『大笑い大福帳』写真

©TOHO CO.,LTD.

6月26日(日) 〜7月2日(土)

落語長屋は花ざかりより
大笑い大福帳(「落語長屋は花ざかり」改題短縮版)

1954年(S29)/東宝/白黒/38分

■監督:青柳信雄/構成:安藤鶴夫/脚本:井手俊郎/撮影:山崎一雄/美術:北猛夫、安倍輝明/音楽:三木鶏郎
■出演:森繁久彌、笠置シヅ子、三益愛子、榎本健一、古川緑波、久慈あさみ、清水金一、柳家金語楼

東宝は戦後、その時代の人気喜劇役者やコメディアンを起用して「落語長屋」物を連作。これはその第1作。短縮版だが、残った挿話が森繁演じる「心眼」と、エノケン唄う“チンチロリンサンバ”も愉快な「たらちね」というのが嬉しい。

『お父ちゃんは大学生』写真

©日活

6月26日(日) 〜7月2日(土)

お父ちゃんは大学生

1961年(S36)/日活/白黒/60分

■監督:吉村廉/脚本:滝口速太、大木崇史、山内亮一/撮影:中尾利太郎/美術:松井敏行/音楽:斎藤高順
■出演:小沢昭一、南田洋子、新沢輝一、松尾嘉代、左卜全、藤村有弘、由利徹、清川虹子、田中筆子、水木京二

大学8年生の小沢が、子連れの年上女、南田と結婚。小沢の親の反発とか、夫婦生活の行き違いとか、いろいろ波乱はあったが、結局、子はかすがい。なんていうお約束の家庭喜劇。井手の変名滝口とは、『夜の流れ』の宝田明の役名(!)。

『燈台』写真

©TOHO CO.,LTD.

6月29日(水) 〜7月5日(火)

燈台

1959年(S34)/東宝/白黒/64分

■監督:鈴木英夫/原作:三島由紀夫/脚本:井手俊郎/撮影:山田一夫/美術:植田寛/音楽:池野成
■出演:久保明、津島恵子、柳川慶子、野口ふみえ、河津清三郎、小西瑠美、野上優子、上村幸之、林剛彦、文野朋子

井手は三島由紀夫を新人の頃から評価。ここで初めて彼の戯曲に取り組んだ。父の再婚相手を恋慕する青年。彼が密かに義母の名を記した本が重要な小道具となって。燈台の見えるホテル、その一室を舞台に、鈴木英夫が練達の演出を見せる。

『銀座の恋人たち』写真

©TOHO CO.,LTD.

6月29日(水) 〜7月9日(土)

銀座の恋人たちニュープリント

1961年(S36)/東宝/カラー/100分

■監督:千葉泰樹/脚本:井手俊郎/撮影:内海正治/美術:河東安英/音楽:斎藤一郎
■出演:団令子、三橋達也、水原弘、草笛光子小泉博、浜美枝、宝田明、加山雄三、有島一郎、島崎雪子、原知佐子、北あけみ、藤木悠

60年代初頭の銀座を舞台に、女と男がくっついたり離れたりとにぎやかなセミ・オールスター映画。恋愛なんて1度じゃ分からない、2回目からが本物なのよ──と呟いてるような井手のオリジナル脚本は、原作物よりアナーキーな感じがして。

『青い山脈』写真

©日活

7月3日(日) 〜9日(土)

青い山脈

1963年(S38)/日活/カラー/96分

■監督・脚本:西河克己/原作:石坂洋次郎/脚本:井手俊郎/撮影:萩原憲治/美術:佐谷晃能/音楽:池田正義
■出演:吉永小百合、浜田光夫、高橋英樹、芦川いづみ、二谷英明、南田洋子、田代みどり、藤村有弘

小百合演じる新子が自転車を蹴散らしてスクーターで登校。まさしく日活撮影所の溌剌とした活気あふれる『青い山脈』に仕上がってる。二谷英明の二枚半演技が笑わせ、高橋英樹のガンさんがピリっとした香辛料の役割で、意外な好演。

『ゲンと不動明王』写真

©TOHO CO.,LTD.

7月3日(日) 〜9日(土)

ゲンと不動明王

1961年(S36)/東宝/パートカラー/102分

■監督:稲垣浩/原作:宮口しづえ/脚本:井手俊郎、松山善三/撮影:山田一夫、有川貞昌/美術:竹中和雄/音楽:團伊玖磨
■出演:小柳徹、笠智衆、三船敏郎、乙羽信子、坂部尚子、千秋実、夏木陽介、浜美枝、飯田蝶子

お寺の兄妹が父の再婚ではなればなれに。養子に出された兄のゲンが腕白のままというのが嬉しい。演ずる小柳徹はTV「ホームラン教室」の人気子役だったが交通事故で若死した。ゲンを励ます不動明王の三船の怪演と円谷特撮がお楽しみ。

『伊豆の踊子』写真

©日活

7月6日(水) 〜12日(火)

伊豆の踊子

1963年(S38)/日活/カラー/87分

■監督・脚本:西河克己/原作:川端康成/脚本:三木克巳/撮影:横山実/美術:佐谷晃能/音楽:池田正義
■出演:吉永小百合、高橋英樹、浜田光夫、南田洋子、十朱幸代、桂小金治、大坂志郎、浪花千栄子、宇野重吉

4度目の映画化。踊子が埠頭を駆けて学生に手を振るのは、今作が最初。もちろん原作にもなく、井手のオリジナル。川端の短編「温泉宿」の少女娼婦の挿話も取り入れて、踊子の未来を暗示している。現代の場面は西河監督の工夫とのこと。

『おふくろ』写真

©日活

7月10日(日) 〜12日(火)

おふくろ

1955年(S30)/日活/白黒/98分 
○東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品

■監督:久松静児/原作:田中千禾夫/脚本:井手俊郎/撮影:姫田真佐久/美術:木村威夫/音楽:斎藤一郎
■出演:望月優子、木村功、左幸子、宍戸錠、明石淳子、沢村貞子、宇野重吉、千石規子、二木てるみ

田中千禾夫の戯曲(同題作と「橘体操女塾裏」)の映画化。地方の会社に就職が決まった息子と、あくまでも同居を望む母との葛藤が綴られる。盲目的愛情を子どもたちに注ぐ母を演じる望月は、もうドンピシャの適役! 温もりのある久松演出。

『河口』写真

©1961 松竹株式会社

7月10日(日) 〜16日(土)

河口

1961年(S36)/松竹大船/カラー/88分

■監督:中村登/原作:井上靖/脚本:権藤利英/撮影:厚田雄春/美術:佐藤公信/音楽:黛敏郎
■出演:岡田茉莉子、田村高廣、山村聰、杉浦直樹、滝沢修、東野英治郎、沢村貞子、町田祥子、川金正直、水上令子

日本で最初の女性画商を育てようとする男がいて、でも女は男たちの間をふらふらよろよろと落ち着かない。男は焦れながらも、望みを捨てない。そんな色恋抜きの女と男の関係をカラリと描いた井手=中村コンビの傑作。山村聰がいい味。

『風と樹と空と』写真

©日活

7月10日(日) 〜16日(土)

風と樹と空と

1964年(S39)/日活/カラー/86分

■監督:松尾昭典/原作:石坂洋次郎/脚本:三木克巳/撮影:萩原泉/美術:千葉和彦/音楽:池田正義
■出演: 吉永小百合、浜田光夫、川地民夫、和田浩治、十朱幸代、田代みどり、山本陽子、高橋とよ、中村是好

津軽弁丸出しで開けっぴろげなキャラの小百合が、意外や意外、チャーミング!井手脚本と松尾演出も、彼女の活発さを生かして弾みに弾む。陽性お手伝いさん映画の拾い物。大映デビュー前の安田(大楠)道代と歌手以前の荒木一郎が新鮮。

text by 北里宇一郎(脚本家)

/ / /