『警察日記』写真

©日活

6月12日(日) 〜14日(火)

警察日記

1955年(S30)/日活/白黒/111分

■監督:久松静児/原作:伊藤永之介/脚本:井手俊郎/撮影:姫田真佐久/美術:木村威夫/音楽:團伊玖磨
■出演:森繁久彌、三國連太郎、十朱久雄、三島雅夫、伊藤雄之助、宍戸錠、多々良純、東野英治郎、杉村春子

東北の小さな町、その警察署を舞台にした群像劇。井手脚本にはそれまでの農村ドラマの暗さがなく、ユーモアとペーソスの配分よろしく、さらさらと話が運ぶ。森繁、三國など芸達者な俳優陣の競演も見もの。中でも二木てるみの少女が絶品!

『青い山脈』写真

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6月12日(日) 〜18日(土)

青い山脈・續 青い山脈

1949年(S24)/東宝、藤本プロダクション/白黒/92分・91分

■監督・脚本:今井正/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:服部良一
■出演:原節子、池部良、伊豆肇、木暮実千代、龍崎一郎、若山セツコ、杉葉子、赤木蘭子、三島雅夫、藤原釜足

井手俊郎の脚本家デビュー作。長い戦争がやっと終わって、さあこれからは自由と解放の時代だという、胸躍る喜び。男女学生が思う存分会話する、その軽快さ。古いモラルに囚われた大人たちを攻撃する、その痛快さ。井手の原点がここに。

『夫婦』写真

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6月15日(水) 〜21日(火)

夫婦

1953年(S28)/東宝/白黒/86分

■監督:成瀬巳喜男/脚本:水木洋子、井手俊郎/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:斎藤一郎
■出演:上原謙、杉葉子、三國連太郎、岡田茉莉子、小林桂樹、滝花久子、藤原釜足、豊島美智子、木匠マユリ、田代百合子

住宅難にあえぎ、出産すらままならぬ昭和20年代の夫婦を描いて。井手脚本の相棒は『浮雲』など男女の機微を描いて第一人者の水木洋子。男より女性側に立つ井手との相性もよく、深刻に傾きがちな水木脚本をソフトに仕立て直した趣き。

『美貌の都』写真

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6月15日(水) 〜21日(火)

美貌の都

1957年(S32)/宝塚映画/白黒/98分

■監督:松林宗恵/脚本:井手俊郎/撮影:遠藤精一/美術:村木与四郎/音楽:斎藤一郎
■出演:司葉子、淡路恵子、宝田明、小林桂樹、木村功、清川虹子、浪花千栄子、扇千景、環三千世、井上大助、斎藤達雄

メロ・ドラマのヒロインは、運命に流されてメソメソという受動型が大半。が、この映画の司葉子は積極的だ。憧れの男の胸に飛び込み、そして傷つく。さて司の昔の恋人は、それでも彼女を許せるか。スパイスが効いた井手流恋愛劇の佳篇。

6月19日(日) 〜21日(火)

若い娘たち

1951年(S26)/東宝/白黒/90分 
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

■監督:千葉泰樹/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:会田吉男/美術:小川一男/音楽:飯田信夫
■出演:村瀬幸子、杉葉子池部良、伊豆肇、若山セツ子、島崎雪子、河村黎吉、清川玉枝、藤原釜足、宮田重雄

年頃の娘がいる家の母親が、次々に男子学生を下宿させるっていう夢みたいな話。『青い山脈』を卒業した若手男女優(池部良は大学生!)がふたたび顔を合わせ、にぎやかな恋愛模様が繰り広げられる。井手俊郎お家芸の石坂明朗青春劇。

『妻』写真

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6月19日(日) 〜25日(土)

1953年(S28)/東宝/白黒/96分

■監督:成瀬巳喜男/原作:林芙美子/脚本:井手俊郎/撮影:玉井正夫/美術:中古智/音楽:斎藤一郎
■出演:上原謙、高峰三枝子、丹阿弥谷津子、伊豆肇、高杉早苗、新珠三千代、三國連太郎、中北千枝子、坪内美子

結婚10年目の夫婦のイザコザを『夫婦』に引き続き成瀬=井手コンビが。『めし』からずっと夫役の上原謙は、今回ついに愛人を作る。原作の妻は、怒ると眼が茶色になるというコワさ。そこを穏やかにしたのは井手より成瀬の資質だそうで。

『斑女』写真

©1961 松竹株式会社

6月22日(水) 〜25日(土)、29日(水) 〜7月2日(土)

斑女

1961年(S36)/松竹大船/カラー/87分

■監督:中村登/原作:村松梢風/脚本:権藤利英/撮影:平瀬静雄/美術:佐藤公信/音楽:武満徹
■出演:岡田茉莉子、山村聰、佐々木功、芳村真理、倍賞千恵子、峯京子、杉浦直樹、沢村貞子、佐藤慶、高城丈二

若い義弟と東京に駆け落ちした岡田茉莉子が、銀座のクラブのホステスになり、 どんどん美しくなっていく。同僚の芳村真理と峯京子の恋愛話も面白く、カラリと乾いた都会派タッチの快作。井手(権藤利英の筆名)と中村登の相性も抜群。

『月夜の傘』写真

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6月22日(水) 〜28日(火)

月夜の傘

1955年(S30)/日活/白黒/128分 ※16mm

■監督:久松静児/原作:壺井栄/脚本:井手俊郎/撮影:姫田真佐久/美術:木村威夫/音楽:斎藤一郎
■出演:田中絹代、轟夕起子、新珠三千代、坪内美詠子、宇野重吉、三島耕、伊藤雄之助、二木てるみ、三島雅夫

梅ヶ丘の住宅地を舞台に、4人の主婦とその様々な家族模様が描かれる。おばさん女優たちの顔ぶれも楽しく、井戸端会議のやりとりが抜群。マダム的資質のある井手の筆も弾みに弾む。昭和30年の雰囲気がよく出たホームドラマの秀作。

『大出世物語』写真

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6月22日(水) 〜28日(火)

大出世物語

1961年(S36)/日活/白黒/65分

■監督:阿部豊/原作:源氏鶏太/脚本:三木克巳/撮影:横山実/美術:横尾嘉良/音楽:斎藤高順
■出演:小沢昭一、吉永小百合、浜田光曠、渡辺美佐子、高原駿雄、山田禅二、河上信夫、神山勝、浜村純

60年代初期、日活は併映作に小沢主演の中編を連作。クズ屋の小沢がはたしてどう大出世するかは、見てのお楽しみ。ピリッとしたユーモア短編小説の味わい。まだ新人の小百合が可憐。井手の日活の変名、三木の由来はミッキー・カーチス。

『丘は花ざかり』写真

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6月26日(日) 〜28日(火)

丘は花ざかり

1952年(S27)/東宝/白黒/119分 
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

■監督:千葉泰樹/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎、水木洋子/撮影:中井朝一/美術:松山崇/音楽:服部良一
■出演:木暮実千代、高杉早苗、池部良、杉葉子、上原謙、山村聰、志村喬、沢村貞子、清水将夫、滝花久子

東宝20周年記念映画。人妻の姉はよろめき、雑誌社で働く妹は年上の男に憧れる。石坂原作なので、あまり深刻に陥らず、にぎやかな役者陣の顔ぶれを楽しむお祝い映画の趣き。中では山村聰が好演。63年日活が浅丘ルリ子主演で再映画化。

text by 北里宇一郎(脚本家)

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