12月4日(日) 〜6日(火)

渡る世間は鬼ばかり ボロ家の春秋

1958年(S33)/松竹大船/カラー/97分

■監督:中村登/原作:梅崎春生/脚本:椎名利夫/撮影:長岡博之/美術:芳野尹孝/音楽:黛敏郎
■出演:佐田啓二、有馬稲子、小山明子、三井弘次、多々良純、三好栄子、瞳麗子、桂小金治、日守新一

同名の直木賞受賞作と四つの短篇をもとにオンボロ屋敷の居住権を巡りサギ師、元サーカス団長など奇人変人が暗躍する風刺喜劇。恋人に一回二百円でキスさせる有馬稲子のドライな娘、襦袢一枚で誘惑する小山明子の二号さんが見もの。

『ぐれん隊純情派』写真

(c)角川映画

12月4日(日) 〜10日(土)

ぐれん隊純情派

1963年(S38)/大映東京/白黒/93分

■監督・脚本:増村保造/原作:藤原審爾/脚本:小滝光郎/撮影:小林節雄/音楽:池野成
■出演:本郷功次郎、藤巻潤、千波丈太郎、三条江梨子、浜田ゆう子、弓恵子、中村鴈治郎、中村是好

ぐれん隊上がりが座長となって劇団を復興させるまでを描く本郷、藤巻、千波の大映青春スター・トリオ主演作。興行師のボスの策略で裂かれた本郷の悲恋を演目で上演する趣向など増村保造の感傷を排したスピーディな演出が冴えわたる。

『魔子恐るべし』写真

(c)東宝

12月4日(日) 〜10日(土)

魔子恐るべし

1954年(S29)/東宝/白黒/91分

■監督:鈴木英夫/原作:宮本幹也/脚本:梅田晴夫/撮影:鈴木斌/音楽:松井八郎
■出演:根岸明美、森繁久彌、加東大介、藤原釜足、伊豆肇、小杉義男、広瀬嘉子、藤木悠

信州の山奥から東京へ出て来た野生児魔子が繰り広げる世相風刺喜劇で、『アナタハン』を彷彿させる根岸明美の豊満な肢体、オカマ口調で迫る森繁久彌の珍演が光る。無機質な都市景観を撮らせたら天下一品、鈴木英夫の東宝入社第一作。

『神阪四郎の犯罪』写真

(c)日活

12月7日(水) 〜13日(火)

神阪四郎の犯罪

1956年(S31)/日活/白黒/111分 ※16mm

■監督:久松静児/原作:石川達三/脚本:高岩肇/撮影:姫田真佐久/美術:木村威夫/音楽:伊福部昭
■出演:森繁久彌、新珠三千代、左幸子、金子信雄、清水将夫、滝沢修、轟夕起子、高田敏江、宍戸錠

横領と偽装心中を図った罪に問われた出版社の編集長が過去を暴かれるミステリー仕立ての法廷劇。証言が各人食い違う<藪の中>状態で、森繁久彌が滝沢修らベテラン新劇人たちを相手に火花を散らす千変万化の芝居が見どころだ。

『新しい背広』写真

(c)東宝

12月7日(水) 〜13日(火)

新しい背広

1957年(S32)/東宝/白黒/57分

■監督:筧正典/原作:田宮虎彦/脚本:沢村勉/撮影:小泉一/美術:小川一男/音楽:馬渡誠一
■出演:小林桂樹、久保明、八千草薫、佐原健二、岸輝子、北沢彪、水の也清美、夏川静江

主人公のカップルはそれぞれ弟、母とつましく暮らし結婚を真剣に考えている。職場結婚は女が辞めねばならぬ規定があり、男は弟の大学受験か結婚を四年延ばすかで悩む。<背広>をモチーフに小市民の哀歓を描くSPの秀作。

12月11日(日) 〜17日(土)

女侠一代

1958年(S33)/松竹京都/白黒/106分

■監督:内川清一郎/原作:火野葦平/脚本:菊島隆三/撮影:太田喜晴/音楽:大森盛太郎
■出演:清川虹子、三國連太郎、森美樹、山田五十鈴、森繁久彌、淡路恵子、瑳峨三智子、近衛十四郎

小作人から身を起こし、荒くれ男たちを相手に北九州の鉄道敷設工事を体を張って守り抜き、北満ハルピンへ渡った男勝りの女傑島村ギンの波瀾万丈の生涯を描く。原作に惚れ込んだ清川虹子が四年越しで実現した念願の企画でもある。

『一刀斎は背番号6』写真

(c)角川映画

12月11日(日) 〜17日(土)

一刀斎は背番号6

1959年(S34)/大映東京/白黒/87分 ※16mm

■監督・脚本:木村恵吾/原作:五味康祐/撮影:中川芳久/美術:柴田篤二/音楽:奥村一
■出演:菅原謙二、仁木多鶴子、叶順子、菅井一郎、浦辺粂子、小林勝彦、滝田裕介、春川ますみ、多々良純

「小説公園」連載の原作による野球映画。奈良の山奥で一刀流の修業を積み上京した一刀斎は素人ホ−ムラン競争で西鉄の稲尾からホームランを放つ。大毎に入団し、ホームラン記録を更新、やがて全米選抜チームとの対決が迫る。

『霧と影』写真

(c)東映

12月14日(水) 〜20日(火)

霧と影

1961年(S36)/ニュー東映東京/白黒/83分

■監督・脚本:石井輝男/原作:水上勉/脚本:高岩肇/撮影:佐藤三郎/音楽:木下忠司
■出演:丹波哲郎、梅宮辰夫、亀石征一郎、水上竜子、鳳八千代、安井昌二、永井智雄、柳永二郎

北陸の僻地で起こった小学校の一教師の謎の死をベテランと若い新聞記者が探索する中、東京でのある大がかりな手形サギ事件に結びつく。さらに政界を巻き込んだ汚職疑惑も浮上して──。水上勉の本格推理小説の初映画化でもある。

『夜の配当』写真

(c)角川映画

12月14日(水) 〜20日(火)

夜の配当

1963年(S38)/大映東京/白黒/90分

■監督:田中重雄/原作:梶山季之/脚本:田口耕三/撮影:高橋通夫/美術:千田隆/音楽:木下忠司
■出演:田宮二郎、藤由起子、高松英郎、浜田ゆう子、山茶花究、角梨枝子、倉田マユミ、見明凡太朗

大企業を脱サラし、トラブル・コンサルタントを開設した男が恋人をも利用し、商標権、脱税隠蔽計画、入札問題で古巣の組織に闘いを挑む。『黒の試走車』に続いて田宮二郎が苛烈な産業競争社会に復讐する冷徹な現代青年を好演。

texy by 高崎俊夫