中川信夫・業の人間アラベスク 行こか 戻ろか 天国 地獄 2006年3月26日(日)〜4月29日(土) ラピュタ阿佐ケ谷

 人間の業をみつめてきた七十九年。その結実が、九十七本の映画に昇華させた人間アラベスク。怪談怪奇映画の巨匠といわれている中川信夫。しかし全作品中、怪談怪奇映画は『地獄』など八本しかない。時代劇、喜劇、シリアスな社会劇、文芸作、恋愛物、歌謡ドラマなど仕事のジャンルの幅は広い。この中に、中川信夫が貫いたものがある。弱者の視点から、理不尽な者たちをうつ「心」である。
 中川信夫がいった。 「腕は売っても、心は売らん。」 その「腕」、天衣無縫の映像表現とその「心」、貫かれた精神。
 まるごと、中川信夫の世界に浸ってもらうべく、今回、人間永遠のテーマ、業の深さ、恐ろしさを描ききった代表作『東海道四谷怪談』から、一九六〇年代の日本を切りとった初のドキュメンタリー映画『日本残酷物語』、そしてテレビ作品『ウルトラマンレオ』までの二十五作品を上映。

思春の泉  妖艶毒婦伝 人斬りお勝  憲兵と幽霊  ウルトラマンレオ(第32話/第33話)  八百万石に挑む男  さすらいの旅路  夏目漱石の三四郎  亡霊怪猫屋敷  雷電  続 雷電  「粘土のお面」より かあちゃん  私刑  水滸伝(第7話)  平四郎危機一発(第15話)  怪談 蛇女  新編 丹下左膳 隻眼の巻  石中先生行状記 青春無銭旅行  エノケンの頑張り戦術  プレイガール  地獄  日本残酷物語  番場の忠太郎  怪異談 生きてゐる小平次  東海道四谷怪談

主催:中川信夫監督・生誕100年特集上映実行委員会
協力:国際放映、東映、東宝、日本アート・シアター・ギルド、円谷エンタープライズ、東京国立近代美術館フィルムセンター

■ 作品解説 / / /

上映スケジュール

■ 料金(当日)
一般…1,200円 シニア・学生…1,000円
会員…800円 3回券…2,700円
水曜日サービスデー…1,000円均一

※各回定員入れ替え制
※午前10時15分より当日の全回分の整理番号付き入場券を発売します。定員48名になり次第、締め切らせていただきます。
※作品により画像、音声が必ずしも良好でない場合がございます。あらかじめご了承下さい。

●中川信夫:1905年4月18日、京都生まれ。29年マキノ映画入社。山上伊太郎を「心」の師と仰ぐ。マキノ映画倒産後、32年市川右太衛門プロへ。34年『弓矢八幡剣』で監督。右太衛門プロ閉鎖後、37年東宝へ。エノケンの喜劇を中心に、時代劇、文芸物(漱石の『虞美人草』)などを監督。41年、戦時中の映画製作統制で東宝をやめ、42年中華電影公司で記録映画を監督。46年中国から引揚げ、47年新東宝へ。62年新東宝倒産までの間、『東海道四谷怪談』など多ジャンルの作品を手掛ける。以後、東映、日活などで監督。テレビ作品も多数。82年『怪異談 生きてゐる小平次』を遺作に、84年6月17日死去。


【トークイベント】
中川信夫監督ゆかりの方々をお招きして、下記の日程でトークショーをおこないます。
3.26 [日] 6:50『思春の泉』終了後 瀬川昌治監督
4.8 [土] 3:20『亡霊怪猫屋敷』終了後 渡辺宙明さん
4.9 [日] 2:50『続 雷電』終了後 北沢典子さん
4.15 [土] 12:50『かあちゃん』終了後 中田秀夫監督(予定)
4.22 [土] 4:50『地獄』終了後 宮川一郎さん×桂千穂さん
4.29 [土] 1:00『東海道四谷怪談』終了後 若杉嘉津子さん

【イベント】
酒豆忌  4月3日(月)2:30〜8:00
会場:ザムザ阿佐谷(ラピュタ阿佐ヶ谷B1)
会費:2,500円(手拭「業」の復刻版付き)
お酒、豆腐をこよなく愛した中川信夫監督を偲ぶ集い「酒豆忌」。
監督が亡くなってから関係者たちでおこなってきたもので、2000年からはファンの方も参加。4:30より桑原幸子さん・西尾三枝子さん等“プレイガール”たちが語る中川信夫、他もあり。