武満徹の映画音楽

『砂の女』写真

(c)草月会

8月2日(日) 〜8日(土)

砂の女

1964年(S39)/勅使河原プロダクション/白黒/147分

■監督:勅使河原宏/原作・脚本:安部公房/撮影:瀬川浩/美術:平川透徹、山崎正夫
■出演:岡田英次、岸田今日子、三井弘次、伊藤弘子、矢野宣、市原清彦、西本裕行

昆虫採集にきた高校教師が、砂穴の底にある奇怪な家に閉じこめられる…。脱出を試みる男、ひきとめておこうとする女――。電子変調されたハープや弦楽器の不気味なうねりがショッキングな展開に拍車をかける。

『青幻記 遠い日の母は美しく』写真

 

8月5日(水) 〜11日(火)

青幻記 遠い日の母は美しく

1973年(S48)/青幻記プロダクション/カラー/117分

■監督・脚本・撮影:成島東一郎/脚本:平岩弓枝、伊藤昌輝/原作:一色次郎/美術:下石坂成典
■出演:田村高廣、賀来敦子、山岡久乃、浜村純、藤原釜足、殿山泰司、新井庸弘、伊藤雄之助

沖永良部島の大自然、青く澄んだ空と海を背景に、亡き母の面影を追想する珠玉の映像詩。名カメラマン・成島東一郎の第一回監督作品で、美しく哀しいメロディが、この幻想的な悲劇を深く感動的なものにしている。

『上意討ち 拝領妻始末』写真

(c)東宝

8月5日(水) 〜11日(火)

上意討ち 拝領妻始末

1967年(S42)/東宝、三船プロダクション/白黒/121分

■監督:小林正樹/脚本:橋本忍/原作:滝口康彦/撮影:山田一夫/美術:村木与四郎
■出演:三船敏郎、加藤剛、司葉子、仲代達矢、江原達怡、大塚道子、三島雅夫、松村達雄、神山繁、山形勲、浜村純

武家社会の不条理と、それに立ち向かう一人の男――。滝口康彦の原作をもとに橋本忍が脚色、小林正樹が封建社会の非人間的な矛盾を突いた骨太時代劇。尺八と琵琶を用いた音楽が画面にアクセントを与える。

8月9日(日) 〜15日(土)

儀式

1971年(S46)/創造社、ATG/カラー/122分

■監督・脚本:大島渚/脚本:田村孟、佐々木守/撮影:成島東一郎/美術:戸田重昌
■出演:河原崎建三、賀来敦子、佐藤慶、乙羽信子、小山明子、小松方正、渡辺文雄、戸浦六宏、中村敦夫

地方の旧家を舞台に、敗戦後も旧態依然とした家父長制度の中で生きることを強いられた若者たちの苦悩を描く。荘重で、重厚なこの悲劇に、武満の音楽も存分に応えた。戸田重昌による美術も圧巻。

『日本の青春』写真

(c)東宝

8月12日(水) 〜18日(火)

日本の青春

1968年(S43)/東京映画/白黒/129分

■監督:小林正樹/脚本:廣澤榮/原作:遠藤周作/撮影:岡崎宏三/美術:小島基司
■出演:藤田まこと、新珠三千代、佐藤慶、田中邦衛、黒沢年男、酒井和歌子

学徒出陣の経験を持つ中年男が、ふとしたことから初恋の女性と、かつて自分にリンチを加えた上官に再会。青春の心の傷が疼きだす――。遠藤周作の小説『どっこいショ』を映画化。ハーモニカの叙情的な旋律が印象的。

『他人の顔』写真

(c)草月会

8月12日(水) 〜18日(火)

他人の顔

1966年(S41)/東京映画、勅使河原プロダクション/白黒/121分

■監督:勅使河原宏/原作・脚本:安部公房/撮影:瀬川浩/美術:山崎正夫
■出演:仲代達矢、平幹二朗、入江美樹、岸田今日子、岡田英次、京マチ子

顔面に大火傷を負った男が、妻の愛を取り戻すべく、他人の顔を手に入れる――。安部公房の不条理劇を勅使河原宏が三たび映画化。ドイツ・ワルツ風の主題曲、電子変調を用いた音響表現など、実験精神あふれる傑作。

『いのち・ぼうにふろう』写真

(c)東宝

8月16日(日) 〜22日(土)

いのち・ぼうにふろう

1971年(S46)/東宝、俳優座/白黒/121分

■監督:小林正樹/脚本:隆巴/原作:山本周五郎/撮影:岡崎宏三/美術:水谷浩
■出演:仲代達矢、栗原小巻、山本圭、酒井和歌子、中村翫右衛門、勝新太郎、佐藤慶、岸田森、草野大悟

山本周五郎『深川安楽亭』をもとに映画化。吹きだまりに巣食うならず者たちが、ある若者の純愛にほだされ、ひとり、またひとりと命を投げだしていく――。緊迫感あふれる音楽、岡崎宏三のモノクロ撮影も絶品 。

『手をつなぐ子ら』写真

(c)角川映画

8月19日(水) 〜25日(火)

手をつなぐ子ら

1964年(S39)/昭和映画/白黒/100分

■監督・潤色:羽仁進/脚本:伊丹万作/原作:田村一二/撮影:長野重一
■出演:佐藤英夫、北城由紀子、森原幸雄、植田元求、香西純夫、山崎耕一郎、新屋英子

伊丹万作脚本、稲垣浩監督の名作『手をつなぐ子等』('48)を再映画化。成績は悪いがクラスの人気者・寛太を中心に、子どもたちの世界を描いた珠玉篇。素人少年たちの自由な演技に、武満の音楽が素朴な彩りをそえる。