『肉体の学校』写真

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7月27日(水) 〜8月2日(火)

肉体の学校

1965年(S40)/東宝/白黒/95分

■監督:木下亮/原作:三島由紀夫/脚本:井手俊郎/撮影:逢沢譲/美術:竹中和雄/音楽:池野成
■出演:岸田今日子、山崎努、中川ゆき、山村聰、市川翠扇、木村俊恵、東恵美子、有馬昌彦、田中明夫、伊藤幸子

日本文学研究者ドナルド・キーンが三島の原作よりいいと評価。貪欲に恋愛を謳歌する元華族の女が、野性的な青年に魅せられて。当時売り出しの岸田今日子と山崎努が新鮮な演技を。これも新人の木下亮が自由奔放な演出を駆使した異色作。

『兄貴の恋人』写真

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7月27日(水) 〜8月2日(火)

兄貴の恋人

1968年(S43)/東宝/カラー/84分

■監督:森谷司郎/脚本:井手俊郎/撮影:斎藤孝雄/美術:村木忍/音楽:佐藤勝
■出演:加山雄三、内藤洋子、酒井和歌子、白川由美、岡田可愛、豊浦美子、中山麻理、東山敬司、江原達怡、ロミ山田、宮口精二

若大将加山に、東宝売り出しの2人のアイドル娘が絡む。その1人、妹役の内藤の兄への思いがまるで近親相姦的ヤバさ。井手特有の香辛料がピリリと効いた青春映画の傑作。兄妹の父=宮口が大人の風味。ピアノ教師のロミに井手流の毒が。

『女の中にいる他人』写真

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7月31日(日) 〜8月6日(土)

女の中にいる他人

1966年(S41)/東宝/白黒/102分

■監督:成瀬巳喜男/原作:エドワード・アタイヤ/脚本:井手俊郎/撮影:福沢康道/美術:中古智/音楽:林光
■出演:小林桂樹、新珠三千代、三橋達也、草笛光子、若林映子、長岡輝子、加東大介、藤木悠、十朱久雄

英国のサスペンス小説に取り組んだ成瀬、65歳の異色作。当時珍しいスタンダード・白黒画面で、殺人を犯した夫とそれを知った妻の心理を、いつものように淡々と、しかもカッチリ演出。井手脚本は、成瀬を若返らせるための挑戦状みたいで。

『大当り三色娘』写真

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7月31日(日) 〜8月6日(土)

大当り三色娘

1957年(S32)/東宝/カラー/94分

■監督:杉江敏男/原作:中野実/脚本:井手俊郎/撮影:完倉泰一/美術:村木忍/音楽:神津善行
■出演:美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ、宝田明、山田真二、江原達怡、草笛光子、若山セツ子、伊豆肇

東宝シネスコ第1回作。3人娘の恋のさやあて合戦を、当時のポピュラー・ソングやヒット曲のショウ場面で綴る。その楽しさは、まるで米フォックス社の3女優競演ミュージカル、そのジュニア版の趣き。上品なショートケーキの味わい!

『二人の恋人』写真

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8月3日(水) 〜9日(火)

二人の恋人

1969年(S44)/東宝/カラー/91分

■監督:森谷司郎/脚本:井手俊郎/撮影:福沢康道/美術:中古智/音楽:佐藤勝
■出演:加山雄三、酒井和歌子、高橋長英、高峰三枝子、池内淳子、東山敬司、岡田可愛、中村伸郎、春川ますみ、稲野和子

不良の弟が優等生の兄に、亡くなった兄の婚約者と瓜二つの娘をくっつけようとするが。題名の二人の恋人とは、一見酒井和歌子の娘のように見えるが、実は兄弟の母親のことではないか。そんな企みを裏に秘めた井手オリジナル脚本の傑作。

『颱風とざくろ』写真

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8月3日(水) 〜9日(火)

颱風とざくろ

1967年(S42)/東宝/カラー/108分

■監督:須川栄三/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:逢沢譲/美術:育野重一/音楽:伊部晴美
■出演:星由里子、黒沢年男、中山仁、いしだあゆみ、森光子、池内淳子、田村亮、高峰三枝子、南原宏治、宮口精二

若い女性の性の目覚めを描いた石坂原作の青春篇。星由里子が『千曲川絶唱』に続き、お嬢さん役から脱皮の体当たり演技を。ヒロインに絡む登場人物の顔ぶれがにぎやかで、大人数をさばく井手の手腕が楽しめる。もちろん辛味の調味料も。

『花ひらく娘たち』写真

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8月7日(日) 〜13日(土)

花ひらく娘たち

1969年(S44)/日活/カラー/83分

■監督:斎藤武市/原作:石坂洋次郎/脚本:三木克巳、鎌田敏夫/撮影:山崎善弘/美術:坂口武玄/音楽:小杉太一郎
■出演:吉永小百合、浜田光夫、和泉雅子、杉良太郎、渡哲也、清水将夫、沖雅也、宇野重吉

日活の小百合主演映画最終作。この頃になると、石坂洋次郎の青春物にもズレが(ゲバ棒とフーテンの時代です)。まるで日活ニュー・アクションから出張したような渡が全編をさらうカッコよさ。そこに井手(と門下の鎌田)の思惑が見え。

『放課後』写真

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8月7日(日) 〜13日(土)

放課後

1973年(S48)/東宝映画/カラー/89分

■監督:森谷司郎/脚本:井手俊郎/撮影:村井博/美術:阿久根巌/音楽:星勝、多賀英典
■出演:栗田ひろみ、地井武男、宇津宮雅代、宮本信子、篠ヒロコ、沢井正延、加藤小夜子、島村美輝、加藤和夫

女子高生が、ボーイフレンドの家に下宿した年上の男に恋をして。少女の小悪魔性は井手のお手のもの。当時人気の栗田ひろみが「いつのまにか」大人になる少女を可憐に演じる。森谷司郎は大作よりこちらの世界の監督ではなかったのか?

『街に泉があった』写真

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8月10日(水) 〜13日(土)

街に泉があった

1968年(S43)/東宝/カラー/88分

■監督:浅野正雄/脚本:井手俊郎/撮影:逢沢譲/美術:中古智/音楽:広瀬健次郎
■出演:三田明、酒井和歌子、黒沢年男、佐藤允、小鹿敦、乙羽信子、稲吉千春、夏圭子、前田美波里、堺左千夫、牧とし子

井手の門下生、浅野正雄の監督デビュー作。父を亡くした家族が上京。息子たちは働きながら恋のさやあてを繰り広げる。ワイルドな黒沢とソフトな三田の組み合わせがよく、酒井の魅力も引き出されて。乙羽の母親像に井手の隠し味が窺える。

text by 北里宇一郎(脚本家)

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