『綴方教室』写真

(c)東宝

1月9日(日) 〜11日(火)

綴方教室

1938年(S13)/東宝映画東京/白黒/86分

■監督:山本嘉次郎/原作:豊田正子/脚本:木村千依男/撮影:三村明/美術:松山崇
■出演:高峰秀子、小高まさる、清川虹子、滝沢修、赤木蘭子、三島雅夫

豊田正子の作文集をもとに荒川沿いのスラム街で貧しさにめげず明るく生きるブリキ職人一家を描く名編。子役時代の高峰秀子の代表作で、父親に扮した夢声が不況で仕事がなくなり、ヤケ酒をくらい家族に当たり散らす場面など実にリアルだ。

『手をつなぐ子等』写真

(c)角川映画

1月9日(日) 〜15日(土)

手をつなぐ子等

1948年(S23)/大映京都/白黒/86分

■監督:稲垣浩/原作:田村一二/脚本:伊丹万作/撮影:宮川一夫/音楽:大木正夫
■出演:笠智衆、初山たかし、香川良介、杉村春子、沢村アキオ、常盤操子、伊達三郎

京都の小学校を舞台に知的障害をもつ少年・寛太が教師や級友に見守られ、のびやかに成長する姿を活写した名作。伊丹万作の遺稿を抑制された抒情的なタッチでとらえた稲垣浩の演出が見事。夢声は小学校の校長を滋味豊かに演じている。

『春の戯れ』写真

(c)国際放映

1月9日(日) 〜15日(土)

春の戯れ

1949年(S24)/新東宝、映画芸術協会/白黒/109分 ※16mm

■監督・脚本:山本嘉次郎/原作:マルセル・パニョル/撮影:山崎一雄/音楽:早坂文雄
■出演:宇野重吉、高峰秀子、飯田蝶子、三島雅夫、鳥羽陽之助、一の宮あつ子

明治初頭、品川の居酒屋のせがれ(宇野重吉)は海に憧れ、船員になる。三年後、幼馴染の恋人(高峰秀子)と再会し、意外な事実を知る。港町の哀歓を情趣たっぷりに描いたマルセル・パニョルの『マリウス』の翻案で、夢声は宇野の父親役。

『昨日消えた男』写真

(c)東宝

1月12日(水) 〜18日(火)

昨日消えた男

1941年(S16)/東宝映画東京/白黒/89分

■監督:マキノ正博/脚本:小國英雄/撮影:伊藤武夫/美術:樋野正雄/音楽:鈴木静一
■出演:長谷川一夫、山田五十鈴、高峰秀子、江川宇礼雄、川田義雄、鳥羽陽之助、清川虹子

長屋で起きた大家殺人事件をめぐり「遠山の金さん」が乗り出すミステリ大作。長谷川=山田の黄金コンビに加え、島田髷に結った高峰秀子が落ちぶれた浪人・夢声の娘役で彩りを添える。夢声はマキノ正博の超早撮りに驚嘆したと回想している。

『爆笑水戸黄門漫遊記』写真

(c)東宝

1月12日(水) 〜18日(火)

爆笑水戸黄門漫遊記

1959年(S34)/東宝/カラー/91分

■監督:斎藤寅次郎/脚本:中田竜雄/撮影:飯村正/美術:北猛夫/音楽:広瀬健次郎
■出演:柳家金語楼、佐原健二、夏木陽介、佐藤允、中田康子、南道郎、柳沢真一、有島一郎

斎藤寅次郎が夢声主演で撮った『水戸黄門漫遊記』(38)のセルフリメイク。生類憐みの令を背景に、鰻屋・柳家金語楼とドサ回りの役者・由利徹が偽黄門となり、掛川藩の御家騒動に巻き込まれるドタバタ喜劇。夢声は前作と同様本物の黄門役。

『音楽喜劇 ほろよひ人生』写真

(c)東宝

1月16日(日) 〜18日(火)

音楽喜劇 ほろよひ人生

1933年(S8)/写真科学研究所/白黒/77分

■監督:木村荘十二/脚本:松崎啓次/撮影:鈴木博/音楽:兼常清佐、紙恭輔、奥田良三
■出演:大川平八郎、藤原釜足、千葉早智子、堤眞佐子、古川緑波、大辻司郎

ビアスタンドの売り子と音楽学生との恋を描く日本最初のミュージカル・コメディ。夢声は音楽学校の校長で天才歌手を退校させ、レコード会社の社長としてはこの歌手に平身低頭する俗物を演じている。
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

『スラバヤ殿下 Prince Soerabaja』写真

(c)日活

1月16日(日) 〜22日(土)

スラバヤ殿下 Prince Soerabaja

1955年(S30)/日活/白黒/86分 ※16mm

■監督:佐藤武/原作:菊田一夫/脚本:柳沢類寿/撮影:横山実/美術:木村威夫
■出演:森繁久彌、丹下キヨ子、三木のり平、馬淵晴子、内海突破、飯田蝶子、有島一郎

森繁久彌が天才学者とペテン師の兄弟二役を演じたコメディ。兄になりすまし詐欺を働いた弟は<スラバヤ殿下>を名乗りマスコミの寵児になるが─。元祖タモリともいうべき森繁の喋るインチキ外国語が可笑しい。夢声はナレーションを担当。

『吾輩ハ猫デアル』写真

(c)東宝

1月19日(水) 〜22日(土)、26日(水) 〜29日(土)

吾輩ハ猫デアル

1936年(S11)/P.C.L./白黒/87分

■監督:山本嘉次郎/原作:夏目漱石/脚本:小林勝/撮影:唐澤弘光/音楽:紙恭輔
■出演:丸山定夫、藤原釜足、宇留木浩、英百合子、千葉早智子、北沢彪

山本嘉次郎のソフィスティケートされた演出が称賛された夏目漱石原作の文芸大作。高等遊民の自称美学者迷亭に扮した夢声の洒脱な演技が光る。とくにそば通を気取り薀蓄を傾けながらもりそばを食するユーモラスな場面は話題となった。

Text by 高崎俊夫