三姉妹それぞれの生きざまと恋愛模様を透明感のあるタッチで描いた田中康文監督デビュー作。壊れてしまった家族の不可能な再生の物語は21世紀のホームドラマのひとつの形か。

8.31[木]-9.3[日]
未亡人教授 白い肌の淫らな夜
(プリントタイトル『未亡人教授 年下の愛人』)
2004年(H16)/新東宝映画/カラー/61分
■監督・脚本:小泉剛/撮影:田宮健彦/美術:小島伸介/音楽:鈴木ミワ/助監督:松本唯史
■出演:佐々木麻由子、松重伴武、谷川彩、北川明花、伊藤猛、大槻修治
家業の酒屋を手伝う時男は高校時代の同級生の母で大学教授をしている綾子と久しぶりに再会して心をひかれる。「未亡人もの」でありながら青春ストーリーでもあるというしなやかな二重性がスリリングな小泉剛監督のデビュー作。本企画中唯一人の向井プロ(獅子プロ)出身監督。

9.5[火]-9[土]
うずく人妻たち 連続不倫
(プリントタイトル『今ここで抱いて、主人が寝てる間に…』)
2006年(H18)/新東宝映画/カラー/62分
■監督・脚本:福原彰/プロデューサー:深町章/撮影:清水正二/音楽:大場一魅
■出演:佐々木麻由子、岡田智宏、里見瑤子、中村方隆、美月ゆう子、なかみつせいじ
年下の俊夫との不倫旅行の最中に小学生の娘が交通事故で死んでしまった光江。12年後、彼女はひょんなきっかけで俊夫と再会するが…。新東宝映画社員でもある福原彰監督デビュー作。「よろめきドラマ」の極北ともいうべきスタイルと内容で密度の濃い映画的時間を現出させている。

9.10[日]-14[木]
連続ONANIE 乱れっぱなし
1994年(H6)/国映/カラー/60分
■監督:上野俊哉/プロデューサー:岩田治樹、サトウトシキ/脚本:迦楼羅/撮影:小西泰正/助監督:女池充
■出演:伊藤猛、相川瞳、葉月螢、吉田京子、下元史朗、佐野和宏
2013・2014年にそれぞれ逝去した上野俊哉監督、俳優伊藤猛の特別追悼上映。両者にとってまぎれもない代表作の一本。中上健次の短編「荒神」をベースにした脚本は瀬々敬久がペンネームで執筆。吹き溜まりのような地方の町に集まった風来坊たちの哀しくも残酷な神話的世界。

9.15[金]-19[火]
妖女伝説 セイレーンX 〜魔性の誘惑〜
2008年(H20)/竹書房、新東宝映画/カラー/65分
■監督:城定秀夫/脚本:高木裕治、城定秀夫/撮影:田宮健彦/編集:酒井正次/録音:シネマサウンドワークス
■出演:麻美ゆま、松浦祐也、日高ゆりあ、中村英児、那波隆史
往年の大ヒットVシネを自由に翻案し映画化。一般映画・Vシネなど多方面で活躍中の城定秀夫監督がその手腕を存分に発揮し、70年代の東宝ホラー映画を彷彿とさせる吸血鬼物語を現代に蘇らせた。AV界のトップアイドルでがん克服でも話題になった麻美ゆまが女吸血鬼を熱演。

9.20[水]-24[日]
おんなたち 淫画
2007年(H19)/国映、Vパラダイス、新東宝映画/カラー/63分
■監督:大西裕/企画:朝倉大介/脚本:西田直子、加東小判/撮影:田宮健彦/助監督:海野敦
■出演:吉岡睦雄、宮崎あいか、花村玲子、川瀬陽太、羅門ナカ、伊藤猛
一人の男と二人の女のどうにもならない三角関係をリアリズムと超現実的手法をとりまぜて描いた映画の迷宮。現段階で新東宝配給による最後の新人監督デビューとなる大西裕監督作品。独特なイメージ=映像スタイルと監督自身を重ねたようなユニークな主人公像が光る一篇。

9.25[月]-29[金]
連続不倫II 姉妹相姦図
(プリントタイトル『欲情人妻姉妹』)
2007年(H19)/新東宝映画/カラー/61分
■監督・脚本:福原彰/プロデューサー:深町章/撮影:清水正二/音楽:大場一魅/スチール:津田一郎
■出演:速水今日子、淡島小鞠、千葉尚之、しのざきさとみ、西岡秀記
人妻の栄子は数年前に別れた年下の不倫相手満生と偶然再会する、それも最愛の妹の婚約者として…。長回しを多用した映像で抜き差しならぬ男女の関係を息が詰まるような緊迫感で描く。福原彰監督が前作に続いて「人妻もの」(不倫ドラマ)で内容とスタイルのさらなる純化と徹底化を試みた。

9.30[土]-10.4[水]
人妻ブティック 不倫生下着
(プリントタイトル『人妻・未亡人 不倫汗まみれ』)
2002年(H14)/新東宝映画/カラー/62分
■監督・脚本:佐藤吏/撮影:飯岡聖英/音楽:大場一魅/編集:酒井正次/助監督:小川隆史
■出演:沢木まゆみ、松田信行、ゆき、岡田智宏、なかみつせいじ、佐々木基子
君枝は心臓の弱い夫健治の代わりに働いて家計をまかなっている。一方で心の隙間を埋めるようにセールスマン佃と関係をもっていて…。人生の影の部分も描きながら揺れる若妻の心に鮮やかな光をあてた佐藤吏監督2002年のデビュー作。Vシネで人気だった沢木まゆみが好演。

10.5[木]-9[月]
したがるかあさん 若い肌の火照り
2008年(H20)/国映、Vパラダイス、新東宝映画/カラー/63分
■監督:堀禎一/脚本:佐藤稔/撮影:清水正二/音楽:神尾光洋/編集:有馬潜/助監督:永井卓爾
■出演:かなと沙奈、吉岡睦雄、下元史朗、飯島大介、水沢萌子、速水今日子
大学の恩師と結婚した20代の未亡人摩耶は夫の連れ子周平と暮らしている。年齢のちかい二人が一つ屋根の下にいて何もないはずがなく…。ピンク映画の定番「未亡人もの」「義母もの」といったジャンルで定型に収まらない生きた人間像を描いた堀禎一監督の瑞々しい一篇。

10.10[火]-14[土]
妻たちの絶頂 いきまくり
2006年(H18)/新東宝映画/カラー/62分
■監督・脚本:後藤大輔/プロデューサー:池島ゆたか/撮影:飯岡聖英/助監督:伊藤一平
■出演:千川彩菜、吉岡睦雄、結衣、柳東史、なかみつせいじ、佐々木基子
ピンク映画監督の伸輔は別れた妻時雨との物語を映画にしようと計画するが、結核だった妻の療養に生涯を投じた叔父の物語と自身の物語が脳裏で交錯し…。後藤大輔監督が現実とも幻想ともつかない複数の物語=時間を多元的に構成。アヴァンギャルドかつ自伝的要素が濃厚な異色作である。

10.15[日]-19[木]
裸の女王 天使のハメ心地
(プリントタイトル『裸の牝たち 見られていっちゃう』)
2007年(H19)/新東宝映画/カラー/62分
■監督:田中康文/脚本:福原彰/撮影:小山田勝治/音楽:大場一魅/助監督:中川大資
■出演:青山えりな、結城リナ、サーモン鮭山、田中繭子、岡田智宏
マリとリンは幼なじみのストリッパーである。客の隆夫に求愛されたマリは彼の実家が大金持ちと聞いて結婚を承諾するが…。『紳士は金髪がお好き』をストリッパーの世界に置きかえたような気軽に楽しめるコメディ作品。本作が二作目となる田中康文監督が堂々たる娯楽作に仕上げた。

【料金】
一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 
※水曜サービスデー…1,000円均一