昭和の銀幕に輝くヒロイン 総集篇1

■ 作品解説 / /

『驟雨』写真

(c)東宝

8月31日(日) 〜9月2日(火)

原節子

驟雨

1956年(S31)/東宝/白黒/90分

■監督:成瀬巳喜男/脚本:水木洋子/原作:岸田國士/撮影:玉井正夫/美術:中古智  ■出演:佐野周二、香川京子、小林桂樹、根岸明美、加東大介、伊豆肇、中北千枝子、東郷晴子

岸田國士の一幕もの戯曲数篇を水木洋子がまとめて脚色、成瀬巳喜男が監督した小市民映画の名篇。倦怠期にさしかかった夫婦の悲喜こもごもを細やかな描写で綴る。原節子が普通の主婦をさらりと演じて、小津作品とは違った魅力をみせてくれる。

8月31日(日) 〜9月6日(土)

原節子

晩春

1949年(S24)/松竹大船/白黒/108分

■監督・脚本:小津安二郎/脚本:野田高梧/原作:廣津和郎/撮影:厚田雄春/美術:浜田辰雄  ■出演:笠智衆、月丘夢路、杉村春子、宇佐美淳、三宅邦子、三島雅夫、坪内美子、桂木洋子

娘の結婚問題を心配する父親と、やもめの父を気遣って結婚をためらう娘――。互いに思いあう父娘の愛情を描いた珠玉の一篇。本作で初めて小津映画のヒロインに起用された原節子が、嫁入り前の娘の心の揺れを精妙に演じ、奥深い魅力を感じさせた。

『別れて生きるときも』写真

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8月31日(日) 〜9月6日(土)

司葉子

別れて生きるときも

1961年(S36)/東宝/カラー/100分 

■監督・脚本:堀川弘通/脚本:松山善三、井手俊郎/原作:田宮虎彦/撮影:中井朝一  ■出演:高島忠夫、小林桂樹、芥川比呂志、児玉清、田中絹代、河津清三郎、細川ちか子

昭和初期から第二次世界大戦にいたる激動の時代。前科者の父をもち、母にも捨てられた娘・美智は、厳しい宿命にさらわれながら真実の愛を求めて生きる――。田宮虎彦の『愛情について』を映画化したもので、しみじみとした情感を漂わせる“女の半生もの”の佳品。

『丼池』写真

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9月3日(水) 〜7日(日) ・9日(火)

司葉子

丼池

1963年(S38)/宝塚映画/白黒/104分

■監督:久松静児/脚本:藤本義一/原作:菊田一夫/撮影:黒田徳三/美術:加藤雅俊  ■出演:三益愛子、新珠三千代、森光子、中村鴈治郎、佐田啓二

大阪の繊維街・丼池で高利貸しを営む二人の女――。大学出の才媛・司葉子VSがめつさNO.1の金貸し婆・三益愛子の火花散る対決を軸に、銭になるなら何でも…という商人達の土性骨を描く。大阪ものをかかせたら天下一品、菊田一夫原作の舞台劇を映画化。

『名もなく貧しく美しく』写真

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9月3日(水) 〜7日(日) ・9日(火)

高峰秀子

名もなく貧しく美しく

1961年(S36)/東京映画/白黒/129分

■監督・脚本:松山善三/撮影:玉井正夫/美術:中古智、狩野健/音楽:林光  ■出演:小林桂樹、草笛光子、加山雄三、沼田曜一、原泉、中北千枝子、藤原釜足

戦争末期から戦後にかけての苦難の時代に、題名どおり、名もなく貧しく美しく生きていくろうあ者夫婦の姿を描いた愛と感動の物語。高峰秀子は全篇手話で通すという難役を抜群の演技力で演じのけ、夫役・小林桂樹とともに感銘深い夫婦像を描きだした。

『馬』写真

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9月7日(日) ・9日(火) 〜13日(土)

高峰秀子

1941年(S16)/東宝東京、映画科学研究所/白黒/128分

■監督・脚本:山本嘉次郎/撮影:唐澤弘光、三村明、鈴木博、伊藤武夫/音楽:北村滋章  ■出演:藤原鶏太、竹久千恵子、二葉かほる、平田武、細井俊夫、丸山定夫

東北の片田舎。高峰扮する農家の娘が、新しく誕生した仔馬をひたむきな愛情で育てあげ、立派な軍馬として世に送りだすまでを描いた感動作。一年がかりの長期ロケで撮影され、春夏秋冬、四季折々の風景を別のカメラマンが担当するという贅沢なつくり。

『花影』写真

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9月7日(日) ・9日(火) 〜13日(土)

池内淳子

花影

1961年(S36)/東京映画/カラー/99分

■監督:川島雄三/脚本:菊島隆三/原作:大岡昇平/撮影:岡崎宏三/音楽:池野成  ■出演:池部良、三橋達也、高島忠夫、有島一郎、佐野周二、淡島千景、筑波久子、山岡久乃

銀座のバーの雇われマダムと彼女をとりまく様々な男たち――。夜の街に生きる女が、出会いと別れを繰り返しながら死に近づいていく過程を叙情豊かに描いた文芸メロドラマ。池内淳子は長いブランクのあとの復帰第一作で、哀れな夜の蝶を懸命に演じた。