7月1日(日) 〜3日(火)

蜂の巣の子供たち

1948年(S23)/蜂の巣映画部/白黒/84分

『蜂の巣の子供たち』写真

写真提供:プラネット映画資料図書館

■監督・脚本:清水宏/撮影:古山三郎/音楽:伊藤宣二
■出演:島村俊作、夏木雅子、御庄正一、伊本紀洋史、多島元、矢口渡、植谷森太郎、久保田晋一郎、千葉義勝、岩本豊、三原弘之、平良喜代志、硲由夫

行き場をなくした復員兵が、下関駅で出会った浮浪児たちを連れて山陽道をあるいていく──。名匠・清水宏監督が、自らひきとり育てていた戦災孤児たちを出演させオール・ロケーションで撮影した、みずみずしいロードムービー。

7月1日(日) 〜7日(土)

ペン僞らず 暴力の街

1950年(S25)/日本映画演劇労働組合/白黒/111分 ※16mm

『ペン僞らず 暴力の街』写真

写真提供:独立プロ名画保存会

■監督:山本薩夫/原作:朝日新聞浦和支局同人/脚本:八木保太郎、山形雄策/撮影:植松永吉/美術:五所福之助/音楽:斎藤一郎
■出演:志村喬、原保美、池部良、河野秋武、沼崎勲、神田隆、永田靖、宇野重吉

暴力で市民を脅し、警察と検察庁を抱きこんで町を支配するボス一派に、新聞記者たちが敢然と挑む。原作は朝日新聞浦和支局同人による『ペン僞らず』。ペンの力、市民の団結の力を全国に知らせて共感を呼び、独立プロ運動に展望をひらいた。

7月1日(日) 〜7日(土)

どっこい生きてる

1951年(S26)/前進座、新星映画社/白黒/102分

『どっこい生きてる』写真

写真提供:独立プロ名画保存会

■監督・脚本:今井正/脚本:岩佐氏寿、平田兼三/撮影:宮島義勇、中尾駿一郎、植松永吉/美術:久保一雄/音楽:大木正夫■出演:河原崎長十郎、中村翫右衛門、河原崎国太郎、河原崎しづ江、飯田蝶子、木村功

『暴力の街』の成功により設立された新星映画社が前進座と提携。大衆から募った資金をもとに製作された。戦後の混乱した世の中、日雇い労働者一家の困窮を極める生活、絶望から再起に向けた格闘をオールロケで。

7月4日(水) 〜10日(火)

夜明け前

1953年(S28)/劇団民藝、近代映画協会/白黒/142分

『夜明け前』写真

©近代映画協会

■監督:吉村公三郎/原作:島崎藤村/脚本:新藤兼人/撮影:宮島義勇/美術:丸茂孝/音楽:大澤壽人
■出演:滝沢修、乙羽信子、細川ちか子、小夜福子、日高澄子、宇野重吉、清水将夫、山内明、伊達信

近代日本文学の名作のひとつとされる島崎藤村の長篇小説を、吉村公三郎監督×新藤兼人脚本のコンビで映画化。滝沢修の半蔵をはじめ劇団民藝が総出演。木曽路馬籠宿、本陣青山家を舞台に明治維新前後を描く壮大な歴史劇。

7月8日(日) 〜14日(土)

村八分

1953年(S28)/近代映画協会、現代ぷろだくしょん/白黒/95分 ※16mm

『村八分』写真

©北星

■監督:今泉善珠/脚本:新藤兼人/撮影:宮島義勇/美術:小島基司/音楽:伊福部昭
■出演:中原早苗、乙羽信子、山村聰、藤原釜足、菅井一郎、日高澄子、英百合子、御橋公、殿山泰司、久松保夫、山田巳之助

地域ぐるみの選挙違反を告発した女学生が一家ともども村八分に──。当時、全国的に話題となった静岡県上野村の事件をとりあげたもの。今泉善珠の第一回監督作品で、本作がデビューの中原早苗が不正と戦う少女を好演している。

7月8日(日) 〜14日(土)

勲章

1954年(S29)/俳優座/白黒/120分

『勲章』写真

©仕事

■監督・脚本:渋谷実/脚本:橋本忍、内村直也/撮影:長岡博之/美術:平川透徹/音楽:奥村一
■出演:小沢栄、佐田啓二、香川京子、千田是也、東野英治郎、杉村春子、東山千栄子、岸輝子、東恵美子、岡田英次

元陸軍中将が在りし日の栄光をとりもどそうと再軍備運動に入れこみ、その末にたどる悲惨な結末──。俳優座が本格的な劇映画に戦後はじめてとりくんだ作品。過去の上層社会の混乱と退廃を描いたものとして注目された。

7月11日(水) 〜16日(月)

縮図

1953年(S28)/近代映画協会/白黒/131分

『縮図』写真

©近代映画協会

■監督・脚本:新藤兼人/原作:徳田秋声/撮影:伊藤武夫/美術:丸茂孝/音楽:伊福部昭
■出演:乙羽信子、日高澄子、山田五十鈴、山村聰、滝沢修、宇野重吉、北林谷栄、菅井一郎、英百合子、山内明、細川ちか子

徳田秋声の最後の長篇小説を新藤兼人が脚色・監督。幼くして芸者置屋に身売りされた、銀子という女の苦難の半生を描いたもの。ヒロイン・乙羽信子の力演は注目を浴び、五十三年度のブルーリボン主演女優賞を獲得。

7月11日(水) 〜16日(月)

末っ子大将

1960年(S35)/新日本プロダクション/白黒/49分 ※16mm

『末っ子大将』写真

写真提供:プラネット映画資料図書館

■監督:木村荘十二/原作:村田忠昭/脚本:依田義賢/撮影:木塚誠一/美術:小林三郎/音楽:大木正夫
■出演:望月優子、島田屯、島米八、安川洋一、巽圭子、高橋芙美子、塚本信夫、北見唯一、山田桂子

貧しい漁師の家に生まれた末っ子少年が、母親の愛情に守られ、たくましく健やかに成長していく──。大阪母親プロの企画で一般に作文を募集、その入選作をもとに映画化した作品。同年『暴れん坊大将』と改題、新東宝で配給された。

7月15日(日)・16日(月)、18日(水) 〜21日(土)

蟹工船

1953年(S28)/現代ぷろだくしょん/白黒/110分

『蟹工船』写真

©北星

■監督・脚本:山村聰/原作:小林多喜二/撮影:宮島義勇/美術:小島基司/音楽:伊福部昭
■出演:山村聰、森雅之、日高澄子、中原早苗、河野秋武、森川信、御橋公、谷晃、花澤徳衛、河原崎しづ江、若原春江

昭和のはじめの大不況。過酷な環境で酷使される蟹工船の労働者たちは、やがて団結して闘争にたちあがる──。原作は戦前のプロレタリア文学の代表作である小林多喜二の小説。山村聰が初監督に挑戦し、壮烈な社会ドラマにしあげた。

7月15日(日)・16日(月)、18日(水) 〜21日(土)

足摺岬

1954年(S29)/近代映画協会/白黒/107分

『足摺岬』写真

©近代映画協会

■監督:吉村公三郎/原作:田宮虎彦/脚本:新藤兼人/撮影:宮島義勇/美術:丸茂孝/音楽:伊福部昭
■出演:木村功、津島恵子、神田隆、信欣三、殿山泰司、金子信雄、日高澄子、芦田伸介、御橋公、赤木蘭子

田宮虎彦の『絵本』『菊坂』『足摺岬』の三短篇をアレンジ。軍国主義が台頭しはじめた昭和初期を背景に、学問への情熱、自由と理想を奪われた若者たちの青春を描く。田宮文学特有の暗いロマンチシズムがみごとに映像化されている。

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