■ 作品解説 / / /

『犯す!』写真

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4月13日(日) 〜19日(土)

犯す!

1976年(S51)/カラー/71分

■監督:長谷部安春/脚本:松岡清治/撮影:山崎善弘/美術:徳田博/音楽:穂口雄右 ■出演:八城夏子、蟹江敬三、岡本麗、山科ゆり、三川裕之、高橋明、谷ナオミ、二條朱実

見知らぬ男にナイフで脅され処女を失ったヒロインは、トラウマを抱えたまま男遍歴を重ねる。やがて、強姦魔と再会した彼女は――。無機的な暴力衝動が全篇を支配し、蟹江敬三の不気味な存在感も圧倒的。ヒロインを演じた八城夏子は、本作以降<レイプの女王>と呼ばれるようになり、犯され役が上手い女優として人気を集めた。

『花弁のしずく』写真

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4月16日(水) 〜22日(火)

花弁のしずく

1972年(S47)/カラー/71分

■監督:田中登/脚本:久保田圭司/撮影:山崎善弘/音楽:鏑木創 ■出演:中川梨絵、白川和子、三田村元、牧恵子、大泉隆二、葵三津子、雪丘恵介、長弘

鎌倉を舞台に、不感症の人妻が性の悦びを回復するまでを描いた田中登の記念すべき監督デビュー作。医師の診察によってヒロインの性的トラウマが明かされていくが、中川梨絵の艶やかで楚々たるイメージが印象的だ。すでに随所に<花>や<金魚>など、田中登特有のオブジェ趣味や清新なタッチがみられる。

『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』写真

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4月16日(水) 〜22日(火)

大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート

1975年(S50)/カラー/73分

■監督:曽根中生/脚本:大和屋竺/撮影:森勝/音楽:多摩零 ■出演:ひろみ麻耶、丘奈保美、藤ひろ子、扇アリサ、益富信孝、織田俊彦、粟津號、長弘

医師は異様な情熱を燃やし、南極調査隊員たちのために高性能ダッチワイフBB号をつくった。しかし帰国した隊員たちは生身の女性に欲情しなくなり…。かつての鈴木清順門下、具流八郎グループだった大和屋と曽根コンビが、人形と人間の境界を無化する壮大でマニエリスティックなテーマに挑んだ異色作。

『赤線最後の日 昭和33年3月31日』写真

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4月20日(日) 〜26日(土)

赤線最後の日 昭和33年3月31日

1974年(S49)/カラー/64分

■監督:白鳥信一/脚本:武末勝/撮影:山崎敏郎/美術:柳生一夫/音楽:鏑木創 ■出演:宮下順子、中島葵、芹明香、風間杜夫、ひろみ麻耶、榎木兵衛、高山千草

赤線街のサロンを舞台に、売春防止法が施行される前夜の、娼婦と客との交情を哀歓たっぷりに描き出した佳作。<廻し>をして稼ぎまくる若くてドライな芹明香、初体験の青年を親切にもてなす中島葵など個々の女性の背景も丁寧に描かれ、深夜十二時になると<蛍の光>の合唱で締め括られるラストも印象的だ。

『ひと夏の秘密』写真

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4月20日(日) 〜26日(土)

ひと夏の秘密

1979年(S54)/カラー/72分

■監督:武田一成/脚本:田中陽造/撮影:森勝/美術:菊川芳江/音楽:淡海悟郎 ■出演:原悦子、渡辺とく子、江角英明、萩原友絵、田山涼成

義父危篤の報を受けた娘が六年ぶりに故郷に戻る――。かつて屠殺場だった海辺の町を舞台に、義父と娘の怨念劇、実娘の死の謎、そして、別荘の女主人の金目当ての死体捜しなど、複数のエピソードがおりなす短篇小説のような味わいの一篇。田中陽造の文芸色が強い脚本をサラッとしたタッチで仕上げた武田一成の演出が光る。

『色情姉妹』写真

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4月23日(水) 〜29日(火)

色情姉妹

1972年(S47)/カラー/72分

■監督:曽根中生/脚本:はたの三郎/撮影:峰重義/音楽:奥沢散策 ■出演:二條朱実、続圭子、薊千路、高山千草、島村謙次、益富信孝、三川裕之

東京の゛川向こう゛千葉・浦安を舞台に、三人姉妹の淀み、停滞し、荒みきった日常を描いて、公開当時、ブニュエルの『忘れられた人々』にも比較された力作。養父は娘を犯し、三姉妹も自堕落な欲望に自閉していく。行き場のない女たちの心象風景が大ベテラン、峰重義のキャメラによってみごとにとらえられている。

text by: 高崎俊夫